大ヒットシットコム『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』のDNAを受け継ぎつつも、全く異なるSFアプローチに挑んだスピンオフ『スチュアート★宇宙救出失敗の法則』。本作がオリジナルシリーズの「公式設定(カノン)」に該当するのかというファンの疑問に対し、共同クリエイター陣がその真相と、作品に込めた並々ならぬ野心を明かす。
-

『ビッグバン★セオリー』スチュアート主演の最新スピンオフ、7月24日(金)より配信スタート
世界中で愛された大ヒットシットコム『ビッグバン★セオリー』の …
スピンオフのスタートはあのお馴染みの場所から…
『スチュアート★宇宙救出失敗の法則』で最初に訪れる場所は、マルチバースの遥か彼方の片隅ではない。その代わり本作は、見慣れた場所――決定的にディストピア化してしまってはいるものの、あのコミックストアから幕を開ける。
「私たちは並行世界からスタートするが、それは本編の地続きのタイムラインと同時期の設定なので、『ビッグバン★セオリー』の出来事から数年後という時間軸になる」と、共同クリエイターのビル・プラディは語る。「私たちは、物事を正しく修正するための指示書を手に、間違った世界からスタートする。それが彼らのミッションだ」
本作の撮影セットを取材した際、制作陣はカリフォルニア州サンタクラリタ郊外の砂漠地帯に移動しており、全10話のうちの第8話のカメラが回っていた。そこでは、スチュアート(ケヴィン・サスマン)、デニース(ローレン・ラプカス)、バート(ブライアン・ポセーン)、そしてバリー・クリプキ(ジョン・ロス・ボウイ)が、コミックショップから目と鼻の先にある、現在進行形の戦場へと突如転送されるシーンが撮影されていた。
「彼らは別の並行宇宙からやってきているのだが、実はこのシーンは二つの異なるエピソードに存在している」とビルは説明する。「一つはこのメンバーたちの視点から描かれたもので、もう一つはタイムラインのさらに後に出てくる彼らの視点から描かれたものだ。つまり、これが最初のバージョンであり、後から登場する未来の彼らがこの場所に現れて、過去の彼らを目撃するという第2のバージョンが存在するのだ」
これに対し、共同クリエイターのザック・ペンは「とにかくシンプルにいこうとしてるだけだよ、分かるだろ?」とジョークを飛ばす。
「平凡な人々」が巻き込まれるヒッチコック風の構成
マルチバースに翻弄される複雑な展開でありながらも、本作はクラシックなストーリーテリングの原則に基づいて構築されている。
「これにはアルフレッド・ヒッチコック的な要素がある」とビルは解説する。「ヒッチコックは、課された任務に対して完全に不適任な『ごく普通の人物』を主人公に据えるのを好んだ。映画『北北西に進路を取れ』を思い出してほしい。彼は広告会社の男なのに、あのアクションだらけの状況に巻き込まれてしまう。完全に人選を誤っており、まったく心の準備ができていない人たちをあえて連れてくる、というアプローチなのだ」
その結果、ビルと『ビッグバン★セオリー』の共同クリエイターであるチャック・ロリーが、これまで手がけてきたどの作品とも異なるユニークな仕上がりになった。
「これは、皆さんがよく知る『ドクター・フー』×『ブラック・ミラー』×『ビッグバン★セオリー』×『ヒッチコック』の定番マッシュアップだ。まさにその定番のやつさ」
本作は『ビッグバン★セオリー』の公式設定(カノン)?
オリジナルシリーズのキャラクターたちの「別世界の姿」が登場するという野心的な前提は、当然ながらある疑問を生じさせる。本作の出来事は、オリジナル世界の公式設定とみなされるのだろうか?
「いいや」とビルは答える。「それは単純に不可能だ。論理的に不可能だよ。なぜなら、私たちは別の宇宙で彼らに出会っているため、彼らは異なる道を歩んでいる。彼らがその世界でどうなったかという最新情報は得られるが、そのどれもが、オリジナル世界のキャラクターたちが実際に今どうしているかという最新情報にはならない」
その区別は意図的なものだったとビルは強調する。仮のリバイバル番組を制作したり、あるいは従来のマルチカメラ方式を維持した通常のスピンオフを制作したりするよりも、マルチバースという角度からアプローチする方がクリエイティブな満足感を得られたという。
「そこが、チャックのスタートした原点だ」とビルは語る。「オリジナルからの直接的なスピンオフを望む非常に強い声があった。ただ、チャックはとにかく『ジョーイ』(※『フレンズ』の人気キャラクター単独スピンオフ)の二の舞を踏むことだけは絶対に避けたかった。また、本作は『ビッグバン★セオリー』のキャラクターたちが自ら進んで観るような種類の作品でもある。それが『スチュアート★宇宙救出失敗の法則』における指針の一つだ。レナードやシェルドンが気に入るような作品になっている」
狂気じみた文脈のなかで生きる「シットコムの魂」
このシリーズが、最終的にマルチバースというストーリーテリングへのオマージュなのか、それとも風刺なのかと尋ねられると、ザックは「半々だ」と答える。その点について、ビルはもう一つのクラシック映画を例に挙げた。
「いいかい、これは危険が本物であって初めて成立する」とビルは説明する。「キャラクターたちは、見せかけの危機ではなく、正真正銘の危険にさらされている。だからこそ、すべてのシチュエーションがリアルに展開しなければならない。映画『フライングハイ』が面白いのは、飛行機が本当に墜落するかもしれないからだ。そこには正当な危険がある」
ビルは再び、『ドクター・フー』や『スター・トレック』、『タイムマシーンにお願い』を重要な影響元として挙げ、ザックも『ブラック・ミラー』との比較を改めて強調しながら、4人組が訪れる並行宇宙の多くが意図的にディストピアとして描かれていると指摘する。しかし、本作がシットコムのルーツからどれほど遠くへ漂流しようとも、キャラクターたちが自分たちの原点を見失うことはない。
「これはコメディだ。そして、驚くほど多くのシーンに『ビッグバン★セオリー』のシットコムらしさが漂っている。キャラクターたちがお互いにイライラさせ合っているようなあの空気だ」
「そこがポイントだ」とザックは言う。「文脈そのものが狂気じみている。彼らはタイムトラベルマシンを修理するために、女魔法使いと一緒にポーションを開発することについて会話しているが、そのトーンはまるで『ビッグバン★セオリー』の会話のように聞こえる。私たちはそういう見せ方をかなり多く取り入れている。この作品の楽しさは、彼らが『ビッグバン★セオリー』のときと全く同じように振る舞い続ける点にある。そして、彼らはこのSFアドベンチャーという番組に最も不釣り合いな人々だ。そこが重要なんだ。つまり、この場所にまったく馴染んでいない4人組の例としては、これ以上ないほど最適な日に取材に来ていただけた、ということだ」
『スチュアート★宇宙救出失敗の法則』はU-NEXTにて7月24日(金)より独占配信スタート。(海外ドラマNAVI)






