Netflix初のオーストラリアからのオリジナル作品『タイドランド』は、不思議な雰囲気を漂わせた秀作だ。製作陣は、2014年にオーストラリアで人気を得た犯罪ミステリーのミニシリーズ『Secrets & Lies(原題)』のクリエイターたち。ちょっとセクシーなシーンが盛り込まれているので、子供が寝た後に大人だけで鑑賞したいファンタジックミステリーとなっている。
◆強く、美しく、そして残酷なタイドランダー
ある夜、漁師が荒れた海上で不審なものを見つける。それは女性だったが、漁師があることに気づいた頃には時すでに遅し。翌日、彼は眼球を取られた死体となって、船とともに岸に無言の帰宅を果たす。
同じ頃、キャルが10年間の務めを終えて出所する。少女だった頃に事件を起こした彼女は、生活の糧を求めて故郷のオルフリン・ベイへ向かっていた。彼女が相続するはずの金は折り合いの悪い母親の手元に渡ってしまい、母はその遺産を元手にバーを経営。故郷の兄は麻薬を売買しており、不思議な力を持ったタイドランダーと呼ばれる人々と取引を行っている。出所したばかりで相続金も手に入らないキャルは、詳細を知らないまま兄とともに仕事をすることに決め、一緒に船に乗り込むのだった。一体、タイドランダーとは何者なのか...。
◆癖になるドラマ、現実逃避したい夜にじっくり見たい
『タイドランド』のレビューの中には、静かな物語の始まりをスローだと感じたり、セクシーな描写が多すぎるとの批評が見られる。しかし、地元オーストラリアのSydney Morning Herald紙は、最初の2話を腰を据えて見れば、癖になるドラマであると評している。それは、このドラマの独特な味わいにある。
同じくSFを感じさせる展開に魅せられたメディアの一つである米Los Angeles Times紙は、「とてもよく制作されているB級ドラマシリーズ。超B級と言ってもよい」と述べ、セリフも良く考えられているし映像も美しく、深いことは考えず、ただ目の前にあるドラマを楽しもうではないか、と呼びかける。
一般的に「B級」とは低予算で作られた作品などを指す。『タイドランド』が実際に低予算なのかはともかくとして、その現実離れしたストーリーは、映画やドラマの大きな魅力の一つである、現実から離れた世界を見せることに成功していると言えるだろう。休日前の夜更かしをしてもよい夜などに気軽にじっくりと鑑賞してほしい作品だ。
Netflixオリジナル作品『タイドランド』は現在配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『タイドランド』
(C)Jasin Boland/Netflix