"俳優にとって最高の経験"『CITY ON A HILL / 罪におぼれた街』ケヴィン・ベーコン独占インタビュー

『ザ・フォロイング』のケヴィン・ベーコンと『レバレッジ~詐欺師たちの流儀』のオルディス・ホッジ主演、ベン・アフレック&マット・デイモンが製作総指揮に名を連ねている話題作『CITY ON A HILL / 罪におぼれた街』がU-NEXTで独占配信中。本作で、悪徳FBI捜査官ジャッキー・ロアを演じるケヴィンに直撃! セリフの多い役を演じる苦労、90年代を再現した感想、高評価を得ている本作への反響などを伺った。

世間を騒がすことになったその事件は、1989年の10月に起きた。白人のチャールズが妻を殺害した上で、自らも故意に負傷し、黒人の殺人鬼が家に押し入って自分たちを襲ったと警察に偽証したのだ。彼の証言を元に警察は黒人の男の身柄を確保し、脅迫などの手段を使って取り調べを強行。しかしチャールズの兄弟の証言により、事件は自作自演だったと露呈する。チャールズは自ら命を絶ち、一連の事件は世間を揺るがす大論争を巻き起こした。

このような警察の腐敗が問題になる中、地元ボストン出身である白人の年配FBI捜査官ジャッキーは地方検事補のデコーシーとコンビを組むことに。二人の使命は、連続強盗事件を解決すること。ジャッキーは公然と人種差別をし、コカインをやり、愛人もいたりと問題の多い人間だが、腐敗したFBIでは仲間たちから尊敬されている。対する相棒のデコーシーはブルックリンで生まれ育った黒人で、腐敗と誤射事件を繰り返す警官への厳しい処分を訴えて名声を高めた人物だ。反発し合う二人は強盗事件の調査を発端に、思わぬ巨悪との対峙を迫られる。

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――日本ではいよいよシーズン1が初公開されます。シーズン1の反響や感想はいかがでしたか?

反響は大きかったね。今のテレビには初期のマーティン・スコセッシや『THE WIRE/ザ・ワイヤー』、シドニー・ルメットのような雰囲気を持った作品があまりないという意見が多く、そんな雰囲気を持つ本作の生々しさに反応してくれたんだと思う。また、デコーシーとジャッキーの思いがけない二人の関係にも反響があったね。

――自分が生きてきてよく記憶に残っている90年代を、もう一度、まったく別の角度から没頭して再現するのはどんな気分でしたか。 本作で何か発見はありましたか?

うん、面白かったよ。90年代を時代劇として考えるのは、私にとってはとても奇妙に感じる。でも、掘り下げてみるには面白い世界だと思うし、脚本を読んで、歴史上でとてもクールな時代だと思った。私はデジタル化される前の世界をどのように捉えるかということにとても興味がある。第1シーズンでは、ジャッキーは携帯電話を持っていないけど、シーズン終盤になってようやく、巨大な携帯電話を取り出して使い始める。当時の世界へのアプローチ、そして刑事司法制度へのアプローチは今とは違うものだったし、人々が実際に集まって話をするのは理にかなっていたんだ。最近のドラマの中で、往々にしてある人物が誰かの家にわざわざやってきてドアをノックして話をするようなシーンを見かけると、ただ二人の俳優を一緒に登場させたかっただけで、本当はそんなことをする必要はなかったのではないかと思うことがある。だからこの時代の世界に足を踏み入れ、このキャラクターを演じるのは最高だったよ。

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――ボストンの言語について質問させてください。あなたはボストンを舞台にした多くの役を演じ、多くの映画、作品に出演してきました。特に『CITY ON A HILL』では、独特な言語(ボストンなまり)を使っていますよね。特にオルディス・ホッジとの会話は宝石のようなもので、皮肉、街頭での言葉遣い、ポップスの引用、政治的な引用などが散りばめられています。 アメリカ的なものが詰まっていることが一目瞭然です。この言語をどのように扱い、また、自分のキャラクターに反映させることはどれほど楽しいものでしょうか?

とても楽しかったよ。とういのも、それがジャッキーの大きな部分を占めているからね。今までは口数の少ないキャラクターばかりを演じてきて、それはそれで苦労が伴った。見た目や眼差しだけでストーリーを語らなければならないから。ただ私はそのような枠組みの中で仕事をするのが好きだ。でも、本作の脚本では冒頭の2ページからずっとジャッキーのモノローグが延々と続いているように感じた。この男は本当に黙っていられないのだな、と思ったよ。それから、モノローグがもう一つ、さらにもう一つと続いて、これは本当に面白いと思った。口の中が完全に"言葉の下痢状態"の人。そしてすばらしいのは、私ではなく、脚本家が台詞を考えてくれて、ほとんど私が知る由もない歴史的な文献を調べ、引用を見つけてきてくれること。私は脚本を手にすると、常にググって、ググって、ググって、誰がこれを言ったのか、脚本家に連絡して、これは何からの引用なのか、何を参照しているのか、と聞くんだ。スポーツの引用や、あなたが言ったように、歴史的、政治的な引用もあり、私はそれが大好きだ。ジャッキーらしさが凝縮されていて、素晴らしいと思う。そして、もう一つ私が気に入っているのは、ジャッキーが一つのアイデアから始めて、話して、話して、話しまくって、よくわからないんだけど、元のアイデアとは何の関係もないのに、最終的には何が言いたかったのかというところに戻る方法を見つけられることだ。それが素晴らしいよ。俳優にとっては最高の体験だね。

――Tik Tokでのセカンドキャリアについて詳しく教えてください。

パンデミックの時の仕事の話と少し似ているね。目が覚めたときに、何か楽しいことをしたいと思うんだ。実際のところ、私はいつもビデオや何かでおかしなことをして、ただそれを友達と共有していただけなんだ。ソーシャルメディアがこれほど爆発的に普及する前は、友人と共有したり、妻に送ったりする程度のものだった。何年も何年も前から、古いビデオカメラで撮影したものを編集して、ただおかしなことをやっていたんだけど、今ではそのための大きなプラットフォームができた。

――劇中で何度も出てくる問いがあるのですが、それを尋ねてみたいと思います。 あなたの人生を振り返ってみて、正しいことと幸せなことのどちらを選ぶことが多かったですか?

ワオ、それは本当にいい質問だね。私の人生では、幸せになることを選んできたと言えるだろう。うまくバランスをとってきたと思うよ。名声やお金、権力を追い求めること。私は、自分の幸せよりもそれらを優先させたくないと、言い切ってきたと思う。私の幸せは、家族や愛、友人に根ざしており、良識のある道を歩もうとしてきた。そして、自分が正しいと思うことよりも、幸せを選んできたと思うよ。

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腐敗する警察組織と人種問題をテーマにした重厚な刑事ドラマ『CITY ON A HILL / 罪におぼれた街』はU-NEXTで独占配信中。

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(2021年4月時点での情報です)

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