『9-1-1』バック役ら共演者の批判を受けてエディ役が差別発言撤回、謝罪へ

緊急通報ダイヤルから始まる、チームの絆が紡ぐレスキュー・ヒューマン・ドラマ『9-1-1:LA救命最前線』。同作で、消防士バックを演じるオリヴァー・スタークが、共演者の差別的用語使用についてのコメントを批判している。米TV Lineなど複数のメディアが報じている。

ことの発端は現地時間5月25日(水)、ミネソタ州ミネアポリスの郊外で起こったアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件。当時、武器を携帯しておらず無防備だったフロイドさんを死に至らしめたこの不当な暴行、ひいては白人警官によるアフリカ系住民に対する不当な捜査や暴力に対して、全米では抗議活動が広がっている。

このことを踏まえ、同作でバックの同僚でもある、シーズン2から登場する消防士エディ役を演じるライアン・グスマンがInstagram Liveで発した発言が問題となった。

ライアンの婚約者で一児の母である女優のクリスティ・アン(『パワーレンジャーズ』)が、2011年に黒人の差別用語であるニグロ、通称Nワードを使っていたとして、先日Twitterで謝罪文を発表。その内容では、当時のクリスティはアフリカ系男性と交際をしており、アフリカ系の友人も多くその文化に溶け込んでいたため、このような言葉も使っていたと弁明した。

それでも批判が相次いだため、クリスティの擁護としてライアンは以下のようなコメントを発した。

「私には黒人、白人、アジア人、インド人など、たくさんの友だちがいて、お互いの人種についていつもジョークを言い合っています。常にお互いを、人種差別的な中傷で呼び合っているのです。ですが私たちはお互いがどういう人間かをよく知っているので、侮辱されたとは全く思いません。お互いを傷つけるために言っているわけではないことを知っています。皆は(クリスティを批判して)一体何を成し遂げようとしているのですか? 人種差別主義者ではない人を人種差別主義者に仕立て上げようとしているのですか? いいや、そんなことはできないでしょう。我が家には人種差別的なエネルギーを持っている人間はいませんから」

婚約者が批判されているため、日常的にそのような言葉を理解した上で使っていると唱えたライアンだが、これにまたファンは抗議。「Nワードは絶対ダメ」「ライアン、お願いします。それはよくないですよ」とのコメントがついた。

その後ライアンは再び「すぐに批判する人たちに向けて、自分や家族を擁護するのはもうやめました。現実に起こっていることに目を向けて、アフリカ系コミュニティに何ができるかを考えたいと思います」と投稿した。

その投稿の2時間後、オリヴァーもTwitterで自身の考えを述べた。

「今日、キャストのひとりがInstagram Liveで言ったことについて、多くの人が私の考えを聞きたいと思っていることでしょう。私は、Nワードの使用にはいかなる言い訳もないと思っています。それはアフリカ系コミュニティのみで許されるもので、いかなる状況においてもアフリカ系以外の誰かが発することには同意できないからです」

さらに同作で、救命士ヘンことヘンリエッタを演じているアフリカ系のアイシャ・ハインズは、「毎日悲しみに暮れています。残念なことに、この弁護の余地のない結末は、この悲劇を悪化させるばかりです。私たちは、より深く理解し、行動できるはずです」と述べた。

さらに、同じくアフリカ系俳優で警察官アシーナの元夫マイケル・グラントを演じているロックモンド・ダンバーは、オリヴァーのTweetを引用し、「アフリカ系として言わなくてもわかってもらえると思いますが、確認のためにここで話しておきます。こんな馬鹿げたことは容認できません。アフリカ系でない人間が、私の周りでこの言葉を使うことは許しません」とはっきりコメントした。

一連の報道や反応を受けてオリヴァーは現地時間6月2日(火)に自身の発言を撤回、謝罪のコメントをInstagrramに投稿した。

「私は黒人以外の人がNワードを使うことを許しません。それはすべてのラテン系を含みます」と最初に述べ、続けて「(婚約者が批判にさらされるという)怒りからまともに考えることができず、言葉の選択を誤りました」とコメントし、インターネット上で婚約者や1歳になる息子までもが酷い言葉で脅迫されていることを明かし、家族を守るためにしたことだと伝えて謝罪した。

現在、本作のロケはなく、米国ではシーズン3が終了したばかりだが、今回の一件で、もしかすると共演者の間に溝が生まれたかもしれない。放送局であるFOXは、現時点ではこの一連のキャストの発言については触れていないが、番組公式Twitterでは「Black Lives Matter(黒人の命を踏みにじるな)」というキャッチフレーズを掲載しサポートを表明している。

今後の対応も気になるところだ。(海外ドラマNAVI)

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