米NBCで2013年から2015年まで3シーズンにわたって放送されたサスペンスドラマ『ハンニバル』では、デンマーク出身のマッツ・ミケルセンが有名なキャラクターであるシリアルキラーのハンニバル・レクターを演じ、彼のハマり役の一つとなった。しかし、そもそもNBC側はほかの俳優を候補として考えていたことが明らかになった。
母国デンマークの至宝と言われ、2006年には英国発の大人気映画シリーズ『007/カジノ・ロワイヤル』で悪役を演じ、2012年には『偽りなき者』でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞したマッツ。アメリカの大作映画にも2000年代から出演しているが、ドラマはそれまで母国のものしか出ていなかったため、それが放送局側にはネックだったのかもしれない。
米Colliderとのインタビューで、クリエイターのブライアン・フラーは製作前からハンニバル役にマッツを考えていたが、NBCはアメリカのドラマ向きの人選を考えていたため、キャスティングについて闘わなければならなかったと語っている。
「興味深いやり取りだったよ。私がハンニバル役として"マッツ・ミケルセン!"と言うと、NBCは"ダメだ。ヒュー・グラントはどうだろう?"って答えるから、私は"いいよ。オファーすればいい。彼はノーって言うから"とやり返し、実際に彼らは依頼したがヒューが断ったんだ。で、あらためて私が"マッツ・ミケルセンはどうだろう?"と推すと、NBCは"では、ジョン・キューザックはどうかな?"って切り返すから、私は"いいね。オファーしてみたらいい。彼は断るから"って答えたんだ。で、彼らがジョンにオファーするとノーという返事だったから、私はまたもや"マッツ・ミケルセンはどうだい?"って提案したんだ。(ウィル・グレアム役に)ヒュー(・ダンシー)が配役された後、そんな堂々巡りが3~4カ月ほど続いて、しばらく続きそうだった。最終的に私が、"マッツが適任だ。私がハンニバル役に考えているのは彼だし、私はハンニバルについてしっかりと理解して脚本を書かなくちゃいけないんだから」と説得したというから、まさにフラーの粘り勝ちだったとも言えそうだ。
『羊たちの沈黙』などのハンニバル役で有名なアンソニー・ホプキンスと同じく英国出身のヒュー、2012年の映画『ペーパーボーイ 真夏の引力』で死刑囚を演じていたアメリカ出身のジョンがもしハンニバルを演じていたらどうなっていたのだろう。最終的にマッツが起用されたことは大当たりで、3シーズンすべてサターン賞にノミネートされるなど高く評価された。
近年悪役も増えているヒュー・グラントなら、よりコミカルなハンニバルになっていた!?
いい人、人間くさい役が似合うジョン・キューザックだと今とはまったく違うハンニバルだったはず
なお、シリーズ復活を望む声が根強くあがる本作は、6月に米Netflixで初めて配信開始。7月にはフラーとマッツ、ヒュー、ジリアン・アンダーソン(ベデリア・デュ・モーリア役)、カロリン・ダヴァーナス(アラーナ・ブルーム役)ら主要キャストが集結し、『ハンニバル』のバーチャル・リユニオンが開催されている。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ハンニバル』 © 2015 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. ヒュー・グラント © NYKC/FAMOUS ジョン・キューザック © AVTA/FAMOUS