1980年代に実際に起きた、有色人種の少年たちに対する免罪事件を鋭い切り口で描いたNetflixの問題作『ボクらを見る目』。本シリーズでクリエイターを務めたエヴァ・デュヴァネイが、アメリカン・フットボールのスター選手で、活動家でもあるコリン・キャパニックの高校時代を描くドラマを、Netflixで製作することがわかった。米DeadlineやNetflixメディアセンターが報じている。
キャパニックは、サンフランシスコ・フォーティナイナーズでクォーターバックとして活躍したナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のアメリカン・フットボール選手で、同チームに所属していた2016年8月に、「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」との理由で、試合前の国歌斉唱で起立を拒否し、大きな話題となった。
キャパニックとデュヴァネイがタッグを組むことになった6話構成となるミニシリーズ『Colin in Black&White(原題)』では、キャパニックがティーンエイジャーだった時代と、カリフォルニア州ターロックでアメリカン・フットボールとバスケットボール、野球で成功を収めた初期の時代が中心に描かれる。
キャパニック自身がナレーターを務める6話構成の本シリーズは、2019年に企画が始まり、今年5月に脚本が完成。白人家庭の養子として育った黒人少年キャパニックの子ども時代と、クォーターバックの選手として才能を開花させながら、自身のアイデンティティを見出していく過程を、本人自らの視点で振り返るリミテッドシリーズ。キャパニックが、いかに社会的に、そして文化的な良心を発達させていったか、その影響や彼が育った環境にフォーカスが当てられるとのこと。特にキャパニックの礎を築いた高校時代に焦点をあて、活動家となる今日に至るまでの行動や経験について詳しく描いていく。
It"s been a pleasure working with @ava, @StarrburyMike, and the entire writing team on this project for over a year now.
I look forward to sharing these moments of my life with all of you! https://t.co/IBYXQb69OH
-- Colin Kaepernick (@Kaepernick7) June 29, 2020
デュヴァネイが手掛けた『ボクらを見る目』で脚本を担ったマイケル・スターブリーがペンを執り、デュヴァネイとキャパニックと共に製作総指揮も兼任する。
現在は自費出版の回顧録に取り組んでいるキャパニックは、2016年の国歌斉唱で起立を拒否して以来、どのチームからも選手として契約をオファーされておらず、2019年のシーズン終了までNFLの試合に出場していないそうだ。
デュヴァネイは製作決定を受けて次のようにコメントを発表。「コリン・キャパニックは自らの抗議行動で、人種や公正についての国全体を巻き込む議論に火をつけ、アメリカン・フットボール、文化、そして彼自身に大きな影響を及ぼしました。コリンのストーリーは、アイデンティティ、スポーツ、そして決してくじけることなく抗議の声を挙げ続ける不屈の精神について、多くを物語ります。Netflixとこの物語をドラマ化できることを、私はとてもうれしく思っています」
そしてキャパニックは、「人種や黒人を題材にした物語は、白人の視点で描かれる場合がほとんどですが、私たちは、黒人たちに突きつけられているさまざまな現実を、新たな視点で伝えたいと思っています。本作は、白人コミュニティで養子として育った黒人の私が、高校時代に直面した人種間の対立について掘り下げていきます。こうした経験を、エヴァとのコラボレーションにより世界の人々に見ていただけることを光栄に思います」と語った。
Netflixのオリジナル・コンテンツ部門でバイスプレジデントを務めるシンディ・ホーランドは、「コリンの経験した出来事と、彼の創造的なビジョンをドラマ化できることを、私たちは誇りに思います。コリンとエヴァが手を携えて、彼の力強いストーリーとメッセージを世界中の視聴者の皆様にお届けします。揺るぎない明確な主張を持つ二人の鉄壁のタッグにより、アメリカで黒人として生きるとはどういうことかを描き出します」と力強いメッセージを発した。
『Colin in Black&White』は、今年の秋に撮影開始の予定だ。(海外ドラマNAVI)
Photo:コリン・キャパニック公式Twitterより(@Kaepernick7)