映画版でメガホンを執ったポン・ジュノ監督が製作総指揮として参加し、ドラマシリーズとして新たに生まれ変わった『スノーピアサー』。シーズン1では極寒と化した地球を走り続ける永久列車(スノーピアサー)を舞台に、反乱軍VS富裕層との壮絶な覇権争いが繰り広げられたが、果たしてその行く末は? 1月26日より遂にベールを脱いだシーズン2では、さっそくあの"大物"が物語を掻き回す。【ドラマ・レビュー】(※本記事は、『スノーピアサー』シーズン1のネタバレを含みますのでご注意ください)
シーズン1終盤で、車両を統率する客室乗務員長メラニー(ジェニファー・コネリー)を失墜させ、元刑事レイトン(ダヴィード・ディグス)をリーダーとする反乱軍が主導権を握るが、なんとこの列車の開発者である黒幕ウィルフォードが「実は乗車していなかった」という事実が発覚。さらに"ビッグ・アリス"という新たな機関車が姿を現し、大胆にもスノーピアサーの後方にドッキングするという破天荒な展開で幕を閉じる。シーズン2はここからスタートするわけだが、思わぬ敵の出現に否が応にも盛り上がる。
TRAVEL ALERT : Snowpiercer S2, starring actual Sean Bean, begins on Netflix on 26 January. pic.twitter.com/NlMZvxRETy
— Netflix UK & Ireland (@NetflixUK) December 30, 2020
ビッグ・アリスを爆走させ、スノーピアサーを追い詰める男とは一体誰なのか? すでにショーン・ビーンがシーズン2より"重要な役"で登場するという情報が出ていたので、ほぼ察しはつくと思うが、予想通り彼が謎の黒幕ウィルフォード役で、いよいよ真打の登場である。自分を裏切ったかつての部下メラニーに猛攻を仕掛けてくる設定だが、師弟関係にあった二人の間にできた深い溝がシーズン2の新たな物語の点火剤となり、そこにレイトン率いる反乱軍がどう絡んでいくのか―。第1話から早くも目が離せない。
悪の香りを漂わせながら、暗闇に浮かび上がるダンディーなウィルフォード...。俳優ショーン・ビーンの真骨頂ともいうべき登場シーンにも大いに期待していただきたいが、さらに、メラニーが訳あって置き去りにした"娘アレクサンドラ"との再会も特筆しておきたい。そこで垣間見せる一人の母親としての弱さ、優しさ、そして後悔の念...。冷酷非情だったメラニーが温かい心を徐々に取り戻していく様を、ジェニファーが実にリアルに演じており、『フェノミナ』(1985)あたりの少女時代を知るおじさんファンにとっては感無量といえるだろう。
また、時間に余裕がある方には、映画版『スノーピアサー』(2013)と本ドラマシリーズを比較しながら鑑賞してみることをオススメする。特に同じポジションを演じた俳優陣のキャラクター造形の違いが予想以上に面白い。ショーンが演じたウィルフォードを映画版ではエド・ハリスが扮しているが、狂気をはらんだ紳士ヅラが実に不気味でさすがの貫禄。
すでにシーズン3への更新が決まっているドラマシリーズ『スノーピアサー』。シーズン2は日本ではNetflixにて爆走中! 初見の方はできればシーズン1を完走してからの参加をオススメ。恐怖の永久列車に乗り遅れるな!!
(文/坂田正樹)
★ドラマ版『スノーピアサー』を今すぐ視聴する★
Photo:
『スノーピアサー』シーズン2 Netflix公式Twitterより/映画版『スノーピアサー』 (C)2013 SNOWPIERCER LTD.CO. ALL RIGHTS RESERVED