犯罪スリラーファン必見作『Jett』!『ブレイキング・バッド』ジャンカルロ・エスポジートが再び裏社会へ!

鮮やかな盗みの腕前を誇り、裏社会で名を馳せた一人の女性。怪しい稼業とは縁を切ったはずの彼女だったが、抗えない闇の勢力によって再び犯罪の世界へと引きずり込まれる。クライムスリラー『Jett(原題)』は、6月中旬から米Cinemaxで放送中。

一児の母、決別した闇の世界に再び

泥棒稼業で世界レベルの腕前を誇ったジェット(カーラ・グギーノ)。だが捕らえられ、獄中生活を送ったことをきっかけに、悪事から足を洗おうと決意。罪を償い釈放された彼女は、子どもとマリア(エレナ・アナヤ)という謎の女性とともに、穏やかな家庭生活を送る...つもりだった。

しかし、ギャング組織の冷酷なボス・チャーリー(ジャンカルロ・エスポジート)の指令を受け、「最後の仕事」として危険な任務に挑むことに。それには、元カレでありかつての仕事仲間でもあったクイン(ムスタファ・シャキール)を獄中から救出し、コンビを復活させることが必要となる。さらには東欧の窃盗犯・ミラン(グレッグ・ブリック)とも組み、ジェットは大仕事に取りかかる。

辛くもミッションを成功させた彼女だが、かえってギャングの親玉・チャーリーの関心を引く結果に。ジェットの腕を最大限に利用したい組織は、リスクの高い大仕事を次々と彼女に強要する。

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クライムスリラーの情緒たっぷり

腕利きの犯罪者がこれでもかと登場する本作は、緊張感みなぎるクライムスリラーの雰囲気を存分に味わうことができるシリーズ。表面上は気品あふれる悪玉や、回りくどく饒舌なトークを繰り広げるその部下たちなど、クライム作品には欠かせない濃いキャラクターが画面を賑わす。濃厚なベッドシーンや、予想外の仲間の裏切り、そして何より神秘的な主人公の魅力もあり、ずっしり濃密な視聴体験をもたらしてくれる。Cinemaxオリジナルの本作だが、長年続いているクライム小説を原作としているようにすら感じられると米Hollywood Reporterは述べ、作り込まれた世界観を絶賛している。

組織の圧力により無理やり裏社会へと舞い戻ることになったジェットだが、米IndieWireは、その恨みつらみを物語の中核に据えなかったのは好判断だと評価する。巧妙に練られたプロットが生み出す、興奮に胸が高鳴るような決行シーンが本作の一番の売りだ。敵対者を欺くため、ジェットは常に彼らの裏をかき、騙し討ちにし、そして臨機応変に計画を立て直してゆく。敵もさる者で、信頼できる仲間だと思っていた者が仮面を脱ぎ捨てて本性を現すといった展開も。要所で見せる主演カーラ渾身の格闘シーンも非常に本格的で、クライムアクション好きを唸らせる作品となっている。

監督の熱意と技量が屋台骨に

監督・脚本はセバスチャン・グティエレス。2018年に彼が手掛けたSFスリラー『エリザベス∞エクスペリメント』でタッグを組んでおり、本作『Jett』は監督および撮影監督が主演のカーラに惚れ込み、その思いが結実した作品だ、とHollywood Reporterは見ている。カーラ側も繊細かつ大胆な演技を披露し、その期待に十分応えたと言えよう。また、ギャングの親玉を演じるジャンカルロは、化学教師がドラッグの精製に手を染める姿を描くドラマ『ブレイキング・バッド』でも同様の役どころを演じており、冷酷なボスの姿にも期待したい。

IndieWireは、監督が脚本を執筆するにあたり用いたテクニックを評価。本作では時間の流れを前後させる技法を多用しているが、これにより特定のキャラクターに対して観客が抱いていた印象をひっくり返す効果が生まれている。予想とは違う人物関係が浮かび上がるなど、観る者の想像を心地よく裏切ってゆくシリーズだ。

母となった盗みの名手が葛藤する『Jett』は、米Cinemaxで放送中。(海外ドラマNAVI)

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『Jett』 © Cinemax