映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのロバート・ゼメキスが製作総指揮を務める大型ミステリー&ヒューマンドラマ『MANIFEST/マニフェスト』。5年半という空白の期間を経て、舞い戻った登場人物たちの苦悩や葛藤が色濃く映し出される同作で、事件の真相に迫ろうとするニューヨーク市警の刑事ミカエラを演じるメリッサ・ロクスバーグと、その兄で家族思いの良き父親ベンを演じるジョシュア・ダラスの二人に直撃インタビュー。シーズン2の見どころや役作り、これほどまでの大ヒットドラマに出演して変化したことについて語ってもらった。
――『マニフェスト』のどんなところに魅力を感じますか?
メリッサ・ロクスバーグ:ミステリー的要素と家族を描く要素のバランスがよく取れていると思う。ミステリー要素が登場人物たちの人間関係に根差しているところが良い。
ジョシュア・ダラス:メリッサの言う通りだよ! 見事に答えを盗まれたね。
――TVシリーズの場合、長期間にわたり同じキャラクターを演じるわけですが、自身の中にキャラクターを維持するために、特別にしていることはありますか?
ジョシュア:確かにチャレンジなことはある。でもこういう長期にわたるTVシリーズは、キャラクターが変化を遂げていくところに醍醐味があるんだ。
『マニフェスト』の場合は、この先何が起こるかわからないから、登場人物は否が応でも冒険を強いられ、その中で変化を遂げることになる。シーズンが進むにつれて、キャラクターが思わぬ成長を遂げるから飽きない。これは製作総指揮のジェフ・レークによるところも大きくて、登場人物には様々なプレッシャーがのしかかってくるようなストーリー展開になっているから、変化しないわけがないんだ。そういうキャラクターのあらゆる局面を余すところなく演じられるのが、長きにわたるシリーズを演じる醍醐味だと思うよ。
――メリッサさんとジョシュアさん、お二人から見たミカエラとベン兄妹の魅力とは?
メリッサ:二人は陰と陽のように相反する関係でありながら、釣り合いの取れた関係性だと思う。ミカエラは感受性豊かで、信念を軸にした女性。その一方で、ベンはとても合理的な男性。それでも二人は深く愛し合っている。
シーズン1では母に先立たれてしまうなど、すっかり様変わりしてしまった世界へ戻ってくるから、それまでの二人の間にあった少しのズレや違いを乗り越えて一心同体になる。
ジョシュア:メリッサは良い人だから共演してて楽しいよ。
メリッサ:ジョシュも悪くないわ(笑)
ジョシュア:兄妹を主人公に据えたこういうシリーズは良いよね。二人の関係性の描写もすごく良いと思う。シーズン2では、この二人の関係が相当試されることになるんだ。でも、メリッサが言ったように、ミカエラとベンは物の見方や物事に対するアプローチが対照的だから、観ていて面白いと思う。共演しているメリッサとは出会った日から、信頼関係が出来上がっていたというか、相性がすごく良かった。それは、作れるものではないと思う。だからラッキーだったよ。
――シーズン1で印象的だったのは、ミカエラが物事を冷静に捉え行動する姿でした。もしも、自身の身にも実際に5年半の時が経過してしまうような出来事が起きたら、ミカエラのように対応できると思いますか?
メリッサ:とてもミカエラのようには対処できないと思う。5年半が経過していたと知ったら、たぶん気がおかしくなると思う。誰かに相談せずにはいられないし、ミカエラのように回復することはできない。ベンもミカエラも事態に見事に対処しているよね。
――自身も二児の父親というジョシュアさんですが、息子を守るために全力を尽くすベン・ストーンという役柄を演じてみていかがでしたか? 自身の私生活と重なる部分、または役柄を通して改めて気づかされたことはありますか?
ジョシュア:ベンの子どもに対する愛情には大いに影響を受けているよ。ただ、シーズン1のベンは子どもを守るためなら、どんな危険も厭わないけれど、僕自身が同じような状況にいたら、そこまでのことができる自信はない。そういう意味では、ベンは周りが見えなくなっている時がある。
ベンは完全に自覚していなくとも、子どもとその瞬間を精一杯生きなければという意識がどこかで働いているのかもしれない。骨を追いかける犬のように、事件の真相解明に夢中になるあまり、子どもの心がどういう状態にあるのかが二の次になってしまうことがよくある。でも、そこは一人の父親である僕としても、とても学びになる部分かもしれないね。自分も子どもと一緒にいる時はもっとマインドフルにならなければならないと思っているよ。
――5年半という月日が一瞬にして過ぎてしまい、タイムスリップを経験したキャラクターを演じていますが、この設定だからこそ、役柄を演じる上で難しく感じた部分、チャレンジだった部分を教えてください。
メリッサ:自分では到底想像のつかない状況を演じる難しさはあるの。ヒューマンドラマやラブストーリーなら、自分の経験をベースにできるけれど、未来へのタイムスリップはさすがに未経験だから、表現するのが難しい。
ジョシュア:ことの重大さを演じる難しさはある。コメディではないからね。コメディにはコメディの難しさがあるけれど、『マニフェスト』には全然違う難しさがあって、それは5年半もの間、消息を絶った飛行機がタイムスリップするというハイコンセプト且つ、ものすごく重い状況を描く難しさ。信憑性を持たせるには、相当なエネルギーが必要で、長時間におよぶ撮影だと特に難しい。幸い脚本も素晴らしいし、スタッフもキャストも優秀だから、お互いにレベルアップしようと切磋琢磨しているんだ。
――『マニフェスト』という大ヒットドラマに出演したことで、ご自身の生活に何か変化はありましたか?
