「監督業を通じて、本作に改めて参加できた気がした」『エレメンタリー』ジョニー・リー・ミラー(シャーロック・ホームズ役)インタビュー

世界で最も有名な探偵シャーロック・ホームズが女性のワトソンと現代のNYを舞台に難事件の捜査に挑む『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』。そのシーズン6が3月4日(水)22:00よりスーパー!ドラマTVにて放送されるのに合わせて、ホームズ役のジョニー・リー・ミラーのインタビューをお届けしよう。新たな問題に直面するシャーロックを演じる彼に、シャーロックの魅力や役作り、今回初挑戦した監督業などについて語ってもらった。

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――『エレメンタリー』の現場に戻ってきた気分は?

通算130話くらいかな(編集注:シーズン6第1話が通算121話)、すごくびっくりだよ。始めた頃はこんなに長く続くとは思わなかったからね。これまでいろんな作品に出演したけど、こんなに続いたものは初めてなんだ。シーズン6を撮影できて感謝でいっぱいだよ。

――シャーロック・ホームズを演じる上で一番好きなところは?

安っぽく聞こえてしまうけど、かっこいいことを言えるのが大好きなんだ。それに彼は頭がいいだけではなくて面白い。ユーモアのセンスや、真面目な顔で冗談を言うところが好きで、演じていてすごく楽しいよ。

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――役作りはどのようにされているのでしょう?

僕が彼に似ているというより、僕がシャーロックのようになったというのが正確だと思う。彼と違って僕は気を張っている。覚えておかなければいけないことがたくさんあるからね。大量のセリフがあるのに、みんなからセリフを全部記憶しているものだと期待されているんだ。実は、僕は家に仕事を持ち込むのが嫌いなんだよ。夕方に作業をしたくない。脳を休ませたいからね。だから、撮影していない時や撮影の合間に、翌日の撮影のセリフを覚えているんだ。もし誰かがその最中の僕を見たら、すごく冷静な姿を目にすることになるだろう。そんな感じで、シャーロック・ホームズになるとか、このバージョンのシャーロックになるとかという役作りはしていないんだ。

――『エレメンタリー』のセットではどのように役に入るのですか?

私服でリハーサルをして、セリフをブツブツ言いながら合わせて...僕だけかな? 僕はブツブツとやってるんだ。そこから少し時間がある。メイクしたりヒゲを剃ったり。無精ヒゲの長さをちょうどよくして衣装に着替えたら、準備完了さ。

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――6シーズンにわたって同じ人物を演じるのは難しいですか?

ストーリーが変わらず同じことを何回も繰り返す舞台と違い、本作では同じ人物であっても毎回違う内容で演じることができるのがいいよね。

――シーズン6の冒頭でシャーロックはある問題を抱えていますよね。

脚本家は彼が困ってもがく姿を、薬物依存ではない何か、彼の頭脳で苦悩する姿を本当に見たかったのだと思う。頭脳は彼の最大の武器だから、その一番頼りにしている部分を邪魔される姿を見たかったのだろうね。

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――シャーロックとワトソンの関係はどのように発展しますか?

あまり変わらないよ。変化し過ぎることは誰も望んでいないからね。これまで二人の間にはいろんなことがあって、それぞれ個人としても様々なことを経験したけど、本質的には二人の関係性はそのままであってほしい。お互いのことをすごく気にかけていて、以前ほどではないが反発し合うこともある。時々ケンカすることもあるけど、本質的にはそれらを乗り越えて協力し合い、一緒に謎を解いていってほしいね。

――シーズン6でシャーロックにはマイケルという友人ができますね。彼はどんな人物なのでしょう?

マイケルはシャーロックに魅了されているようなんだ。そしてとても暗い秘密を持っていて、シャーロックを彼の世界に引き入れようとする。それからはシャーロックを弄ぼうとするんだ。

――マイケル役のデズモンド・ハリントンとの共演はどうでした?

