ティーンドラマ番付トップ10 『13の理由』からあの傑作モキュメンタリーまで 米紙が選出

若者世代が多くストリーミングサービスに加入するにつれ、近年ティーンドラマの需要は高まりつつある。ジャンルも質もさまざまな作品が量産されるなかで、米USA Today紙(以下UT紙)はいま注目のシリーズ10作品の評価を発表した。社会的波紋を呼んだ『13の理由』や恋のチカラを勇気に変える『デイブレイク〜世界が終わったその先で〜』まで、青春のエネルギーと苦悩を感じるシリーズに鋭く切り込んでいる。

なお、辛辣なコメントを含んだ記事なので、あまり批判的なコメントを知りたくないという方は評価の高い6位以上から読み始めると良いかもしれない。かっこ内は日本での視聴方法を示している。

♦︎10『13の理由』(Netflix)

ある女子高生が謎の自殺を遂げた後、ひとりの同級生の元に、彼女が生前に録音した7本のカセットテープが届く。そこには、彼女が死を選んだ13の理由が語られていた。秘密、ウソ、積年の恨み...誰もが何かを隠しているリバティ高校で、ついに、真実の扉が開かれる。

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10代特有の苦悩に正面から向き合った作品。自殺を神聖視していると捉える向きもあり、社会的な議論を呼んだ。シーズン1の最終話には大きなインパクトを残すシーンがあったが、公開から2年経った今年、視聴者の精神衛生に配慮して削除されている。これ以降のティーンドラマブームを生んだとUT紙は述べる一方で、シーズンを更新するにつれ脚本も演技も質が下がってしまった、と評価は厳しめだ。

♦︎9位:『デイブレイク〜世界が終わったその先で〜』(Netflix)

終末を迎えたロサンゼルスを満喫する落ちこぼれ高校生が、街をうろつくグーリーや悪ガキ集団と戦いながら、大好きな女の子を捜す。彼女はどこかで生きているはず!

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今年10月に公開されたばかりの新作ティーンドラマ。生物兵器により大人たちがすべてゾンビと化してしまった世界で、少年少女たちがモンスターとギャングを相手に死闘を繰り広げる。気候変動や銃社会に臨機応変に対応してゆくキャラクターたちが見応えのあるシーンを生んでいる、とUT紙。しかし、似た設定の6位『ザ・ソサエティ』の方が優れている、とも評価している。

♦︎8位:『マーベル ランナウェイズ』(Hulu)

6人のティーンエイジャーが自らの両親が実はスーパーヴィランだったという事実を知る。親たちに立ち向かうため団結し、特殊能力に目覚めていく6人のストーリー。

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マーベル作品としては珍しく、子どもたちを主役にしたシリーズ。コミックから派生した作品だがその出来には失望しており、原作への冒とくだ、とUT紙の評価は厳しめだ。コミック版と異なり、両親についてのプロットに時間をかけ過ぎたことが失速の原因となってしまったようだ。

♦︎7位:『ユーフォリア/EUPHORIA』(米HBO製作/Amazon Prime VideoのスターチャンネルEX)

17歳の少女・ルーはドラッグの療養を終えるが、身を立て直す見込みはなく...。ドラッグにセックス、そしてトラウマとSNS。そんな世界に生きる高校生たちの恋と友情を描く。

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こちらも賛否両論の作品だが、同じく高校生たちの現実を描いた10位『13の理由』よりも良質、とUT紙は述べる。薬物や未成年のセックス・シーンがたびたび描写されており、視聴率を稼ぎたい意図が露骨に出てはいるが、ゼンデイヤ演じる主人公少女のメインストーリーは、10代の社会を説得力たっぷりに描いている。

♦︎6位:『ザ・ソサエティ』(Netflix)

裕福な住民たちが暮らす美しい町から大人の姿が突然消えた。戸惑いながらも必死で生き抜こうとする高校生たちを、危険と裏切り、そして大きな謎が待ち受ける。

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街に立ち込める謎の悪臭、突如として消えてしまった大人たち、壁面に浮かび上がる奇妙な紋様――。ミステリーだけでも興味を引く作品だが、UT紙は10代キャスト陣の優秀な演技にも注目している。少年少女たちの関係性にまつわるドラマは超常現象以上に興味深い、とコメント。2002年にシーズン2の配信を予定している。

