【日本未上陸】「今冬のベスト作の一つ」SFスリラー『The Passage』 ヴァンパイアと疫病に挑む『LOST』キャストに注目

『LOST』の良心とも言えるヘンリー・イアン・キュージック(デズモンド役)が悩める科学者を演じる新作SFスリラー『The Passage(原題)』。疫病の流行で絶滅寸前の人類を救うのは、開発中の万能薬。しかしその完成には少女の犠牲が必要で――。1月中旬から米FOXで放送中の同作は、魅力的なキャラクターとテンポの良い展開が好評だ。

人類を襲うヴァンパイア そこに追い打ちのパンデミック

万能薬の開発に当たる科学者のジョナス博士(ヘンリー)は、研究のヒントを得るべく、不死の部族が暮らすという南アフリカの洞窟へと部下を向かわせる。しかし部族の攻撃を受けた部下は、哀れにもヴァンパイアさながらの容姿に。実験として死刑囚にその血を与えたことで、ヴァンパイアは増殖してしまう。悪いことは重なるもので、折しものインフルエンザの猛威を受け、人類は絶滅寸前に。施設外にはパンデミック、施設内にはヴァンパイアという危機に、冷血な上長のニコル博士(キャロライン・チケジー『エラゴン 遺志を継ぐ者』)は、被験者の命を犠牲にしてでも万能薬の完成を急ぐよう命令する。

プロジェクトが選んだ犠牲者は、幼い孤独な少女エイミー(『ドリーム』のサナイヤ・シドニー)。政府職員のブラッド(『PITCH 彼女のメジャーリーグ』のマーク=ポール・ゴスラー)は彼女を施設に連行するよう命ぜられるが、小学校低学年ほどの彼女に徐々に同情の念が芽生え、その命を救おうと決意する。薬のために犠牲を厭わないニコル博士、良心に揺れるジョナス博士、そして少女を護るブラッドの思惑が交錯する。

今冬のベストドラマ

今回の冬でベストと言えるドラマの一つ、とUSA Today紙は本作を高く評価。ヴァンパイア、パンデミック、そして『LOST』卒業生の俳優に早熟の天才少女など、ワクワクさせてくれる要素が満載だ。SFスリラーとして非常にわかりやすい筋書きで、各話ごとのイベントも明瞭。アドベンチャー、ミステリー、そして神話的なストーリーが次々と展開し、視聴者の興味を掻き立ててゆく。なかでも、実験を進めるべきか否か良心の呵責を感じるジョナス博士は、すべてのピースを繋ぐ重要な縦糸として機能。ジャンル横断的に出来事を詰め込みつつも、一本の物語として心地よくまとまっている。

優しさを感じるドラマだ、と表現するのはWashington Post紙。エイミーを護ると決めたブラッドへの賛辞だろうか。感傷的なシーンが作り物のように感じることもある、と苦言もこぼす同紙だが、総じて活き活きとした作品であり、視聴者は期待して良いと太鼓判を押す。元FBI職員のブラッドは、自身の信念を貫く理想的な主人公。組織の科学者たちの倫理観に疑念を募らせ、被験者の少女に救いの手を差し伸べる。昔からあるタイプの英雄像だが、それだけに人を惹きつける魅力はたっぷりだ。

悪役も子役も良好

静かに増殖するヴァンパイアは、本作にグッと緊張感を与えてくれる大切な存在だ。超常的なシーンに本作の強さが出ている、とUSA Today紙は語る。感染してヴァンパイアに堕ちた人間は、青白く痩せこけた姿に変貌し、他人の夢に侵入する奇妙な能力を手にすることになる。そのルックスと不気味な行動は、もはや新しいタイプの恐怖と言ってもいい。

悪役のみならず、子役サナイヤも実力を大いに発揮している。少女エイミー役をこなす彼女について、若き女優として注目に値する存在だ、とWashington Post紙は賞賛。『The Passage』がここまで勢いのある作品に仕上がったのは、彼女の貢献によるところが大きい。用心深い性格のエイミーが、年の離れたブラッドと育む友情も見どころの一つだ。

科学者と元FBI職員が倫理観に揺れる『The Passage』は、米FOXで放送中。ヘンリーが演じる愚直なデズモンドをもう一度観たい方は、Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoで配信中の『LOST』全6シーズンをチェック。デズモンドの登場はシーズン2から。(海外ドラマNAVI)

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