【日本未上陸】シーズン3ではカルト集団に密着!人気モキュメンタリー『Documentary Now!』

知られざる真実を解き明かしてくれる、ドキュメンタリー番組の数々。その信憑性のある映像スタイルだけを受け継ぎ、架空の事件を"取材"する体裁で好き放題にストーリーを展開してしまうのが、「モキュメンタリー」と呼ばれるエンターテイメントの一ジャンルだ。今年シーズン3に突入したコメディ『Documentary Now!(原題)』もこの類の作品。BBC Americaと同系列の米IFCで、2月中旬から放送されている。

ありそうでなさそうなカルト事件

番組司会のヘレン(『クィーン』のヘレン・ミレン)が各話冒頭でスタジオに登場し、毎回新しいドキュメンタリーを視聴者に紹介。そして実際にドキュメンタリーの内容を放送する、というのが流れになっている。

新シーズンでは2話を費やしてオレゴン州の小さな町に現れたカルトに密着。食べることを許された野菜しか口にしないという、奇妙な教えを掲げる集団だ。教祖のラ・ショーバード(『ミッドナイト・イン・パリ』のオーウェン・ウィルソン)は信者に対し、俗世への未練を断ち切るため、家族の名前を書いてこのカゴに入れなさいと勧める。しかし、家族の社会保障番号と口座番号も書き添えなさいと説き始めたあたりから、明らかな俗物の臭いが......。さらに第2話ではカルト集団の意外な正体が明かされる急展開に。フェイク・ドキュメンタリーで綴る新シーズンは、過去2シーズンと同じく7話構成予定。

作り込まれた世界にダマされないで!

お高くとまった真面目なドキュメンタリーへのからかいを交えた作品、と米Washington Post紙は本作を紹介。3シーズン目を数える今期、司会のヘレンは何の臆面もなく「シーズン52」の始まりを宣言したり、真面目な顔でドキュメンタリーの強烈なタイトルを紹介するなど、大英帝国勲章もアカデミー賞も受賞した73歳の大女優とは思えない発言が飛び出す。

ヘレンがこの役で出演していることがいまだに信じられない、と米AV Club誌はコメント。お堅い番組の空気と立派なキャストを前についついモキュメンタリーであることを忘れそうになるが、よくよく注意してみれば、耳を疑うような大嘘とナンセンスなユーモアが罠のように仕掛けられている。町に根を張りつつあるカルト集団のニュースは緊迫感に満ちているが、いつの間にやらバカバカしいまでにエスカレート。ドキュメンタリー作品へのパロディと風刺に満ちている。

時代がかった映像で架空の事件を振り返る『Documentary Now!』は、かなりクセの強い番組。それだけにWashington Post紙は、好き嫌いがハッキリ分かれるだろうとコメントしている。一種の嫌悪感を感じながらも病みつきになってしまうような、不思議な中毒性がある番組だ。特筆すべきは、ドキュメンタリーのテイストを非常に重視している点。番組後に流れるスタッフロールも、番組ではなくドキュメンタリーに付属するクレジットという体裁になっている。

単独のドキュメンタリー作品並みの構成、とAV Club誌も各話の構成を評価。小さな町を支配しつつあるカルト集団を取材した「実際の」映像と、その問題を伝える地元のニュース番組を交互に繋ぎ込みながらストーリーは展開する。ダイナミックな語り口に興奮させられ、瞬く間に深い世界に引き込まれるシリーズ、と同誌は魅力を語る。

ありもしない事件に固唾を吞む『Documentary Now!』は米IFCで放送中。日本で観られるモキュメンタリーをお探しの方は、Netflixのクライム・コメディ『アメリカを荒らす者たち』もぜひチェックを。(海外ドラマNAVI)

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ヘレン・ミレン
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