『星の王子 ニューヨークへ行く2』"ライバル同士?"の山寺宏一&江原正士に直撃!

1988年に公開され、大ヒットしたコメディ映画の続編『星の王子 ニューヨークへ行く2』がついにAmazon Prime Videoにて配信スタート。本作で主人公アキーム国王の声を務める山寺宏一と、今回初登場となるイジー将軍役の江原正士に直撃インタビュー。これまでエディ・マーフィ、ウェズリー・スナイプスの声を演じてきた二人。「僕らシェアしてやってます!」

――台本を読んだ印象はいかがでしたか? それぞれのキャラクターを演じるにあたって意識したこととあわせてお聞かせください。

山寺:アキームに関しては、前作では花嫁探しでしたが、今回の続編では存在を知らなかった息子を探すということで、娘二人もいて夫婦関係も変わり、今度は父親としての登場でだいぶ立場が変わったので、その時間の経過のあたりも表現できればなと思ってやりました。

もちろんコメディ作品で、理髪店のシーンでは色んな役をエディ・マーフィとアーセニオ・ホールがやって笑わせてくれるんですけども、ちゃんと家族の話になっているなあと感じました。しかも、娘たちも存在感があって今の時代を現しているなと。

江原:その家族の話に水を差すのが、私、ウェズリー・スナイプス演じるイジー将軍であります! 基本的には敵役なんですけど、ショーアップされた盛り上げ役ということで、楽しくエディ・マーフィとじゃれているかのような役作りをしました。その辺のところを見ていただけるとエディ・マーフィの呼吸も分かって、面白いんじゃないかなと思います。

――80年代に大ヒットしたコメディ映画『星の王子 ニューヨークへ行く』の続編ですが、演じる前は作品についてどんな印象を受けましたか?

山寺:前作では初めアーセニオ・ホールが扮するセミを演じたのですが、僕はエディ・マーフィと同い年で、いつか絶対彼の吹替えをやりたいと思っていたんです。でも、その時は「まだ君には無理だよ」と言われて、僕はその時からよくモノマネをしていましたし、アニメでも色んな声を出していたので、「こっちが良いんじゃない」ということでセミを演じることになりました。

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そしてその数年後ぐらいに、(TV版で)アキーム王子を演じることになったんです。ジョンランディス監督のファンでもありましたし、大好きな作品で重要な役をどちらも演じられたというのありがたいことですね。その続編がまた制作されると聞き嬉しかったんですが、僕のところにオファーは来ず、「下條アトムさんや江原正士さんになったらどうしよう」って、ずっと怖かったんです(笑) 横に先輩がいらっしゃるんですが、エディ・マーフィやれてよかったなって思います。

江原:前作では役がなかったので、この続編は期待していなかったのですが(笑)、「ウェズリー・スナイプスが出てる!」ということで、「これは~、どうだろう!?」と思っていたのですが、ありがとうございます! 演じさせて頂きました! 楽しかったです!

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――これまでにも何度もウェズリー・スナイプスを演じていらっしゃいましたね。

山寺:はい、二人とも。

江原:僕らシェアしてやってます!

――山寺さんにお伺いします。エディ・マーフィを演じる際に意識していることはありますか?

山寺:エディ・マーフィも作品によってキャラクターとか芝居も違いますので、とても難しいことですが、それをちゃんと汲み取って演じるということですね。何度も演じさせて頂いているので、自分ではエディ・マーフィがやりたいことを分かっているつもりで吹替えていて、それを感じながらお芝居するのは楽しいですね。

――また、ウェズリー・スナイプスと言えば、江原さんというイメージですが、今回ここは意識したということなどありますか?

江原:ウェズリー・スナイプスは割とコメディ調も得意としていて、今回の役に近いのが、『デモリションマン』(1993)のサイモン・フェニックスかな?と。吹替えた当時を思い出して演じたので、役作りが難しいという意識はありませんでした。が、イジー将軍は物語の敵役として登場するので、後半シーンでのエディ・マーフィとの親密な感じ、それを対立しながらもうまく表現できたらいいなと、そこは意識しました。収録は別々だったので、掛け合いという意味でもほんとは山寺さんと一緒に演じたかったですね。

――山寺さんは今回、エディ・マーフィが演じるアキーム王子役ですが、過去には『ライジング・サン』などでウェズリー・スナイプスを演じていましたね。江原さんも『ドクター・ドリトル』でエディ・マーフィの声を務めたことがありますね。お二人が考える、エディ・マーフィ/ウェズリー・スナイプスの魅力とは?

山寺:エディ・マーフィはなんといってもコメディセンスがあり、エンターテイナーですね。今回エディ・マーフィ自身はそんなにアクションシーンはないですが、オールラウンダーじゃないかと思います。もちろん、シリアスな演技もしますけど、シリアスだけだとみんなちょっと物足りないって思ったり、なにか期待してしまいますけどね。本作は"これぞ、エディ・マーフィ"という、彼の良さが詰め込まれています。

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江原:僕がエディ・マーフィを演じた時はまだ彼が若かったのですが、最初からセリフのリズム感がスゴいなと。あとはお茶目さですかね。それがうまくできたらいいなと当時、頑張りましたね。『ナッティ・プロフェッサー』シリーズの時には何役もエディ自身が演じていて、それをワンシーン通して吹替えたりしたこともあって、役の差別化が大変だった記憶があります。

ウェズリー・スナイプスは目がクリックリッっと動いてセリフと連動するところがあるので、その動きをセリフにも入れるにはどうしようかって、一時期悩んだときもありましたね。その辺のところも含めて、『デモリションマン』では随分アドリブを入れたんです。格闘技をやっていた彼の不思議な縦割りのような?キレが、うまくセリフに持ち込めたらいいなと思いながらやっているところはあります。今回は『デモリションマン』の頃のウェズリー・スナイプスを思い出しました。そして彼は遊んでますよね、楽しそうに。

