2分しか出番がなくても参加したいと思った!『ユートピア~悪のウイルス~』インタビュー【4】

鬼才デヴィッド・フィンチャー(『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『セブン』)も惚れ込んだ英国ミステリードラマのリメイクとなるAmazon Original『ユートピア~悪のウイルス~』が10月30日(金)より独占配信中。カルト系コミック「ユートピア」に心酔する4人のファンが、地球上で起きる大災害を予見する原稿の存在を知ったことで、謎を解明し、悪のウイルスの蔓延を防ぎ、世界の終わりから人類を救おうとする...というストーリーだ。クリエイターを担うのはギリアン・フリン(『ゴーン・ガール』『KIZU-傷-(別題:シャープ・オブジェクツ)』)。キャストにはジョン・キューザック(『ハイ・フィデリティ』)、レイン・ウィルソン(『ジ・オフィス』)、コーリー・マイケル・スミス(『GOTHAM/ゴッサム』)らも名を連ねる。

そんな注目作のキャストたちのインタビューを5回に分けてご紹介! 今回登場するのは、4人のコミックファンのうち、カップルとなるアシュリー・ラスロップ(ベッキー役)とダン・バード(イアン役)。キャスティングの裏話や奇妙な符合について語ってもらった。

――お二人が演じるベッキーとイアンはとてもキュートなカップルですが、彼らのケミストリーをどうやって作り上げたのですか?

アシュリー:実は私たちは一度も会うことなくキャスティングされたの。カップル役のオーディションでは普通、最初に一人ずつ受けて、その後で候補者同士を組ませてその相性を見てから決めることが多いんだけどね。でもこの場合、私がダンと初めて顔を合わせたのは配役が決まった後の、台本読みのタイミングだった。だけど幸運にもケミストリーを自然に作ることができたのよ。そこには、私たち自身がベッキーとイアンのようにまったくタイプが違うことが関係しているかもしれないわね。もちろん共通点もいくつもあるわ。お互いに素敵なカップルにしたいという同じゴールを目指しているしね。そういうことが助けになったと思う。

ダン:新しい作品に関わる時にはすべてが目新しいものだけど、この作品におけるベッキーとイアンは特殊な状況に置かれ、同じ目標に向けて力を合わせることになる。そういうキャラクター同士の繋がりが、僕ら自身が急速に絆を深めるのに役立ったと思うよ。そうでなければもっと時間がかかっただろうね。

――同じAmazonの『The Boys/ザ・ボーイズ』のように、本作は決して完璧でない人たちが巨悪と闘うために立ち上がるストーリーです。あなたが考える本作の魅力を教えてください。

アシュリー:たしかにこの作品も巨悪に立ち向かうストーリーね。アクションスターが活躍する作品もいいけど、本作のようにどこにでもいるような普通の人が主人公の作品も面白いと思う。見ている人たちが登場人物に自分を重ねて、"自分が同じ状況だったらどうするだろう?"と考えることもできるもの。

ダン:同感だね。そしてこの作品はいろんな点でユニークだ。アメリカのドラマ界では誰も聞いたことがないようなストーリーだと思う。あと、ギリアン・フリンという才能豊かな人が関わっているところも魅力の一つだね。

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――脚本を初めて読んだ時の感想は?

アシュリー:実は数年前、別のネットワークでこの企画が進められていた時に脚本を読んでいたの。結局そちらは流れてしまったんだけど、その時に脚本を読んでオーディションも受けていたのよ。ベッキー役とは違う、すぐに殺されてしまう端役としてね。その時に脚本に惚れ込んで、たとえ2分しか出番がなくてもいいから参加したいと思った。だからエージェントに伝えたの。「どんなに小さな役でもいいから、この作品に出たい!」ってね。こうして出演することができて本当に感激よ。出演が決まった時は思わず泣いてしまったくらいなの。

――出演が決まった時はいかがでしたか?

ダン:このオーディションでは苦労したことを覚えているよ。そういう時は十中八九うまくいかないから、役を得られたと知った時はまるで宝くじに当たったような気分だったね。ギリアン・フリンのファンだったから、彼女が新境地に挑戦したこの作品に関わることができて嬉しかったよ。

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――本作に出てくるウイルスの話題は、新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威に苦しむ現在では非常にリアルなテーマです。それについてはどう思われますか?

アシュリー:まずは作品を楽しんでもらえればと思うわ。それこそが私たちの目標だから。本作はスリラーであり陰謀も出てくるけど、ロマンスもあるの。いろんな感情を感じてほしい。

ダン:優れた作品はみなそうであるように、本作も現実を反映している。ただし、形式ばっていたり説教くさい内容にはなっていない。フィナーレの第8話まで見てもらえたら、成功と言えるだろうね。

――本作撮影後に新型コロナウイルスによるパンデミックが起きたことについて、どう思われますか?

アシュリー:時同じくしてこんなことが起きるなんて、不思議な気分だった。撮影中はとても楽しかったから。

――オリジナルはご覧になりましたか?

ダン:オリジンを知りたかったので見たよ。でも、そちらに敬意を払いつつも僕ら自身のバージョンを作りたかったので、セットに入ったら英国版のことは完全に忘れるようにした。頭の中に元のイメージがあると、その真似をしようとしてしまって、新しい表現ができなくなる可能性があるからね。それでは単に出来の悪い焼き直しになってしまう。英国版を元にしながらも新しいストーリーを綴ることがそもそもギリアンの意図したことだから。オリジナルはあるけど、『ユートピア』を独立した一つの作品として捉えてもらえればと思うよ。

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『ユートピア~悪のウイルス~』(全8話)は10月30日(金)よりAmazon Prime Videoで独占配信中。

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Amazon Original『ユートピア~悪のウイルス~』