今年25周年を迎えたサバイバルホラーゲームの金字塔『バイオハザード』シリーズ初の連続CGドラマとなる『バイオハザード:インフィニット ダークネス』が、Netflixにて全世界絶賛配信中。配信を記念して、海外ドラマ・洋画好きライター3人が本作の魅力を語り合う座談会が開催された。
『バイオハザード:インフィニット ダークネス』は、『バイオハザード』シリーズの人気キャラクター、レオン・S・ケネディ(声:森川智之)とクレア・レッドフィールド(声:甲斐田裕子)の二人を主人公にストーリーが展開していく連続CGドラマ。今回、ライターのアナイス、奥村百恵、熊谷真由子の3人が海外ドラマ・洋画ファンの目線から本作について語り合った。
――初見時の感想はいかがでしたか?
熊谷:『バイオハザード』シリーズの実写映画は視聴しているんですが、ゲーム自体プレイしたことはなくて。でも、すごくおもしろかったです! CG技術が進歩していることは知っていたのですが、汗や無精ひげなど、そういった細かな質感にも驚きでしたね。ストーリーもホラーやゾンビもののお約束がちゃんとあったので、そういう面でも楽しめました。
奥村:私も実写映画だけ視聴していて、ゲームはプレイしていないんですが、初心者の私でも見ているうちに『バイオハザード』シリーズの世界にどんどん引き込まれていきました。ホラー映画ファンでゾンビ大好き人間なので、特に潜水艦内で"ネズミ"に襲われるシーンにはテンション上がりました!(笑)
アナイス:そこ、私も好きなシーンです!(笑)
奥村:まさかネズミがあんなところから出てくると思っていなかったので(笑)ゾンビ好き的にも、ああいう展開はすごく新鮮でよかったですね。実写でやったら生々しすぎちゃうと思うんですけど、限りなく実写に近いCGだからかそれが軽減されていて。ホラーが苦手な人にも勧めやすいです。
アナイス:CGアニメーションによってグロい描写がマイルドになっているっていうのは私も思います。それに、CGアニメといっても描かれ方が実写映画に近いんですよね。カメラワークもすごく凝っていて。そういう見易さから、CGアニメに馴染みのない人にこそ見てほしい!
奥村:本作の監督は『MOZU』シリーズの羽住英一郎さんなんですよね。『MOZU』シリーズのファンなので、「おっ!」と思いました(笑)カメラアングルや照明の使い方など、普段実写映画を撮る人がこだわって制作したアニメなんだなと感じました。
アナイス:アクションシーンとか、特にそうですよね。
熊谷:脚本には、羽住さんだけでなく武藤将吾さんも参加されていることに驚きました。映画『クローズZERO』シリーズやドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―」』(日本テレビ)など、ヒット作を数多く手掛けている方だからこそのストーリーテリングでしたよね。この伏線はどうやって回収するのかな? って思うようなことも全部きれいに拾っていく。とにかく構成がすごいなって思いました。
アナイス:本作はシリーズの中でも時系列がちょうどど真ん中なんですよ。描かれているのが、CGアニメ映画1作目『バイオハザード ディジェネレーション』(2008)と2作目『バイオハザード ダムネーション』(2012)のちょうど間で、いわば「1.5」って感じ。『バイオハザード』シリーズ長年のファンからすると、一番描きづらいんじゃないかなって思いました。「その間レオンとクレアは何をしていたのか...」というところにあたるので、ファン的にはたまりませんでしたね! あと、今回は日本映画やドラマでおなじみのクリエイターが揃っていますが、ちゃんと『バイオハザード』的な要素が1話ごとに組み込まれていてよかったです。第1話は洋館っぽいホワイトハウスの話。暗闇、閉鎖空間の中、ゾンビが迫り来る恐怖が描かれている。第2話は潜水艦が舞台。
熊谷:潜水艦のネズミのシーン、実写映画でケルベロス(犬)が出てくるシーンを思い出しました!
アナイス:『バイオハザード』って動物が登場するのがお約束なんですよ。新作の度に今回はどんな動物が出てくるのかな? っていうのは結構気になるところで。だから、ネズミがきたか! と思いました(笑)通路に一匹ネズミがいるだけでもイヤなのに、ワチャワチャって出てくるじゃないですか。よくあそこまで気持ち悪く描けるなって。
熊谷:集団恐怖症の人には怖いですよね。
アナイス:閉所恐怖・集団恐怖を煽っていますよね。で、第3話からは陰謀が渦めいていく。海外ドラマでいえば『24-TWENTY FOUR-』みたいな感じ。そして、最終話ではガチンコバトルがすごい!
熊谷:最後はアメコミみたいな展開だなって思いました(笑)
奥村:私も(笑)
アナイス:全話に違う見どころがあって感心しました。
熊谷:全4話のドラマだからこそできた面白さなのかもしれないですね。映画だと盛りだくさんすぎちゃいますけど、1話ずつ楽しめるのが本作のいいところだなって。
――彷彿とさせられた海外ドラマや映画はありますか?
