お気に入りのドラマを見直すのが体にとって良い理由

テレビ・映画鑑賞や読書、食事などを楽しみに、この1年以上を過ごしてきたコロナ禍の「ステイホーム」。米A YouGovの世論調査によると、2020年は例年よりもテレビ視聴の時間が長く、さらに特定のコンテンツがより多く関心を集めていたことがわかったという。米The Boston Globeが報じた。

ニールセンによると、昨年米Netflixで最も視聴されたシリーズには『ジ・オフィス』(ストリーミング時間:570億分以上)や『グレイズ・アナトミー』(ストリーミング時間:約400億分)などがあったという。いずれも放送が始まったのは2005年で、すでに15年以上経っている。

書籍においても同じ傾向にあるようで、英アストン大学の研究者は、調査対象者の半数以上がパンデミックの間に本の消費量を増やしたことを発見。その内、3分の1の人がすでに読み終えているタイトルを再び手に取ったそうだが、これには<心地良さ>や<親しみやすさ>が理由に挙げられた。

研究者たちはこの傾向を「意欲的な再消費」と呼んでいる。Journal of Consumer Researchの2011年の調査によると、本を読み直したり、映画を再視聴することで、喜びや満足感が高まり、一般的に気分が良くなることがわかったという。お気に入りの物語やキャラクターたちに戻ることで、私たちは「自己存在の安定した場所」(専門家による呼称)に行くことができ、私たちの過去と現在の状況を認めて、これから起こることに立ち向かうことができるのだと、Journal of Consumer Researchで執筆した研究者は説明している。

ボストンを拠点に活動する臨床ソーシャルワーカーのレイチェル・カルバート氏によれば、この傾向には年齢と発達が重要な役割を果たしているという。子どもの頃は、誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらうことで健康的な対処習慣を身につけることが必要だが、歳を重ねるにつれて、私たちはこれを自分で行うことを学んでいく。お気に入りの食事や、好きなTV番組、着心地の良い服などで、日々をより良く管理できていると感じるのだ。

この体験には、TVのジャンルやテーマはさほど重要ではないと、カルバート氏は説明している。たとえ、少し怖い『クリミナル・マインド FBI行動分析課』でも、コメディの定番である『サタデー・ナイト・ライブ』でも、再び見直すことで心地よさを感じ得るという。

「ストレスのある時は、新しいことを試すための余地はあまりないでしょう」とカルバート氏。「私たちには、心地よさをもたらすために(古くからのお気に入りに)戻るためのエネルギーしかないのです」

お気に入りの作品を頼って、この困難な時期を乗り越えていこう。(海外ドラマNAVI)

TSUTAYACTA02.png

Photo:『フレンズ』(C)Bright/Kauffman/Crane Productions in association with Warner Bros. Television Production Inc. 『クリミナル・マインド FBI行動分析課』(c) ABC Studios 『アグリー・ベティ』(C) ABC Studios.