さらばホームズ&ワトソン!『エレメンタリー』シーズン7 三木眞一郎×田中敦子 直撃インタビュー

ホームズとワトソンが現代のニューヨークで難事件に挑み、しかもワトソンの性別を女性に変更するという大胆なアレンジで人気シリーズとなったスタイリッシュな痛快犯罪ミステリー『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』。そのファイナルとなるシーズン7が、いよいよ1月16日(木)よりWOWOWプライムにて日本初放送となる。今回はファイナル・シーズンの吹替え真っ最中の収録現場にお邪魔して、シャーロック・ホームズ役の三木眞一郎さん、ジョーン・ワトソン役の田中敦子さんを直撃! ファイナルを迎えた心境や見どころ、7年にわたる思いなどを語ってもらった。

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――ファイナル・シーズンとなるシーズン7の収録を迎えた心境を教えてください。

三木:これがシリーズのラストとなるのが分かっていたので、シーズン7に取りかかれるのはすごく嬉しいんですけど、「いよいよ終わりが始まるのか...」とちょっと複雑な気持ちではありました。シーズン6の収録を終えた時には「シーズン7がある! わーい!!」と嬉しくなったんですけど、それと同時に「終わるのか...」と(笑)

田中:なんだか子どもが巣立っていくような気持ちがしていて、成長して旅立っていくのが嬉しいことでもあるんだけど、寂しくもあるみたいなね。だから7年間付き合ってきて、苦楽をともにして...「楽」はなかったかな(笑)

三木:(笑)

田中:でも、「楽しさ」という「楽」はありましたね。そういう意味での苦楽をともにしてきたけど、「これでとうとう行ってしまうのね...」という寂しさは当然あります。

――シーズン7の収録現場の雰囲気はどのような感じですか?

三木:基本的には今までと変わらないですね。ただ、堀内賢雄さんが声を担当されているグレッグソン警部がシーズン7でしゃべらない回が少しあったので、賢雄さんがいらっしゃらないことが続いたんです。それによって、ずっと感じてはいたんですけど、賢雄さんによる現場の雰囲気作りへの功績の大きさをすごく感じる瞬間がありましたね。賢雄さんが収録に立て続けにいらっしゃらないことはそれまでなかったのですごい新鮮で、スタジオが静かだなと感じました(笑)

田中:三木さんのおっしゃる通りで、賢雄さんがいらっしゃる時といらっしゃらない時で雰囲気が全く違っていて、すごく寂しかったです(笑) とても優しくて楽しい方なので、スタジオの色がガラッと変わってしまうため、改めて存在の大きさを感じました。

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――シーズン7の見どころは?

三木:シーズン7を通してのメインとなるゲストキャラクターですね。

田中:新キャラなんですけど、シーズンを通しての最大の敵ですね。その最大の敵を追い詰めていくというのが今シーズンの中心にあって、そこに一話完結のストーリーが点在している感じです。

三木:今までのシーズンの作りを踏襲してはいますね。大きいエピソードがある一方、毎話ごとに完結していく事件が起きるという流れは変わっていません。だから、収録現場では「あと何本だね」という話は出ますね。それと、数少ない準レギュラーである検視官のホーズも登場します。

田中:ホームズのお父さんのモーランドが出てきたりとか、準レギュラー的に登場していたキャラクターが要所で顔を見せてくれて嬉しいです。

――フィナーレに向けて集大成的な感じですね。

三木:もうヤバいですよ!(笑)

田中:ヤバいですね(笑)

三木:「ヤバい」って、言葉的にはいかがなものかと思いますけど、一番伝わりやすい(笑) まず、ビジュアルでビックリすることがあるよね。

田中:そうですね。シーズン7は、ロンドンに行ってから1年半ぐらい経過した設定で始まるんですけど、それをどういう風に表現するかというところだと思うんです。ビジュアルで驚く点もあったし、シーズン6があのような終わり方をして、あれで完結と言ってもおかしくない感じだったじゃないですか。当初はシーズン6でシリーズが終了する予定でもあったので、そこから一体どうやって話が続いていくんだろうと思っていたんです。ロンドンに行っちゃったから『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in ロンドン』でやっていくのかなと(笑)

三木:シャーロック・ホームズ作品としては普通に戻るよね(笑)

田中:(笑) それで、どうやってNYに戻るんだろうと。もう戻ってこられないような重大な秘密を抱えたままロンドンに行っているわけですから、元に戻るためにどのような仕掛けがあるのだろうかと不思議でならなかったので、視聴者の方もすごく気になっているんじゃないかなと思います。

三木:詳しくは言えないですけど、本当に上手(笑)

田中:本当に上手よね(笑)

三木:ストーリーのつなげ方や展開が上手で、素晴らしいです。もう「ヤバい」とか「上手」しか言っていないですけど(笑)

田中:(笑) それに今回は全13話と短いシーズンになるので、いろいろなことがギュッと詰め込まれていて、逆に濃密なファイナルになっているんじゃないかと感じました。

三木:まるでコース料理で品数は前より減っているけど、一品ごとの密度は濃くなっている、みたいなね。

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――あらためて振り返ってみて、『エレメンタリー』という作品と演じた役柄は自身にとってどのようなものでしたか?

