アメリカで放送中の人気SFスリラー『カウンターパート/暗躍する分身』が、シーズン2に突入。平凡な人生を送るハワード(J・K・シモンズ)は、平行世界でエリートスパイとして暗躍するもう一人の自分に出会う。二人の出会いは、敵対関係にある両世界の運命をさらに熾烈にする結果に。米ケーブルテレビ局Starzで、12月上旬から最新シーズンの放送が始まっている。
臆病な国連職員が、異世界へのゲートを発見
国連の末端組織のベルリン支部で、かれこれ30年近くも冴えない任務をこなしているハワード。ある日偶然にも、同組織が異世界へのゲートの存在を隠していることに気づいてしまう。地下道の奥に鎮座する重厚な扉を開くと、そこには現世と冷戦関係にあるパラレル・ワールドが。腕利きの危険なスパイが暗躍するとの噂を耳にするが、それは何とそちらの世界に暮らすもう一人のハワードだった。対立する二人のハワードの出会いは、冷戦をさらに加速させることになる。
2つの世界を結ぶゲートが閉ざされ、今シーズンでハワードは異世界に囚われる。元の世界ではパラレル・ワールドから抜け出したもう一人のハワードが、彼の人生を乗っ取ろうとしていた。しかし、昏睡状態から醒めた妻のエミリー(オリヴィア・ウィリアムズ)だけは、「夫」の様子がいつもと違うことに勘づく。一方、異世界のエミリーはハワードの正体を知った上で好意を寄せる。真のハワードは彼女の助けを借り、元の人生を取り返すための闘いに挑む。
様々な魅力、まるで食べ放題
2018年に最も感服したドラマの一つとして本作を挙げる、Hollywood Reporter誌。エミー賞ノミネートはならなかったものの、主演のJ・Kの名演はそれに値すると述べている。スリリングかつ非常に高度な内容で、ひねりの効いたストーリー・ラインも優秀。こうした卓越した要素を備える本作は、シーズン1の放送開始と同時に勢いのあるスタートを切った。予測不能な展開に加え、要所要所で開示されるキャラクターのバックストーリーもワクワクさせてくれた、と同誌は振り返る。シーズン2も冒頭数話の時点でこそユニークな魅力は抑え目だが、各話十分な出来栄えとなっている、と納得している。
多面的な要素がシリーズを面白くしている、とRolling Stone誌も意見を同じくする。計算しつくされた冷戦スリラーであり、また、衝突する二つの世界を題材にしたSFスリラーでもあると述べる。さらに、オスカー俳優のJ・Kの演技も好評だ。二人のハワードを繊細に演じ分け、同じルーツを持つ男がこうも違った存在になるのかと驚かせてくれる。魅力的な側面が多く備わる本作に、まるで食べ放題のような作品だと同誌は賛辞を贈っている。
意表を付く複雑怪奇なストーリー
数多い魅力のなかでも、視聴者の予想を超える複雑なストーリー展開は本シリーズの大きな売り。昨シーズンでは、ハワードがパラレルワールドに気づいたのを契機として、スリラーからSFへの大胆な舵きりで視聴者の意表を突いた。クリエイターのジャスティン・マークスと本シリーズの脚本家たちが作り上げた奇妙な世界観をHollywood Reporter誌は賞賛している。最新シーズンでは「マネジメント」と呼ばれる謎の部署が登場。2つの世界のどちらの組織にもこの部署は存在し、姿なき支配者がブラウン管TVを通じて部下たちに指令を下している。謎のリーダーの正体は、視聴者を再び驚愕させてくれるだろうか。
並行世界や人物の入れ替わりなど、複雑な仕掛けが重なる本作。冒頭3話ほどは状況説明のためのゆっくりとした展開が続くとはいえ、振り落とされないように用心したい。本作を食べ放題と讃えたRolling Stone誌も、油断して取り過ぎるとプレートがぐちゃぐちゃになる、と注意を呼びかける。
J・Kのいぶし銀の演技が光るSFスリラー『カウンターパート/暗躍する分身』シーズン2は、米Starzで放送中。日本ではWOWOWプライムで2019年2月よりシーズン1を放送予定。(海外ドラマNAVI)
Photo:J・K・シモンズ
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