ディズニー、今度はHuluを完全傘下に!

米国で今年の11月に新たな映像配信サービス、Disney+をスタートさせる米ディズニーが、現地時間5月14日(火)、米Huluを完全傘下に収めたことを発表した。米Varietyなどが報じている。

今回の決定が下される前までは、ディズニーとケーブルTV大手の米コムキャスト社がHuluの株式を所有していた。今回コムキャストが所有する33%のHulu株全てがディズニーに売却となり、ディズニーがHuluを完全子会社化することになる。日本のHuluは、2014年に日本テレビが経営権を取得しているためこの件には関係していない。

Huluは、NBCユニバーサル(2009年からコムキャスト傘下)、21世紀フォックス、タイムワーナー(現ワーナーメディア:2018年より米通信事業社AT&T傘下)、ディズニー等の合併事業であったが、今年3月、ディズニーが21世紀フォックス社の映画・テレビ部門を買収。そして、つい先月、AT&Tが保有していた約1割のHulu株を放出したため、ディズニーの出資比率は7割近くにまでなっていた。

今回の合意によると、経営権の譲渡は即日実施。コムキャストは2024年の1月からディズニーに保有株を売却することができ、ディズニーはその買取額を最低でも58億ドル(約6371億円)以上、その時点でのHuluの評価額は275億ドル(約3兆210億円)を保証している。

コムキャストのエンターテイメント部門であるNBCユニバーサルは、2024年までHuluにコンテンツのライセンス供与を続けるが、早ければ来年にはHulu限定だったコンテンツの提供をやめることができるようになるという。2022年以降は、Huluと契約しているコンテンツの大部分を取り消すことができる。そしてNBCユニバーサルにも、無料だがコマーシャルが入る、いわゆる通常の地上波TVの形態の独自配信サービスを来年ローンチする計画がある。

ディズニーのボブ・アイガーCEOは、今回の発表を受けて以下のようなコメントを発した。「Huluを、我々のダイレクト・トゥー・コンシューマー(直接消費者にお届けする)ビジネスに完全に統合し、ディズニーブランドとクリエイティブな力をフルに活用して、消費者にとってより魅力的でさらに大きな価値のあるサービスにできるようになりました」

一方、Huluを手放す形となったNBCユニバーサルのスティーヴ・バークCEOは、ディズニーとのこの新たな契約を"我々にとってパーフェクトな結果"と述べた。「我々は、ダイレクト・トゥー・コンシューマー・ビジネス、消費者向けの分野を強く信じており、そのビジネス形態において我々のコンテツはキーとなります。Huluのコンテンツライセンス契約の延長は、当社に多大なキャッシュフローをもたらします。一方で、自社のビジネスを構築しながらも、プログラムおよびコンテンツ配信の土台作りにおいて、最大限の柔軟性を得られます」

今回の買収を受けて、ディズニーはさらに幅広い視聴者層を受け入れることができるようになる。フォックス作品だけでなく、マーベルシリーズ、ピクサーシリーズ、ナショナル・ジオグラフィック作品、『スター・ウォーズ』シリーズなどルーカスフィルムも期待されており、更にディズニーはESPNというスポーツチャンネルを持っていることから、ESPN+、Disney+、そしてHuluという3本柱で、視聴者を取り込んでいく予定だ。

Netflix、米Amazon、そしてディズニーにCBS All Accessや、Facebook、Apple、NBCユニバーサル、Youtubeなど、米国だけにとどまらず世界中で益々激しい配信サービス戦国時代を迎えようとしている。(海外ドラマNAVI)