ジョシュア:飛行機に乗るのが大変なんだ! ほかの乗客やパイロットに「縁起でもない」なんてことを言われるんだ。
メリッサ:そう! 飛行機に乗ったら、パイロットから「君に乗られたら困るよ」と言われたことがあるの。だからデルタ便にはもう乗れない(笑) でも、このシリーズで得た出会いは大きかった。ラッキーだと思ってる。
――比較的重たい内容の作品ですが、撮影現場での雰囲気はいかがですか? お二人も含めて、現場を盛り上げる面白い人はどなたでしょうか?
メリッサ:ジョシュは本当にみんなを笑わせるのが上手いのよ! イタズラ好きというわけではないけれど、彼の言うことにはお腹を抱えて笑ってしまう。笑っちゃうから撮り直しが、とにかく大変なの!
ジョシュア:現場は明るくなきゃね! 現場にいるみんなはお互いに家族のような存在だから、支え合っている。16時間労働で疲れてしまうから、多少の笑いがある現場にしなければならない。僕は別にイタズラ好きというわけではないけれど、メリッサを笑わせるのは楽しいよ。それが僕の仕事だと思っているからね。
――では、現場で一番面白い人は?
メリッサ:ジョシュよ!
ジョシュア:それを受けて本人が「そう、自分だ」とは言えないよ。
メリッサ:ここは「いや、一番面白いのはメリッサだよ」とフォローを入れるところよ。
ジョシュア:そうか! 現場で一番面白いのはメリッサだよ。メリッサのノック・ノック・ジョークは最高だ!
メリッサ:「どなたぁ?」(笑)
(※以下、シーズン1のネタばれを含むのでご注意ください)
――シーズン2の展開が非常に気になります。ネタばれにならない範囲で、見どころを教えてください。
ジョシュア:シーズン1は銃撃があったり、828便の乗客に余命5年半という事実が判明したり、ベンの妻の妊娠が明らかになったりと、クリフハンガーで幕を閉じたけど、シーズン2はその続きから始まる。
まずは誰が誰を撃ったのかが判明する。そして、5年半という余命宣告がシーズン2以降のストーリーを推し進めるとても重要な要素になり、登場人物たちはこの死亡推定日をなんとしてでも変えなければならないという使命に掻き立てられる。そして、ベンの妻グレースが身籠った子どもの父親も驚きの展開の中で判明したり、ベンとグレースの夫婦としての絆が試されるなど、驚愕の展開が待ち構えている。でも、まずは銃弾の行方を追うことになるよ。
メリッサ:ミカエラとジャレッドとジークによる三角関係も一つの見どころで、そこから派生したトラブルも起きる。ネタばれなしに説明するのは難しいのだけど、ジャレッドは思わぬ道を辿ることになるの。
ジョシュア:シーズン2は本当に見どころ満載で、驚きの展開がたくさん待っているよ。『マニフェスト』はそういうシリーズなんだ。最後にはビックリ仰天するようなフィナーレが待っていて、828便の謎にさらに迫る。また、サンヴィがセラピストの元へ通うようになるわけだけど、そのセラピストが危険人物であるというのはみんなもご存じの通り。ライオンの巣穴に飛び込むわけだから、とんでもない展開が待っているのは間違いないね。
最後にジョシュアは、日本の"マニフェスタ"(『マニフェスト』のファン)に向けて「愛してるよ~!」というメッセージもくれた。
あまりにも衝撃的な展開で幕を閉じ、視聴者を唖然とさせたシーズン1。物語はシーズン2で核心へと向かっていくのだろうか? ぜひとも、謎が謎を呼ぶ衝撃展開の連続に注意を向けながら、快適な"フライト"をお楽しみいただきたい...。
『MANIFEST/マニフェスト』待望のシーズン2は、10月20日(火)22:00よりスーパー!ドラマTVにて独占日本初放送。またU-NEXTにてシーズン1が見放題独占配信中。
(取材・文/zash)
Photo:メリッサ・ロクスバーグ&ジョシュア・ダラス
『MANIFEST/マニフェスト』シーズン2 (c) Warner Bros. Entertainment Inc.