世界中を熱狂させた『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の生みの親、ダファー兄弟が製作総指揮として次なるターゲットに選んだのは、「結婚」という人生最大の儀式に潜む深淵だった。Netflixで配信が開始された『なにかが、起きる』は、その不穏なタイトルが示す通り、視聴者の予想を鮮やかに裏切り続ける。本作は、単なるスリラーの枠を超え、現代ホラーの新たな到達点を提示する衝撃作だ。
以下、『なにかが、起きる』のネタバレが含まれるのでご注意ください。
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ホラー界の新たな至宝、ヘイリー・Z・ボストンが放つ衝撃
この「血の婚礼」を描き出したのは、ホラー界の新星ヘイリー・Z・ボストンだ。彼女は、Netflixの『ブランニュー・チェリーフレーバー』や『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』での脚本執筆を経て、わずか29歳で本作のクリエイター兼ショーランナーに抜擢された。視覚、聴覚、そして本能的な恐怖を揺さぶるヘイリーの感性は、盤石の製作陣を得て、かつてない純度で結実している。

監督には『私のトナカイちゃん』のヴェロニカ・トフィウスカを起用。物語の中心となるのは、婚約者のニッキー(アダム・ディマルコ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』)と一見堅実な関係を築いているレイチェル(カミラ・モローネ『ナイト・マネジャー』)だ。
しかし、彼女は「もしこのまま結婚式を強行すれば、何か恐ろしいことが起きる」という強烈な確信に囚われていく。レイチェルが感じていた抽象的な「悪い予感」は、やがて否定しようのない不吉な兆候へと姿を変え、物語は加速度的に血の匂いを纏っていく。
自身の体質から生まれた、前代未聞の恐怖
この物語の原点は、意外にもヘイリー自身のプライベートな恐怖に根ざしている。長く幸せな結婚生活を送る両親から「間違った相手と結婚してはいけないよ」と言われた際、彼女の脳裏には「もし確実に知る方法があったら?」という問いが浮かんだという。それが転じて、「間違った相手と誓いを立てれば、祭壇で出血多量で死んでしまう」という過激なアイデアへと昇華された。
特筆すべきは、この「出血」というモチーフが、ヘイリー自身の医学的な実体験に基づいている点だ。彼女は、自身の体が血を作りすぎてしまう「血液過多」という診断を受けている。医師からは半年に一度の献血を勧められながらも、先端恐怖症ゆえにそれを拒んできたヘイリーは、「もし自分の血が、あらゆる場所からドバドバと溢れ出してきたら?」という想像を膨らませた。
この上なく残酷で独創的なホラー描写。それは、結婚式という聖なる場所で、参列者が自身のパートナーシップを強制的に見つめ直させるという、極めて心理的な恐怖を物理的な惨劇へと変換したものである。
「呪い」か「狂気」か。観る者を欺く二段構えの構造
物語の構築において、ヘイリーは巧妙なミスリードを仕掛けている。シリーズの序盤では、ニッキーの不気味な家族がレイチェルに何かを仕掛けてくるかのように見せ、視聴者をファミリー・スリラーの枠組みへと誘い込む。しかし、物語が中盤に差し掛かると、その様相は一変する。

彼女が意図したのは、呪いホラーの語り口を借りた、鮮やかな「ひねり」だ。ヘイリーはこの構造を、「最初の4話は家に幽霊が憑りついているが、残りの4話は自分自身が憑りつかれている物語だ」と例えている。ニッキーの母ヴィクトリアや妹ポーシャを巡る疑惑は、あくまでレイチェルの内面を抉り出すための伏線に過ぎない。この外から内へという視点の転換こそが、視聴者を翻弄し、最後まで目が離せない緊張感を生み出している。
『なにかが、起きる』シーズン1はNetflixで独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Deadline