アナイス:先ほども名前を挙げましたが、刻々といろいろなことがものすごいスピードで進んでいくのは『24-TWENTY FOUR-』っぽいと思いました。
熊谷:私は、戦地のシーンで『ブラックホーク・ダウン』(2001)を少し思い出しました。
奥村:昔の作品だと『ワールド・ウォー Z』(2013)、最近だと『アーミー・オブ・ザ・デッド』(2021)が近いかなと!
アナイス:確かに!本作はミリタリー要素も強いので、ミリタリー好きにも楽しんでもらえるんじゃないかと。
奥村:『バイオハザード』シリーズのゾンビって、ちょっとゾンビらしくないところがあると思うんですよ。だから『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)とか、走るゾンビが好きな人は本作にハマるんじゃないかなと。あとは、クリーチャー好き...たとえば『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のデモゴルゴンみたいな! 得体のしれない大きいクリーチャーが好きな人は本作のタイラントとか好きだと思います。
――本作は実写のような映像美が魅力の一つです。実際にご覧になって、CG映像についてどう思いましたか?
アナイス:動きのヌルヌル感がとにかくすごい!
奥村:昔はカクカクしていましたよね。
熊谷:水と炎はCGで表現するのが難しいっていうじゃないですか。本作ではそこが完璧でしたし、キャラクターとかは実写と見紛うシーンもあった。風景とかも、実写感ありましたね。
奥村:引きのシーンは特にそう思いますよね。
アナイス:引きはもちろんですけど、寄りは寄りで表情や皺が細かくて! 「そういう影のあたり方はしないよね」みたいな違和感は一切ありませんでした。
奥村:個人的には、ホワイトハウスでジェイソンが銃を撃つシーンがすごく好きでした。銃って暗闇で撃つと光るじゃないですか。そのシーンが違和感ないというか、本当にリアルで。
熊谷:私は、これだけの人をよく誰にも似せないで作れたなって。大統領とか、国防長官とか、誰一人「見たことある!」と思うことはなかったです。
奥村:演じている俳優がいないフルCGドラマだからこそ、「今回はあの俳優が主演なんだ」みたいなメタ的なことを考えなくてすみますよね。
アナイス:確かに、キャラクターにより集中できますよね。だから純粋にキャラクターの成長を追っていけるのかも。
――印象に残った登場キャラクターはいますか?
アナイス:シェンメイは、綺麗すぎませんか?
奥村・熊谷:超綺麗でした!
アナイス:ですよね(笑)シェンメイを見て印象的だったのは、ちょっと既視感があること。というのも、今ってこういうメイクが流行っているんですよね。トレンドを追っている印象を受けました。
奥村:マスカラ何使ってるのかな? とか思っちゃいました(笑)
アナイス:映像がよりリアルだからこそ、どこのマスカラ? とか自然と考えちゃいますよね。架空の人物なのに。
奥村:ジェイソンは、最初はタフガイな印象でしたね。頼りがいがあるというか。
熊谷:ジェイソンの役を実写でやるなら誰かなって考えていました(笑)ペナムスタンでの軍人らしい面も格好良かったですね。
奥村:あと、新米エージェントのパトリックもちょっとかわいかったです。頼りない感じが、こういうキャラも必要だなって。
アナイス:ちゃんと「こういうキャラいるよね」ってキャラが集合しているのも見やすさの一つかなって思います。レオンとクレア以外のキャラも魅力的なので、人間ドラマにより興味が湧きますよね。
奥村:私は何気にグラハム大統領も渋いなと思いました(笑)視聴後に調べたら、『バイオハザード4』でレオンが大統領の娘さんを助けたことがあるんですよね? 調べているうちにゲームもやりたくなりました。レオンとクレアの関係も気になって!
アナイス:ゲームを知らない人が本作を見てもなんとなくの関係はわかりますよね。その後、興味をもったらゲームをプレイしたり、劇場版見たり...と広げていける。『バイオハザード』を知っていくきっかけにもなり得る作品だと思います。
熊谷:私はゲームを知らずに視聴したんですけど、クレアとレオンの関係も「過去になんかあったんだな」って自然に理解できたし、興味を引く描き方がされていて良かったです。「知らないから面白くなくなっちゃった」っていうことは一切なかった。
アナイス:私はもともとレオンが大好きなんです。レオンには長い歴史があって...最初はラクーンシティ警察署の新米警官でした。彼が初登場した『バイオハザード2』では配属初日にゾンビアポカリプスに陥るんですけど、レオンはその前日に彼女と別れてやけ酒して、二日酔いで遅刻して...っていうスタートで。そこからホワイトハウス直属エージェントまで成長する。クレアとは、最初ラクーンシティで一緒に頑張って生き延びた間柄なんですよ。でも、クレアと結ばれるわけではい。恋愛関係というよりは、命を助け合った「同志」「戦友」みたいな間柄なんです。
奥村:それを聞いて『ウォーキング・デッド』ファン的にダリルとキャロルの関係性を思い出しました。家族みたいな友達以上の強い結びつきがある男女が好きな人は一定数いますよね!