三木:すごい人と知り合ってしまったなという感じでした。この番組が決まった瞬間から田中さんと一緒だったんです。オーディションのボイスマッチから二人でやらせていただいて、ジョニー・リー・ミラーのシャーロック・ホームズと出会って。その時にはこんなに台詞が多いとは思っていませんでしたけど(笑)

田中:「役に決まったら大変そうな作品だよね」ということは二人でなんとなく話していたんですけどね(笑)

三木:そうなんですよ。家でリハーサルしていると家中の雰囲気が悪くなるんです(笑)

――あのホームズのしゃべり方を家で練習するとなると大変そうですね(笑)

三木:そうなんですよ。家の雰囲気がギスギスするんです(笑) でも、今までやってきたことを存分にぶつけていい役ですし、いろんな技術的なものも含めて言うと出会えてすごく良かったし、毎回、緊張感がありました。やっぱり思うのは、大人から子どもまで吹替版を見た時に日本語のうまい外国人がいっぱいいると思ってほしいんです。そういうところは台詞の多い少ないに関係なく突き詰めていきたいと思っていたので、どの仕事でもそうですけど、彼のおかげで気を抜くことがまったくできない7年間を過ごさせていただきました。でも、そこにはいつも横に田中さんがいらっしゃったので、ものすごく寄りかからせていただいていましたね。

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――作品ではホームズとワトソンの関係を"相棒以上、恋人未満"と称していますけど、お二人もまさしく"相棒以上"ですね。

田中:そうですね。ホームズがいなかったらワトソンも成り立たないですしね。二人で「7年って、小学校に入った子が中学生になる期間だよね」と話していました。私はこの7年間プライベートでもいろんなことがあって変化が大きかったんです。でもそんな中で『エレメンタリー』という作品、そしてルーシー・リューが演じるジョーン・ワトソンに精一杯向き合ってこられたと思っています。30年ぐらいこの仕事をしているんですけど、彼女は私の中での主演女優賞(笑) ルーシー・リューからもこの作品に賭けているという意気込みが感じられて、7年間を突っ走ってきたというのがよく分かったので、彼女と出会え、背中を押される形で演じきれたことを心から幸せだなと感じています。

――先程も堀内賢雄さんのお話がありましたが、シーズン1から一緒だったグレッグソン警部役の堀内賢雄さん、ベル刑事役のあべそういちさんとの収録現場での思い出は? シリーズ通算100回目ではお祝いもされていましたね。

三木:半年間収録して、半年休んでまた次のシーズンというスタイルなので、意外と節目が分かりにくいよね。

田中:こちらはシーズンで区切っているから、そうなんですよね。この間も通算150回目の時に、スタッフさんに「今日は150話だよね」と話したら、「そうなんですか!?」という反応だった(笑)

三木:僕も30年ぐらいのキャリアですけど、楽にはならないなと思いながら収録が終わると、みんなとは「今日も終わったね」と言い合える仲なんですよね。

田中:ほぼ毎回、終わった後に打ち上げと称してごはんを食べに行っていましたね。賢雄さんの優しさとか明るさに全員が支えられてきたと思うし、『エレメンタリー』が始まった当時は新人だったあべくんも、4人しかレギュラーがいない中で、出すぎもせず、下がりすぎもせず、そして仕事はキチンとやってくれるという職人さんのように頼れる仲間でした。この4人じゃなきゃできなかったって思うくらい感謝してます。

三木:チームワークは良かったよね。人数の多い少ないじゃなくて、本当にチームワークが良かったと思います。それは演出の簑浦良平さんのおかげでもありますね。

田中:本当にそうですね。

三木:たまに心ないことをポツリと言われますけど(笑)

田中:(笑) 犯人のミスリードのために「この役にこの人を使うのか!」という豪華なゲストをキャスティングされていて、簑浦さんのキャスティングの巧みさに感心することも多かったです。

三木:あと、収録のエンジニアさんも、ロール(※CMが入る箇所で本編を区切る部分。CMがなくても収録の区切りとして付けられる)ごとにマイクの高さや役者の動きも見てくださっていて、アドバイスをいただけるので助かりました。そういう意味ではスタジオの中だけじゃなくて、調整室の方も含めて座組としてすごくまとまっていた気がします。

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――最後に、『エレメンタリー』ファンの方々へメッセージをお願いします。

三木:これを言うと、本当に最後の取材っぽいよね(笑) 7年間、7つのシーズン、本当に皆さまのおかげだよね。

田中:本当にそうですね。私はこの作品づくりをとても頑張ったという自負もあるし、もちろん二人で頑張ってきたと思っているんですけど、やっぱりゲストの方々に支えられたなという思いも強いですね。見てくださる方が本当に面白いとずっと言い続けてくださったので、皆さんに最後となるファイナル・シーズンのラストまで勢いが衰えることなく、「すべてが面白かったね」と言ってもらえるようにラストまで走り抜けたいと思います。

三木:ここまで6シーズンをかけて見てくれている方たちがいらっしゃるわけじゃないですか。6年間ということは小学校を卒業していますよ! 卒業式に桜咲くみたいな感じですよね(笑)

田中:(笑)

三木:そうやって追い続けてくれた人たちを裏切らない作品として、ちゃんとフィナーレを迎えられると思います。日本語吹替版が途中で制作されなくなってしまう作品もある中で、吹替版として最後まで吹替ファンの皆様にお届けできるのは本当に幸せだなと思いますし、期待を裏切らない展開があって本当にもうヤバいですよ(笑) 最後の最後まで、すごく上手に、丁寧に、ヤバい展開を気持ち良く見せてもらえるので、最後まで追っかけていただいても損はしないと思います。よろしくお願いいたします。

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『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』シーズン7はWOWOWプライムにて1月16日(木)23:00よりスタート。
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(取材・文/豹坂@櫻井宏充)

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