『SHERLOCK/シャーロック』アンドリュー・スコット登場!『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤 II』インタビュー

米HBO®と英BBCがタッグを組み、大ヒットファンタジー小説3部作をドラマ化した『ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤』待望のシーズン2、『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤 II』がスターチャンネルにて2月25日(木)23:00より独占日本初放送となる。このシーズンから新たに加わるキャストの一人は、『SHERLOCK/シャーロック』のジム・モリアーティ役や『Fleabag フリーバッグ』の司祭役で知られるアンドリュー・スコット。彼の貴重なインタビューをお届けしよう。

ベストセラー「ライラの冒険」を元にした本作は、現実世界とよく似たパラレルワールドを舞台に、英国TV史上最高額と言われる製作費と実力派俳優で映像化した壮大なファンタジー・アドベンチャー。

秘めたる決意を胸に、オーロラの中に突如現れた世界に渡ったライラがたどり着いたのは、スペクターと呼ばれる魔物たちが住む、子どもしかいない荒廃した街チッタガーゼだった。そこで別の世界からやってきたウィルという少年に出会ったライラは、やがて不思議な短剣の存在を知るが...。アンドリューは、ライラが新たに出会う少年ウィルの父親、北極圏探検途中に行方不明になったジョン・パリーを演じる。

――あなた演じるジョン・パリーはシーズン1には登場しませんでしたが、彼の存在が感じ取れる部分はありました。シーズン2でいよいよ姿を現しますね。

熟練のストーリーテリングというのは、小説やドラマにそのキャラクターが実際に登場する前からその影を漂わせて観客や読者の期待感をよりいっそう煽るものなんだ。場合によっては、登場シーンが少ない方がいよいよ姿を現した時の衝撃が大きい。満を持しての登場だ、とね。今回がそのパターンになっているといいね。みんなをガッカリさせていないことを願うよ!

――原作は以前からご存じでしたか?

うん、よく知っているよ。役者としての経験からいうと、小説を映像化するというのは、"スクリーン上で語られるストーリー"に注意を払うことなんだ。(本作の脚本を手掛ける)ジャック・ソーンは素晴らしい脚本家だ。だからある意味で僕の役目は、その彼が解釈したストーリーを彼のヴィジョンに忠実に演じることだと思う。時には映像化したストーリーではなく原作の方にこだわり過ぎてしまうことがある。だから僕は原作小説を楽しみながら読んだりせず、あくまで仕事として目を通しておいて、文字の世界ではなく映像の世界の方を純粋に想像するようにしているんだ。今回は原作もよく知っていたけれど、いつもはそれが僕のやり方なんだよ。

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――オファーを受ける以前から原作を読んでいたのですね?

そう、とても素晴らしい本だよ。(原作者の)フィリップ(・プルマン)は大人にとっても難しいテーマを描くという意味で最高の作家だと思っている。つまり宗教や人が持つ闇の部分、家族の闇や生きることの怖さといったテーマを果敢に描いているんだ。

――原作を読んでいない人に向けて、ジョン・パリーについて教えていただけますか? とても並外れたキャラクターで秘めた過去がありそうですね...。

ストーリーを通してジョン・パリーには様々な面が登場するよ。それだけに演じるのも挑戦だった。いろんな顔を持つ男だからね。息子ウィルの目を通したジョンの姿もある。彼ら親子は一緒に過ごす時間があまりなかったこともあって、ウィルの想像上の父親は実際の父親と同じくらいに強い人になっているんだ。父子が実際に顔を合わせる前にこのふたりが互いのことを語る姿が見られたのは良かったね。

――ジョンはこの世界を去り別の世界へ旅立ちました。ウィルは父親がいないことをとても辛く感じているようですね。

ああ、それはジョンも同じなんだ。誤った理由とはいえ、家族のために決意をした男を演じるのはとても楽しい。彼は猛烈に孤独なキャラクターだし、孤独である必要がないのにそうなってしまった人物なだけにとても悲しいと思う。離れなくても良かったはずの我が子と離れて、しかも会えないのに自分の家族を必死で取り戻そうとするなんてかなり辛いことだよ。だから彼はリー・スコーズビー(リン=マヌエル・ミランダ)と出会って奇妙な友情を育むことになる。リンとの共演は最高だったよ。ジョンとリーの掛け合いは僕のお気に入りだ。まったく似ていない者同士の関係を視聴者にも楽しんでもらえるんじゃないかな。

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――ジョンのダイモンについて教えてください。

僕のダイモンは鷹の仲間であるミサゴ。とても美しいメスのフォルムをしていて、声を演じるのは友人のフィービー・ウォーラー=ブリッジなんだ。彼女が僕のダイモンの声をやると聞いてとても嬉しかったね。

――『Fleabag』のファンには嬉しいボーナスですね。

最高のアイデアだよね(笑)

――そのキャスティングを知った後で、彼女とこのことを話しましたか?