彼とは以前『デクスター』でも共演しているんだが、とても素晴らしかったよ。本当にいい役者で素敵な人なんだ。彼が気味の悪い役を演じているのを見るのはすごく楽しいよ。本当は全然違う人だからね。

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――シーズン6でご自身初の監督業に挑戦されましたね。なぜ監督をやってみようと思ったのですか?

セットの上でいつもそのことを考えていた。この作品のセットで100話以上撮影しながら、いつか監督をやりたいとずっと考えていたんだ。そしていつからか、「やらなければ」と思うようになった。素晴らしい現場と互いに知り尽くしているクルーがいて、機材も揃っていて、さらに使い慣れているセットがあるというのは大きいよ。建物もレンガの壁も、撮影する場所のうち50%はすでに分かっていた。残りの50%はロケになったけどね。この機会を逃してはダメだったんだ。やらなかったら自分を蹴り飛ばしていただろう。(ワトソン役の)ルーシー(・リュー)が(一足先にエピソード監督を担当して)成功するのを見ていたしね。

監督をすることには、本当にずっと前から興味を持っていたんだ。ただ、実際撮影する前に少し時間が欲しかった。やるなら、ロケハンと前準備が一番大事だからね。それで、実際に監督するエピソードの撮影開始前に、仕事の前後の時間を使ってロケハンに行ったり、ミーティングを重ねたんだ。ミーティングでは小道具や衣装について打ち合わせたりして、全部が楽しかったね。そういう経験をして、このプロジェクトに改めて参加できた気がしたよ。

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――初監督を務めたシーズン6第6話「この指とまれ」の撮影で一番楽しかったことは?

どんな職業であろうと、僕の場合は役者で演技が仕事だけど、同じ仕事を何年もやっているうちに自分のルーティーンができて、いつも同じように進めるようになるものだと思う。そういう意味で、監督という新しい仕事を通して、6年も一緒に組んできた人たちと改めてつながることができたのは本当に素晴らしかったし楽しかった。

プロセスが最高だったね。脚本を逆から理解できるのも良かった。前準備が終わる頃には、すべてのシーンがどんなシーンになるのか、どこでどう撮影するのかがすべて頭の中に入っていた。実際の撮影作業も本当に楽しかった。結構スムーズに進んだよ。編集作業を見られたし、その次の話を撮影している合間に、自分が担当したエピソードに関してメールをやり取りしたり、いろんなファイルを見た。編集された映像を3000マイル(約4800km)も離れた場所にいる編集者と一緒に見たりもして、そういうプロセスも素晴らしかったね。彼らは何ができるのか、自分は何ができるのかを考えながら、カラーコレクション(映像の色彩補正)の作業もして。

本当にすべてが楽しかった。いろんなことに圧倒されてしまうこともあったけど、僕にやってほしいと思ってくれている人たちが監督としてやるべきことをサポートしてくれた。あと、カメラやレンズに関して、自分が思っていた以上に理解していたと分かったのも楽しかったな。

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――シャーロックの成長過程に関して何か意見を言うことはあるのですか?

脚本家やショーランナー(現場責任者)と話すことはあるよ。彼らはとてもオープンで僕たちの言うことに耳を傾けてくれる。何かぶつかってしまったら、彼らと一緒に解決するんだ。

――『エレメンタリー』が世界中で成功していることは驚きですか?

この作品では、成功するために必要なすべてのピースがあるべきところにあると思う。なので、しっかり気を配ればそれなりに良いものを作ることはできるはずで、僕らはそれができたと思うよ。ただ、ピースがあっても成功する保証はどこにもないわけだから、僕らはただただハッピーだね。

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『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』シーズン6 放送情報
スーパー!ドラマTVにて3月4日(水)22:00よりCSベーシック初放送
[二]毎週水曜 22:00~ ほか
[字]毎週水曜 24:00~ ほか
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『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』シーズン6
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