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60周年を迎える『スター・トレック』が直面する苦境と未来への課題

2026年3月15日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

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スター・トレック:スターフリート・アカデミー

1991年に公開された映画『スター・トレックVI 未知の世界』の終盤、ある象徴的なシーンがある。長年銀河を駆け抜けてきた老兵、ジェームズ・T・カークとスポックが、自分たちはもはや「無用の長物」になってしまったのではないかと自問する場面だ。この作品自体、かつての宿敵であったクリンゴン帝国との和平交渉を描いた冷戦のアレゴリー(寓話)であり、エンタープライズ号のクルーたちは、自分たちを必要としなくなったかもしれない新しい銀河の秩序と向き合うことになる。オリジナルチームの「白鳥の歌(最後の輝き)」となった物語におけるこの重苦しい瞬間は、今、カーク個人だけでなく『スター・トレック』というフランチャイズそのものに突きつけられていると、英メディアRadio Timesが紹介している。

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霧散する熱量と、新作不在の異常事態

最新のスピンオフ『スターフリート・アカデミー』のニールセン視聴率速報が振るわず、現在正式に制作が進んでいる新作が一本も存在しないという事実は、かつて圧倒的だったSFブランドが人々の想像力を捉えるのに苦労していることを示唆している。ストリーミングサービスの断片化により正確な数字は見えにくいものの、社会的な熱量は以前の時代よりも明らかに冷え込んでいる。

かつてテレビSFのあり方を定義したこの番組は、今や奇妙なほど周辺的な存在になってしまった。しかし、これは単なるフランチャイズ疲れ以上の根深い問題かもしれない。歴史的に見れば、このシリーズは常にアメリカが未来に対して自信を持っている時期にこそ繁栄してきたからだ。

これまでの成功例を振り返ると、その相関関係は一目瞭然だ。初代シリーズは、ケネディ大統領が掲げたニューフロンティア精神という楽観主義の中で誕生した。続く『新スター・トレック』が勢いづいたのは、1980年代後半のレーガン政権による「モーニング・イン・アメリカ(アメリカの新しい朝)」や、冷戦後の勝利至上主義に沸いた1990年代のクリントン政権下であった。要するに、『スター・トレック』は国民が未来は自分たちのものだと信じている時にこそ、その輝きを増すのである。

対照的に、社会が不安や不信に包まれる時期、このシリーズは決まって苦境に立たされてきた。1970年代、ウォーターゲート事件を受けて公的機関への信頼が失墜した頃、番組は再放送の中で細々と生き長らえるしかなかった。また、2000年代のジョージ・W・ブッシュ政権下、テロとの戦いが泥沼化した時代に放送された『スター・トレック エンタープライズ』は、精彩を欠いたまま4シーズンで打ち切られている。

『ディープ・スペース・ナイン』が示した例外的な深淵

唯一の例外は、90年代のスピンオフ『スター・トレック/ディープ・スペース・ナイン』だろう。この作品だけは、理想をただ称賛するのではなく、あえてその正当性を問い直す試みを行った。

戦争が舞台となった後半シーズンでは、ベンジャミン・シスコ司令官が、連邦が生き残るためにどこまで自らの信条を犠牲にすべきなのか、苦悩し自問する姿が描かれた。そこには真の道徳的曖昧さが存在していたが、当時は『新スター・トレック』『ヴォイジャー』が並行して放送されており、ベンジャミンの苦悩を包み込む「楽観主義の核心」が他所で守られていた。しかし今日、そのような保護ガラスはどこにも存在しない。

2026年、二極化する政治と惑星連邦の限界

これらすべての要素が、2026年現在、世界の舞台でより攻撃的な姿勢を強めるドナルド・トランプの時代へと私たちを引き戻す。世論が二極化し、政府への信頼が薄れる中、惑星連邦の前提条件である「協力」「良識」「合意」といった価値観は、政治的現実からますます遠ざかっている。

近年のシリーズ(『ディスカバリー』『ピカード』『ストレンジ・ニュー・ワールド』、そして『スターフリート・アカデミー』)が深い文化的足跡を残せていないのは、惑星連邦が、銀河中に支配を広げる「慈悲深い超大国」いわばワープドライブを備えたリベラルな国際主義のように見えてしまい、それが今の時代には疑わしく感じられるからではないだろうか。

未来が理想に追いつくまで

ここには一つの逆説が潜んでいる。確かに『スター・トレック』は帝国主義的な側面を持つが、同時に人類が到達しうる最高の姿を示す憧れでもあった。しかし、楽観主義は手が届くと感じられて初めて力を発揮する。現実社会に疲れ果てた現代人にとって、提示される完璧な未来は希望というよりも、むしろ現実からの逃避のように映ってしまう。

原点に託された一筋の光:若きカークの物語

しかし、このまま暗雲が立ち込めたまま終わるわけではない。フランチャイズは、かつてない手法でこの閉塞感を打破しようとしている。それが、現在進行中と報じられているジェームズ・T・カークの「1年目」を描くスピンオフプロジェクトだ。

もし惑星連邦という完成されたシステムへの信頼が揺らいでいるのなら、描くべきはそのシステムが盤石になる前の、泥臭くも情熱に溢れた「始まりの物語」なのかもしれない。若き日のカークが、いかにして不可能を可能にし、バラバラだったクルーを一つにまとめ上げたのか。その個の輝きと開拓者精神は、政治的停滞に沈む現代の観客に、再び新鮮な刺激を与える可能性がある。

このフランチャイズは、過去にも長い沈黙を乗り越え、大衆が再び理想を信じる準備が整った時に復活を遂げてきた。60周年という節目に、伝説の船長の原点に立ち返ることは、未来が再び彼らの理想に追いつくための、最良の準備運動になるはずだ。

『スター・トレック:スターフリート・アカデミー』WOWOWで配信中。(※2026年3月31日まで)

(海外ドラマNAVI)

参考元:Radio Times

Photo:Instagram@startrekより

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海外ドラマNAVI編集部

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