『エージェント・オブ・シールド』ファイナルシーズンは2020年最高のマーベル作品

続々とDisney+(ディズニープラス)によるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマシリーズの製作が発表されているが、MCU初となる長編ドラマシリーズ『エージェント・オブ・シールド』が、今年8月に放送されたシーズン7をもって幕を閉じた。米メディアColliderは本シリーズが「2020年における最高のマーベル作品」だと分析している。

2013年に米ABCで放送開始された『エージェント・オブ・シールド』(以下『AoS』)は、2012年に公開されたマーベル映画『アベンジャーズ』のスピンオフドラマとして製作。オリジナル映画が公開された翌年に放送開始されたこともあり、マーベルやアメコミファンの期待が大きく、シーズン1の初回放送は1200万人もの視聴者を獲得した。

シリーズは2013年~14年にかけて公開されるマーベル映画と結びつくことを示唆し、マーベルファンにとって『AoS』は見ておなければならないシリーズとなった。しかし、1シーズン全22話の構成は長すぎた。シリーズは映画と足並みを合わせるために数週間もストーリーが堂々巡りを続け、シーズン1の終盤では視聴者数が500万人に減少した。

そして、シーズン2でもその数字を挽回できず、視聴者数は300万人まで落ち込み、もはやキャンセルの危機に瀕したシリーズは映画作品とクロスオーバーする意味がなくなり、独立してストーリーが描かれるようになったときに、『AoS』が本領を発揮することとなったのだ。

特に『AoS』は、MCUにおいて最高だと言えるレオ・フィッツ(イアン・デ・カーステッカー)とジェマ・シモンズ(エリザベス・ヘンストリッジ)が繰り広げた切ないロマンスを生み出した。また、映画よりも多様性のあるキャストも注目。アジア系女優のミンナ・ウェンとクロエ・ベネットがオリジナルキャストとして名を連ね、黒人俳優のヘンリー・シモンズがアルフォンソ・"マック"・マッケンジーに扮し、メキシコ出身のナタリア・コルドバ=バックリーがエレナ・"ヨーヨー"・ロドリゲス役で出演した。

『AoS』は長期にわたって物語を綴れるドラマシリーズという強みを活かし、1本が2~3時間で終わる映画シリーズでは描き切れなかった物語の背景を丁寧に掘り下げる。映画ではできなかったことを実現した功績は大きいだろう。そして、独自のストーリーを展開することで、着実にファンを増やし、シーズン更新に必要な視聴者数を獲得していた。

さらに2020年は、5月に公開を控えていた『ブラック・ウィドウ』でMCUのフェーズ4が幕開けするはずだったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、今年にリリースされる予定だった映画全作品が2021年に延期に。よって、視聴率の激しい落ち込みから見事に起死回生し、シーズン7をもって有終の美を飾った『エージェント・オブ・シールド』のファイナルシーズンは、2020年でマーベルがリリースした最高の作品だと言えるだろう。(海外ドラマNAVI)

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Photo:『エージェント・オブ・シールド』(c) ABC Studios & Marvel