ああ、話したよ、すごくいいアイデアだ。みんなが僕らのことを連想してくれたら嬉しいね。しかもジョンとダイモンのような親密な関係を演じるとなればなおさら、みんなに楽しんでもらえるようなものができているいいな。とてもクールだったよ。

――私たちにもダイモンがいるべきだと思います。

(笑) きっとみんないるはずさ。見えないだけなんだよ。

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――あなたはこれまでにも『SHERLOCK』『Fleabag』といった人気シリーズで印象的な役柄を演じていますね。

観ている人を驚かせたいんだ。だからいつも違うことをしたいし、まったく違う正反対のタイプの人物を演じたい。役者は様々な人物を演じて、それらを観ている人に信じてもらうことが役目なんだ。そのためには非常に強い力のある脚本の手助けが欠かせない。まぁ、『Fleabag』は違うけど、アーサー・コナン・ドイル(『SHERLOCK』)やプルマンの描く素材は最高だし、僕の仕事を楽なものにしてくれる。僕の役割は役者として観る人に説得力のある違う顔を見せることで、それができるのは脚本があればこそなんだ。素晴らしい脚本は僕を夢中にさせてくれる、役者にとって最高の協力者でもあるんだよ。

――本作は圧倒的な映像美も見どころです。その多くは特殊効果ですが、グリーンスクリーンを前に演じたりすることも多い撮影はいかがでしたか? そこからCG処理の済んだ完成映像をご覧になった感想も聞かせてください。

素晴らしいよ。制作チームは桁外れな才能にあふれているね。正直に言えば、グリーンスクリーンの中で演じるのがとても難しい時もあるよ。だから監督を信頼しているところが多い。リンとの共演シーンがほとんどだから、彼と一緒にこの見事な架空世界を創作するのが僕の仕事なんだけど、つまりそれは子どもが自分の部屋で想像上の宇宙の中にいるのと同じように、できるだけ空想の羽を広げることなんだ。とはいえ、役者が去った後の彼らの仕事は驚くほどだよ。まだ一部しか観られていないけど、それだけでも凄いと思った。僕らは恵まれてるね。

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――息子ウィル役のアミール・ウィルソンとの共演はいかがでしたか?

アミールは実に素晴らしい若手俳優だよ。とてもオープンでいい子だ。彼の家族にも会ったけど、やっぱりとてもいい人たちだった。この仕事に対する責任感もあるし、優れた才能に驚いたね。若い役者たちの姿を見て彼らの成長やこの業界のことで気づくこともあるから、彼が今回、良い時間を過ごせていたら嬉しいね。素晴らしいシーンで共演することもできたし、みんな彼の演技力にきっと驚くと思うよ。

――あなた自身も子どもの頃から演技を始め、10代後半でダブリンのアベイ座の舞台に立っていました。当時の経験はどのくらい重要でしたか?

素晴らしい経験だった。僕はどちらかというとシャイで繊細な子どもだった。今でも少しシャイだけどね。それが、役者になってひとりの子どもとしてドラマのレッスンを受けることで自分に自信を持てるようになったし、演じることが当たり前のことになっていった。そしてアベイの舞台に立つようになり、10代で映画を作るようになったんだ。

当時は舞台と映画の違いもよくわかってなかった。役者としてちゃんとした訓練を受けてこなかったことはとてもありがたいと感じている。もちろん、そのせいでいろいろと経験し損なったことはあるだろうけど、おかげで演技と空想遊びを過度に切り離して考えずにいられるし、自分の想像力を最大限に生かすことができている気がするんだ。

時々、演じることを難しく考え過ぎだと感じることがある。もちろん、役者という仕事は尊敬に値するし、多くのスキルを要する難しい職業だと思う。でも多くのスタッフに囲まれながら撮影する時に自分が目指しているのは、子ども時代の空想力にエンジンをかけることなんだよ。グリーンスクリーンの中で演じる時は、自分の空想力を発揮しなくちゃいけない。単に演じるだけだからこそ、共演者に大きな信頼を置いているんだ。だってその方がひとりでやるよりもずっと楽しいからね。

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――本作は、文字通り空想力が欠かせない作品です。

そう、まさにこの作品は空想力の賜物なんだよ。チーム全員の努力の結晶なんだ。各部門の一流スタッフがいなければこれほどの作品は作れないし、みんなの大きな情熱が注ぎ込まれていることも嬉しいね。すべてはフィリップ・プルマンひとりのアイデアから始まった。ひとりのヴィジョンから始まり、やがてそれが何百何千という人たちのコラボレーションとなり、何百億人の人たちが楽しめる素晴らしい作品が完成したんだよ。たったひとつの核が驚くべきものへと成長するなんて本当に凄いことだよね。

――これまでに演じてきた役柄に影響を受けたことはありますか?

いい質問だね。そうだな...役者という仕事の素晴らしい点のひとつは、おそらくまだ自分の中に眠っている新しい面を開拓できることだね。演技を追求するほど自分の探求になっていくんだ。そして知らなかった自分の新たな一面を見つけ出すんだよ。それによって自分が変わるというよりも、新たな面を表に出したことによって、もっとそんな自分を楽に受け入れられるようになるんじゃないかな。これが役者という仕事の凄さだと思う。探求を続けることでさらに良い人間になれる。だってそれは自分以外の人の気持ちを想像しようとする共感力にもつながるからだ。役者として経験したのと似ている人物と出会った時、相手への共感を深めることができるんだよ。だからこれまで演じてきたキャラクターの経験を経て、自分が少しは良い人間になっているといいね(笑) その答えは他の人にお任せするよ。

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『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤 II』(全7話)は、BS10 スターチャンネルにて2月25日(木)23:00スタート(2月21日20:00より第1話先行無料放送)。全8話のシーズン1は2月11日(祝・木)&2月18日(木)19:00より4話ずつ放送。

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『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤 II』
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