アナイス:本作で、クレアがレオンに向かって「スーツが似合ってない」って言う場面がありましたけど、彼女が以前の彼を知っているからこその台詞なんですよね。 幼馴染が社会人になってからひさしぶりに再会してお互いちょっと変わったね、みたいな。それに、今回は意見が合わないところもある。お互い、言っていることはわかるけど、立場上賛同するわけにはいかないという...。
熊谷:続きが観たくなります。
アナイス:本作は、『バイオハザード ダムネーション』と『バイオハザード ディジェネレーション』の間にあたる作品なので、続きも過去作も楽しめます(笑)
――日本語吹き替え版はいかがでしたか?
熊谷:海外ドラマや洋画を吹替で見る人にはぴったりのメンツですよね。レオン役の森川智之さんは、トム・クルーズやキアヌ・リーブスとか、アクションスターの専属声優でもあるのですごくしっくりくる。
アナイス:森川さんと立木文彦さんの二人だけでも「洋画吹替」ですよね。洋画ファンが喜ぶキャスティング。
奥村:字幕だと字を追っちゃって、表情を見逃しちゃうこともあるんですけど、吹替だと映像に集中できるところが良いですよね。
アナイス:私は普段「字幕派」なんですけど、今回プロの皆さんが集結しているのですごく聞きやすくてよかったです。
奥村:声優さんにあんまり詳しくない私でも名前を知っている方ばかりで、本当に豪華だなと思いました。
――おすすめのシーンを教えてください
アナイス:なんといっても潜水艦のシーン!
熊谷:私も潜水艦のシーンですね。食事に誘ってきたレオンをシェンメイが「極秘事項」ってあっさりいなすところとか(笑)あとは、やっぱりネズミのシーンですね。ちょっと『エイリアン』を彷彿とさせる感じがよかったです。
アナイス:『バイオハザード』ってゲームシリーズでも他作品のオマージュやパロディがあるんですよ。本作でも多かったですね。海外ドラマ・洋画ファン的に「あっ!」ってなる。
奥村:第1話で暗闇のホワイトハウスの中をミニライトで照らしながら進むシーンとか、好きでしたね。ちょっとやってみたいです。日常でやる機会ないけど(笑)
アナイス:誰が敵で誰が味方かわからないところにも引き付けられましたね。レオンとジェイソンが向かい合って会話するシーンとか、緊迫感が良かったです。
奥村:あと、壁一面に地図を張って捜査状況を整理しているシーンも刺さりました(笑)写真と写真の間に線を張り巡らせて...。海外ドラマあるあるですよね。
――最後に、これから視聴する方に向けてあらためて本作の魅力をお願いします
アナイス:何と言っても見やすさかな。『バイオハザード』シリーズの知識がなくても大丈夫だと思うし、ゾンビやグロが苦手な方でも視聴しやすいと思います。
熊谷:海外ドラマ・洋画好きの人の中でも、アニメ作品に抵抗のある方にこそ見てほしいです。
奥村:実写とほぼ変わらないですもんね。
熊谷:実写でやるにはグロすぎるようなシーンでも、CGアニメであるおかげで1割減くらいにはなってるので。リアルとフィクションのバランスが絶妙なところが魅力の一つだと思います。
奥村:実写の"CG疲れ"をしている人もいるじゃないですか。だけど本作は全部3DCGアニメだからこそ、「このシーンのCG凄いな」とか余計なことを思わなくていいのも推せる理由の一つです。先ほどの俳優の話にも通じますが。
熊谷:視聴を迷っている人にとにかく伝えたいのは、1話が25分程度で終わること! 海外ドラマでいうと、『SEX AND THE CITY』が1話30分なんですけど、それより短い! 韓国ドラマとか、1話だけで75分とかザラにあって、見るのに体力いるんですよね(笑)
アナイス:巷で「ファスト映画」が話題になるなど、視聴者側がコスパや時短を求めているんだなって感じることは最近多いですよね。本作は比較的短い時間でアクション、クリーチャー、陰謀、サスペンスなどが描かれる。いろんな要素が盛りだくさんなので、そこにコスパを感じてほしいです。
奥村:ストーリーもわかりやすいので、そこも見やすさの理由の一つかなと思います。一度見た後は、レオンとクレアの関係性などいろいろ深堀してからもう一度鑑賞するとより楽しめそうですよね。
Netflixオリジナルアニメシリーズ『バイオハザード:インフィニット ダークネス』(全4話)は全世界独占配信中。
登壇者情報(五十音順)
・奥村百恵
・熊谷真由子
作品情報
Netflixオリジナルアニメシリーズ
『バイオハザード:インフィニット ダークネス』
コピーライト:©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
話数:全4話
配信日:Netflixにて全世界独占配信中
Netflix作品ページ:www.netflix.com/biohazard_anime
(海外ドラマNAVI)
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『バイオハザード:インフィニット ダークネス』Netflixにて全世界独占配信中