スティーヴン・キングの息子なのに10年も下積み生活だった作家ジョー・ヒルって?『ロック&キー』

父親の死をきっかけに謎の屋敷に移り住んだ子どもたちが、様々な力を持つ魔法の鍵をめぐるミステリアスな冒険へと誘われていく...。Netflixオリジナルシリーズ『ロック&キー』が本日2月7日(金)より全世界独占配信となった。大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』に重ねられることもある本作の原作者ジョー・ヒルは、人気作家スティーヴン・キングの息子というサラブレッドだが、実は作品が売れないドン底生活を10年近く経験していた超苦労人だという。今回はそんなヒルについてご紹介しよう。

1972年にメイン州で生まれたヒルは、作家となり1997年頃から作品を発表。当初はキングの息子であることを隠しており、短編小説を数冊執筆し、いくつか賞を受賞し世間からある程度認められた2007年にようやくその素性を明かしたというエピソードを持つ。父の名を使わずに成功を掴んだ彼だが、それまでの道は苦難の連続だったようで、本人は当時の苦労を以下のように振り返る。

「昔は本を数冊出版したけど売れなくて、小説家としては失敗続きだったよ。アメリカで売れないから他の国で売ろうとしたけどそれも駄目で、さらに散々な結果になってしまった。どこまでも堕ちていって、ドン底と思った場所からさらに堕ちることがあるのを思い知ったよ...」

しかしある時、地道に書き続けていた短編小説が発掘され、チャンスが訪れる。「私の短編小説を読んだ新人発掘担当から「スパイダーマン」単行本のストーリーを書くのを手伝わないかと提案されて、チャレンジすることになったんだ。コミックは大好きで幼い頃から読んできたから嬉しかった。それから「スパイダーマン」のストーリーをいくつも作ったし、コミックのストーリーを書く仕事をもっとやりたいと思った。だから自分でもオリジナルのアイデアを考え続けていたんだ。その一つが、魔法の鍵が登場する謎の屋敷を舞台にしたダークファンタジーなんだよ」と、アメコミの仕事をきっかけとして『ロック&キー』が生まれた経緯についても語った。

その後、またとないチャンスが訪れる。「短編集を出版できる機会に恵まれた後、出版社が小説の一部をコミック化したいと言ってくれたんだ。そこで、私は相手が提案した小説ではなく、ずっと温め続けてきた『ロック&キー』ではどうかと伝えた。それが通り、動き出すことになったんだ!」

原作コミックの出版社、IDWパブリッシングの社長クリス・ライアルは、「ジョーが本作を売り込みに来た時、その唯一無二の独創性に感銘を受けた。神秘的かつ独創的、そして才気にあふれた作品だ。プレゼンでここまで魅力を感じた作品はないよ」と絶賛。見事ヒット作となったコミックの今回のドラマ化についてジョーは、「Netflixから映像化の提案を受けたんだ。どうすればコミックで描かれている物語を満足いく形で映像化できるのかを熱心に考えて、作品を深く理解してくれていたから本格的に動き出すことになったんだよ」と説明する。

父キングから継承した才能を発揮し、想像を超えた世界を創り出したジョー。彼の描くダークスペクタクル・ファンタジーから目が離せない。

ある日突然に父レンデルを殺されたロック家の3人の子どもたち、タイラー、キンジー、ボードと母ニーナ。彼らは父の実家に移り住み、一からやり直そうとする。タイラーとキンジーが新しい高校に慣れようとする中、まだ幼く家に残っていたボードは屋敷を探検していた時に敷地内の井戸から不思議な声を耳にする。その声から屋敷にいくつもの魔法の鍵が隠されていると聞いた ボードは、実際に鍵を見つけて大喜び。しかし、そんな彼らに危険が迫り...。不思議な鍵屋敷〈キーハウス〉をめぐって父の死の真相に迫る、危険でミステリアスな冒険が始まる――。

スティーヴン・キング作品へのオマージュにあふれていると言われる『ストレンジャー・シングス』はもちろん、キング作品そのものも彷彿とさせるNetflixオリジナルシリーズ『ロック&キー』は2月7日(金)より全世界独占配信。(海外ドラマNAVI)

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Netflixオリジナルシリーズ『ロック&キー』