【レビュー】『アメリカン・ゴッズ』シーズン2、ショーランナー交代も映像美健在 神々の戦いのゆくえは?

鮮烈な映像美で神々の戦いを描く『アメリカン・ゴッズ』に、シーズン2が登場。3月10日(日)から米Starzで放送スタートした本シーズンは、日本でもAmazon Prime Videoで同時配信中だ。

元服役囚の就職先は、戦闘神の用心棒

刑務所から釈放されたばかりのシャドウ(リッキー・ウィトル)は、出所前日に妻を亡くす不幸に見舞われる。紆余曲折の末、怪しげな男・ミスター・ウェンズデイ(イアン・マクシェーン)の用心棒を請け負うことに。シャドウの過去をスバリ言い当てる彼の正体は、太古の時代の神だった。グローバリゼーションを司る新しい神・ミスター・ワールド(クリスピン・グローヴァー)の台頭に危機感を抱いたウェンズデイは、主導権を奪い返すべく、新しい神々に対する決戦の準備を昨シーズンで進めていた。

ミスター・ウェンズデイの正体はすぐに判明するが、視聴前に見抜くヒントも隠されている。英語の曜日名は、北欧神話の神々の名が由来。例として木曜日(Thursday)は戦いの神・トールの日(北欧の言語でThor"s dag)、金曜日(Friday)は女神フレイヤの日(Freja"s dag)が語源になっている。水曜日(Wednesday)は北欧の言語でOnsdagとなり、これはオーディンの日(Odin"s dag)にちなんだもの。ミスター・ウェンズデイという名そのものが正体を暗示しているという訳だ。

今シーズンでシャドウは、ウェンズデイの車に揺られて長旅に出る。目的地は、ハウス・オン・ザ・ロックと呼ばれる、岩壁の上に建てられた奇妙で巨大な見世物小屋。機械仕掛けの占い人形などが並ぶ展示室に、博物館とテーマパークが融合したような不思議なムードが流れる。その閉館後、警告を無視して巨大なメリーゴーランドに跨ったシャドウは、怒りに震える古き神々に出会い...。神々が火花を散らす、注目のシリーズ第2弾。

50年代テイストの映像美

非常に美しく、風変わりでよくできたシリーズだ、とNPRはコメント。開始早々に神々が繰り広げる戦いに、視聴者は惹き込まれることに。シーズン2製作前にはショーランナー2名が降板となり、ジェシー・アレクサンダーが新たに指名される交代劇が。その影響も感じさせず、今期も引き続き安定した品質の美しいビジュアルとなった。とくに第1話は、多くのキャラクターを巻き込んで、舞台も目まぐるしく移る。ぎゅっと詰まった高品質のエピソード、と米National Public Radioは評価。

英Telegraph紙は、ネオンきらめく幻想的な世界、と作品を評価する。審美的なスタイルは前任のプロデューサーたちが作り上げたもの。細かな点をあげれば、寺院で神々が激論を交わすシーンなど、CGとメイクのクオリティに若干難点がみられるが、あまり重箱の隅をつついていては、どんなドラマもつまらなく感じてしまうもの。シニカルな視線で見れば魅力は失せるが、作品の世界に浸れば素晴らしい体験が待っている、と同紙は述べている。

人間味溢れる神々の化身

登場するキャラクターたちも豊富で、それぞれに魅力的だ。Telegraph紙は、時に突飛に感じられるメインストーリーよりも、個性豊かなキャラクターたちに見応えがあると伝える。好色な愛の女神や気難しい暗黒と死の神など、さまざまな神が人間に姿を変えて登場。ウェンズデイという人間に姿を変えたオーディンも個性的な存在だ。

さて、そのウェンズデイがシャドウを戦いに引きずりこんだ理由は今のところ不明。シャドウと視聴者に伏せられている事実も多く、秘密主義とわずかなヒントにフラストレーションが溜まる、とNational Public Radio。のんびりと構え、ウェンズデイの目論見の全容が解き明かされる日を待ちたい。

新旧の神々が威信を賭けて戦う『アメリカン・ゴッズ』シーズン2は、Amazon Prime Videoにて配信中。本国同様、毎週日曜日に新エピソードが追加されている。

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『アメリカン・ゴッズ』
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