♦︎5位:『サブリナ:ダーク・アドベンチャー』(Netflix)

ハイスクールに通うサブリナは、人間界と魔界という2つの世界を生きるハーフの魔女。これまでの人生をすべて捨て、闇の洗礼を受ける時が近づくが...。

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誰もが過ごした少年少女時代に、魔法とホラーのアクセントを加えたような作品。現在20歳のキーナン・シプカの演技にはまだぎこちない場面があるものの、数々の愉快なシーンがそれを十分に補っている、とUT紙。

♦︎4位:『Looking for Alaska(原題)』(米Huluオリジナル/日本未上陸)

人生の視野を広げたい少年・マイルズは、全寮制の学校に入学。初日から親友を作るまでは良かったが、敵対者の出現と少女・アラスカと結んだある約束により、思わぬ方向に人生が転がり出す。

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映画『きっと、星のせいじゃない。』の原作者で米国出身の作家ジョン・グリーンによる小説がベースになっているが、舞台を現代に移しストーリーにも調整を加えるなど、映像化にあたって数々の工夫を施している。ドラマの出来栄えが原作を上回る数少ない実例のひとつだ、とUT紙は絶賛している。

♦︎3位:『PEN15(原題)』(米Huluオリジナル/日本未上陸)
主演のマヤ・アースキンとアナ・コンクルが実際に体験した中学生活をベースにした物語。実年齢30歳を超える二人が本物の中学生キャストに混じって、13歳の女子だった自分たちを演じる。周りから除け者扱いされる中学生時代を描いた、アダルトなコメディ作品。

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思春期の恥ずかしい思い出を笑いに昇華したシリーズ。最良のテレビドラマであると同時に、観るのにたじろいでしまうような作品でもある、とUT紙はコメント。性にまつわる空騒ぎを観ていると、忘れかけていた少年少女時代の恥ずかしい過去を思い出してしまうかも。

♦︎2位:『このサイテーな世界の終わり』(Netflix)

サイコパスの少年と、人生のすべてを変えたい少女が思いついたロードトリップ。けれどその道程は、思った以上に山あり谷ありで...。漫画が原作のブラックコメディ。

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ブラックジョーク好きにはたまらないシリーズ。誰かを殺したいサイコパスの少年が、勝気な少女と二人旅に出る。ナイフを隠し持ち少女の命を狙うものの、次々発生する道中のトラブルを前に、なんだかんだ助け合ってしまう。主役の少年少女二人の息の合った掛け合いにハマってしまう、とUT紙。

♦︎1位:『アメリカを荒らす者たち』(Netflix)

高校の駐車場に残された卑猥ないたずら書き。この低俗な犯行の第一容疑者である男子学生の無実の訴えに、1人の生徒が立ち上がる。風刺溢れる犯罪モキュメンタリー。

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犯罪検証ドラマの姿を借りたコメディ番組。卑猥ないたずら書きをした犯人を追いかけるシーズン1に始まり、次章では数十名をターゲットにした下剤混入事件へと危険度がレベルアップ。2シーズンで幕を下ろしたものの、非常に高い質を保てるうちにピリオドを打ったのは好判断だった、とUT紙は評価している。

以上、青春時代を思い起こさせる10作品をご紹介した。UT紙による評価は全般に辛めだが、いずれも紛れもない人気作だ。若い世代のカオスと冒険の世界にひとたび飛び込めば、決して後悔はしないだろう。(海外ドラマNAVI)

Photo:『デイブレイク〜世界が終わったその先で〜』© Ursula Coyote/Netflix 『13の理由』© Beth Dubber/Netflix 『ユーフォリア/EUPHORIA』 (c) 2019 Home Box Office, Inc. All Rights Reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc. 『マーベル ランナウェイズ』© 2017 MARVEL & ABC Signature Studios 『ザ・ソサエティ』© Seacia Pavao/Netflix 『サブリナ:ダーク・アドベンチャー』© Diyah Pera/Netflix 『Looking for Alaska』© 2019Hulu 『PEN15』© Alex Lombardi 『このサイテーな世界の終わり』© Netflix 『アメリカを荒らす者たち』© Tyler Golden/Netflix