堅い信念のもとに古風な捜査手法を貫く刑事像が好評のAmazon Prime Videoドラマ『BOSCH/ボッシュ』に、最新のシーズン5が登場。数々の容疑者を検挙してきたボッシュ刑事に、不正捜査疑惑が浮上し...。4月中旬から新シーズンが始まった本作は、過去シーズンも含めて日本でも視聴可能だ。
絶体絶命のボッシュにさらなるピンチ
前シーズンでついに、長年追っていた母親の殺人事件にケリをつけたボッシュ刑事(タイタス・ウェリヴァー)。しかし今シーズンは麻薬密売グループに接近し過ぎ、その一味に身柄を拘束される危機に。
発端は2週間前、街角の薬局で起きた強盗殺人事件。現場に到着したボッシュは早くも、薬局が犯罪に加担していたことを見破る。経営状況を案じたオーナーの息子が、麻薬の一種であるオピオイドを大量に処方し、犯罪グループに横流ししていたのだ。しかし密売グループを深追いしたボッシュは拘束され、銃口を向けられるピンチに陥る。
さらには社会的な危機がボッシュに追い討ちをかける。ボッシュの娘でロスの地方検事局に勤めるマディ(マディソン・リンツ)は、ボッシュが20年前に手掛けたスカイラー事件の再調査に誤判究明部が乗り出したことを知る。当時の取り調べの映像から、ボッシュによる指紋の捏造が明らかに。他管区との統合でハリウッド署の殺人課が消滅するとの噂も出ており、ボッシュが築き上げた帝国に終焉の時が近づく。
第1話のタイトルは「真実は二種類」。ボッシュが娘との夕食の場で語るセリフから来ている。20年前の証拠捏造の真偽を娘に問われたボッシュは、「真実には二種類ある。悪意にねじ曲げられた真実と、心の中にある本当の真実」と語り、反社会的な容疑者を自白させるための正義感ゆえのブラフだったと力説する。しかし、常に困難を乗り越えてきたボッシュも、過去の事件の洗い直しに躍起の新任検事局長を前に、今回ばかりは分が悪い模様。いつも余裕の彼とは違う新しい楽しみ方ができるシーズン、と米Newsday紙は講評している。
よくある刑事ドラマとは違った趣のシリーズ、と米Screen Rant誌は評価。薬局での強盗事件から密売グループへと線が繋がる冒頭こそよくある刑事ドラマのような展開だが、ボッシュの過去の事件をめぐってロス市警と検事局との間に政治的駆け引きが発生してゆく様は、新たなタイプのスリルを楽しむことができる刑事ドラマだ。
一山越えた先の暗黒世界
長年追っていた母親殺しが一件落着し、やっと自身の人生を歩み出せるはずだったボッシュ。しかし、「過去は過去」とはいかないことを本作のファンならば知っているだろう。ボッシュの信じる世界観を打ち砕き、あるいは彼を地獄のような地下世界に引きずり込むような人物や出来事が、一定周期でボッシュに襲い掛かる、とNewsday紙は指摘。老練刑事の昔ならではで強引な捜査手法を、果たして現代の当局はどこまで許容するのか。
ボッシュのみならず、強力な脇役もシリーズの魅力を高めている。20年前の事件をめぐりロス市警内部でも再調査が行われる中、豊富なサブプロットとサブキャラクターが豊かな展開を約束。シーズン中盤でも中だるみ知らずの極めて珍しいシリーズ、とScreen Rant誌も高評価だ。
信念の男・ボッシュに検察当局の調査が迫る『BOSCH/ボッシュ』シーズン5は、Amazon Prime Videoで配信中。視聴記録を付けたりレビューが投稿できる海外ドラマNAVI作品データベースはこちら!(海外ドラマNAVI)
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『BOSCH/ボッシュ』シーズン5