山寺:歩き方がおかしいですよね。

江原:そうそう。ほんとこんな感じだったけって。

山寺:江原さんもスタジオに将軍と同じように来てましたね...(笑)

江原:何を言っているんだ(笑) 僕らはまるでライバル?みたいですけれども!、山ちゃんのエディ・マーフィと僕のウェズリー・スナイプスの二人が馴染み合っているような感じが出てたらいいなと思っております。

山寺:江原さんをみて勉強しております。

――お気に入りのセリフやシーンがありましたら教えてください。

山寺:続編の面白いところは、なかなかうまくいかない普通のお兄ちゃんが実は一国の王位継承だった。女性版はよくありますが、男性版はあまりないですよね。その「実は王位継承なんだよ」って言われるシーンで、「そんな関係ねえよ」って言い返すんだけど、お付きのセミがトランクを間違ってガバって開けちゃって、札束とか金がボーンと出てくるんです。それでみんな目の色が変わるんですが、そのセミのトランクの開け方がわざとらしいんですよ! わざとなのか、ギャグなのかわからないんですが、そこが一番好きです。その他にも確信犯のように色々やっていて面白いですね。

江原:イジー将軍がアキームを脅すシーンがあるんです。そのあとに「ア、ドゥーザカ、イッ!」って奇声を発するんです。ちなみに「ドゥーザカ」っていうのは兵隊っていう意味らしいんですが、ただただテンションが高くて、それが何の意味か分からなくても迫力があったことだけはしっかり覚えていますね。収録から時間が経ってしまって今はうまくできないんですけど、ぜひ吹替え映像でみて見てください。

――山寺さんは前作から引き続きご出演ということで、当時を振り返ったり・比較したりもしたかと思いますが、久々に『星の王子 ニューヨークへ行く』に携わっていかがですか?

山寺:今回セミ役は高木渉君がやっていますけれども、アーセニオ・ホールも達者で、今回新たにババっていう怪しい占い師みたいな王様に仕えている役を演じてるんです。これが気持ち悪いぐらい面白い! それを渉が最高に面白く吹替えしていて、僕もやってみたいなって。負けず嫌いなもんで(笑) 僕は前作では神父で随分苦労したんですよ。ずーとシャウトしていたので、死ぬかと思いました(笑)

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エディ・マーフィも色んな役をやっている中で、ランディ・ワトソンという謎の歌手がほんとに大好きで、真っ先に「ランディ・ワトソン、今回も出ているよな!?」と探しましたね。エディ・マーフィは『ドリームガールズ』(2006年)などでも歌を披露していて音楽にも長けていてムーディに歌うんですが、ちょうどいい感じに外れていて気持ち悪いっていう(笑) シリーズの中で一番ランディ・ワトソン好きなので、今回も出ていてありがとう!という気持ちです。それから、「セクシー・チョコレート」って言うところも大好きで、マイクをポーンと投げて、みんながシーンとするという。ああいうの大好きなんです。

――『星の王子 ニューヨークへ行く』1作目では「伴侶」を、今回の2作目では「息子」を探しに国を出ます。お二人が遠地まで探しに行くほど、大切なもの・好きなものなどご自身にとってなくてはならないものはありますか?

山寺:僕は新しい奥さん...。

江原:(笑)

山寺:スタッフの方がみんな下向きましたよ! (江原さんの方を向いて)相手が僕のことを良いと思ってくれる人を...。

江原:俺を見て言うなよ!(笑)

山寺:新しい奥さんをどこにでも探しに行きますよ!それ以外の答えがありますか!? 江原さんはなんですか?

江原:ロマン、ロマン。

山寺:ロマンを探しに?

江原:茫洋としたロマン。"何かあるだろうな、人生には"って。

山寺:あ~。

江原:楽しく輝く、何かがあるだろう、という期待感を失わないことに。

山寺:良い答えのように聞こえるけど、だいぶ漠然としてる(笑) 常にロマンを追い求める?カッコいいなあ。

江原:別にセリフとかじゃなくてね。音楽でもいいし、なんでも。会った瞬間に「あいつ、ブレイクダンスうまいな!」でもいいわけよ。何かああー!って、トキメクものを探しに。

山寺:江原さんの答えがカッコいいな。新しい奥さんって言っちゃたよ。

江原:山ちゃん、只今募集中でーす(笑)

――最後に作品を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

山寺:これはちゃんと言わなきゃ(笑) 昔の作品を知っている人はもちろん、そうでない人も、ぜひ見ていただきたい。これぞエンターテインメント、これぞコメディ、これぞエディ・マーフィ!という作品です。吹替えも頑張っています!

江原:コロナ禍でなければ、友だちとワイワイ言いながらみんなで楽しめるパーティムービーのはずなんですが、ひとりでも十分にこの豪華絢爛フルカラーの世界に浸れると思います。そしてさらに、その世界で繰り広げられる僕らの吹替えの面白さをですねぜひ、堪能していただきたいと思います。プラス、その中でも久しぶりに元気なウェズリー・スナイプスに注目です!

山寺:自分!

江原:宜しくお願いします(笑)

山寺:どんな世代の人でも難しいことはあまり考えずに気楽に見られるとても良い作品です。"今見るべきコメディはこれだよな"っていう感じがします。色々考えさせられる作品もありますが、コロナ禍でふさぎこんでいた気持ちがとにかく明るい気分になって、元気になれる映画だと思います。

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『星の王子 ニューヨークへ行く2』は、Amazon Prime Videoにて独占配信中。

(海外ドラマNAVI)

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Photo:

山寺宏一&江原正士
『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios