Netflixの新しい看板ヒーローに?『アンブレラ・アカデミー』のちょっとダークな7人組

アメコミを原作としたNetflixの新しいヒーローもの『アンブレラ・アカデミー』。オリジナルコミックの出版元ダークホースコミックスは、DCコミックスやマーベルコミックスに並ぶ人気を誇るアメコミの出版社である。Netflixは『Marvel パニッシャー』を含むNetflix×マーベルシリーズの終了を既に発表しており、『アンブレラ・アカデミー』は新しいNetflixの看板ヒーローものになるとアメコミファンを中心に話題となっている。

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原作コミックスのストーリーを手掛けたのはジェラルド・ウェイ。彼は2013年に解散したロック・バンド、マイ・ケミカル・ロマンスのボーカルだが、ミュージシャンになる前はアニメーターとして活動をしていた経歴を持つ。彼らの曲によく似た、スタイリッシュな作品に仕上がっている。

◆特殊能力を持った子どもたちと、億万長者が悟っていた世界危機

1989年、43人の女性が急に妊娠し、出産するという怪事件が起こった。このとき生まれた子どもを見つけ出して、できる限り養子にもらい受けようとした億万長者がいた。この億万長者のレジナルド・ハーグリーヴズ卿は養子に迎え入れた7人の子どもの養父として特別な教育を施す。このときに生まれた彼らには特別な力があると知っていたハーグリーヴズ卿は、彼らを世界危機に立ち向かえるスーパーヒーローとして特訓し、アンブレラ・アカデミーを結成。しかし、あまりに厳しすぎる教育に、思春期を迎えた彼らは反発。一人、また一人と家を出ていくことになる。

その後、バラバラに暮らしていた兄妹だったが、ハーグリーヴズ卿の謎の急死をきっかけに家に戻り、本当の世界危機が迫っていることを知るのだった。

◆共感できる、求めていたヒーロー像はここに

同ドラマのレビュー記事のタイトルで「絶対みるべきである」と断言したWashington Post紙は、これまでとは違うヒーロー像を求める人には非常に楽しめるドラマであると書く。同紙は、色とりどりの役者陣に焦点を当て、楽しめるポイントを紹介。

たとえば、世界危機が迫っていると教えてチームの再生を促す5番目(ナンバー5)は、他の兄妹が30歳を過ぎたはずなのに、タイムトラベルに失敗したせいで精神年齢はシニア、そして体はティーンという見た目だ。ナンバー5を演じる俳優は15歳のエイダン・ギャラガー(『モダン・ファミリー』)だが、心はシニアという難しい役どころを見事に演じており、細かい表情に注目だ。

また、病的に神経質でドラッグを常用し、ずるいのに憎めないナンバー4を演じるのはアイルランド出身の個性派俳優ロバート・シーハン(『Misfits/ミスフィッツ - 俺たちエスパー!』)。そして、ヒーローたちだけでなく悪役も魅力的であると評する同紙は、『アンブレラ・アカデミー』がNetflixの新しいヒーローものの始まりであるなら、素晴らしいスタートを切ったと評価している。

同様に、New York Observer紙のウェブメディアであるObserverに掲載されたレビューは、通信簿ならAの評価であるとして『アンブレラ・アカデミー』を「クラスのトップ」だと書く。ちょうどよいシリアス感と、スタイリッシュな遊び感が詰まっているとして、週末の数日をかけてみるのにピッタリな作品であるとしている。

同サイトは俳優陣だけでなく、ドラマのなかで使われる劇中音楽にも高評価を与えている。これは、原作者のウェイがアーティストである影響かもしれない。従来のヒーローものに欠けている、観る者が共感できるリアリズムと、それを彩る音楽のセレクションが心地よい相乗効果をもたらしているようだ。『アンブレラ・アカデミー』は物語、キャラクター、音楽の3拍子揃った優秀作といえるだろう。

Netflixオリジナルシリーズ『アンブレラ・アカデミー』は独占配信中。(海外ドラマNAVI)

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Netflixオリジナルシリーズ『アンブレラ・アカデミー』は独占配信中。