『チェルノブイリ』監督の新作は、近未来の犯罪捜査もの

1986年に旧ソビエト社会主義共和国連邦のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故の真実に迫る実録ドラマ『チェルノブイリ』。本作で第71回エミー賞監督賞を受賞したヨハン・レンクが、今度は近未来犯罪ドラマを手掛けることがわかった。米Deadlineが報じている。

米HBOが製作するこの新作ドラマは、アメリカ出身の小説家ジョナサン・レセムの処女作「銃、ときどき音楽(原題:Gun, With Occasional Music)」を原作にしたもの。舞台は、皮肉に満ち溢れた暗黒街にSF要素が混ざった近未来。進化した動物が人間と対等に生き、市民はカルマと呼ばれる点数減点法で警察の監視下に置かれ、感情や記憶に干渉する合法的麻薬が蔓延した社会で生活をしている。

主人公のコンラッド・メトカーフは落ちぶれた私立探偵で、事件も解決できないような人物。だが、ある日報道された殺人事件の被害者は、自分の依頼人である有名な医師だったことに衝撃を受ける。彼に何が起きたのか解明するために調査を進めるが、知れば知るほどその闇は深いものだった...。

『マスター・オブ・セックス』『ボードウォーク・エンパイア』の脚本で知られるデヴィッド・フレボットがショーランナーを務め、レンク監督と共に製作総指揮も担う。現時点では、キャストや放送時期などは未定。


レンク監督は、『チェルノブイリ』を綿密な取材に基づいて一部始終を描き上げ、廃炉となったリトアニアの原子力発電所でロケを敢行。本作は、データベースサイトIMDbでの採点が過去最高の9.7点(10点満点)と、同じHBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』を超えて海外ドラマ史上最高評価を獲得した。

スウェーデン出身の彼は、実はシンガーソングライターとしてキャリアをスタート。自身のミュージックビデオを監督し始めたことから、その後マドンナ、カイリー・ミノーグ、ビヨンセ、デイヴィッド・ボウイなどシンガーの作品でもメガホンを取るようになる。その後2008年に製作した『Downloading Nancy(原題)』で映画監督を務め、それが『ブレイキング・バッド』クリエイターのヴィンス・ギリガンの目に留まり、同作で監督を務めることとなる。それから『ベイツ・モーテル』『ウォーキング・デッド』『ヴァイキング ~海の覇者たち~』などのドラマシリーズでもメガホンをとった。

先日発表された第77回ゴールデン・グローブ賞ミニシリーズ/テレビムービー部門作品賞を受賞した『チェルノブイリ』で一気にその名を広めたレンク監督。今までにない近未来の犯罪ドラマをどのように作り上げるのか期待が持てそうだ。(海外ドラマNAVI)

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