レコメンド

『ターミナル・リスト ~闇の狼~』今後のシリーズ展開にも期待させるテイラー・キッチュのダークな佇まい

2025年10月9日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

『ターミナル・リスト ~闇の狼~』

2025年8月よりAmazon Prime Videoにて配信中の海外ドラマ『ターミナル・リスト ~闇の狼~』は、数年前にクリス・プラット主演で大きな話題となった『ターミナル・リスト』の前日譚スピンオフである。

前作では、米海軍特殊部隊Navy SEALsの隊長であるジェームズ・リースが、妻子を殺された復讐を果たそうと奔走する姿が描かれたが、ジェームズの良き協力者として抜群の存在感を放ったのが、テイラー・キッチュ演じるCIA工作員のベン・エドワーズであった。『ターミナル・リスト ~闇の狼~』は、そんなベン・リチャーズがいかにしてCIA特殊作戦部門に所属することになったのか、その過程が克明に描かれるシリーズとなっている。

ターミナル・リスト ~闇の狼~
『ターミナル・リスト ~闇の狼~』シーズン2の計画を主演テイラー・キッチュが明かす

Amazonオリジナルシリーズ『ターミナル・リスト』のスピン …

『ターミナル・リスト』が残した謎:ベン・リチャーズの素顔とは?

『ターミナル・リスト』シリーズは、ジャック・カーによる同名ベストセラー小説を映像化したものであり、まるで1シーズンが1本の長編映画であるかのような、クリフハンガー要素の強いストーリーラインを辿ることで知られている。

シーズン1では、クリス・プラット演じるジェームズが陰謀に巻き込まれ、仲間や愛する家族を奪われ、復讐を決意するところから物語は幕を開けた。ジェームズは、関係者の名前をリスト化し、次々と“処刑”を繰り返していく。そんな彼を影ながらサポートする立ち位置で登場したのが、彼のSEALs時代の元同僚で、現在はCIA工作員として機密情報にまでアクセス可能なベンだった。

ベンは、リストにある人物の情報をジェームズと共有し、その復讐を遂げる手助けを引き受ける。しかし、次第に彼自身が陰謀の一翼を担っていたことが明らかになり、最終的には唯一の友であったベンの命をジェームズは奪わなければいけなくなるという衝撃的な結末を迎えたのだ。

信じていた友に裏切られる形となってしまうわけだが、このベン・リチャーズという男の素性に関しては、ベールに包まれている部分が多く、その過去についてはそれほど深く描写されていなかった。そのため、視聴者はベンの真意は何だったのか、ジェームズとはどれほどの付き合いだったのか、そもそも彼は何故CIA工作員となったのか、といった多くの謎を残したままとなっていた。そこで製作されたのが、彼の過去を描いた前日譚スピンオフ『ターミナル・リスト』である。

アクションからスパイ・スリラーへ:スピンオフで明確になった「軸」の違い

本作は、遡ること10年前の2015年を舞台に物語が幕を開ける。未だNavy SEALsに所属しているベンは、イラク・モスルでの任務をジェームズらと共に完遂しようとするが、とある出来事がきっかけで除隊を余儀なくされてしまう。その後、居場所を失ってしまったベンは、CIA特殊作戦部門に籍を置くことになり、過酷な任務へと身を投じていくことになるのだ。

オリジナルシリーズ同様に、本作でも鬼才アントワーン・フークア(『ザ・シューター/極大射程』『イコライザー』)が製作総指揮を務めているため、全体的なトーンはやや暗く、思わず目を背けたくなるようなシーンも数多い。

しかしながら、オリジナルとハッキリ異なる要素が本作には詰め込まれている。それは、本作が“スパイ・スリラー”であるという点だ。

『ターミナル・リスト ~闇の狼~』

オリジナルの『ターミナル・リスト』は、一人の元軍人が復讐を繰り広げていくアクション・ドラマの要素が強く、その根幹に戦争ドラマや社会派サスペンスといった要素を肉付けしていった印象が強かった。一方で、今回のスピンオフでは全編通して“スパイ要素”が前面に出されており、オリジナルとは別物の魅力を醸し出すことに成功している。もちろん、オリジナルへと続くベンの物語としての充実度は高く、世界観の統一は図られているが、それでも『ターミナル・リスト』と『ターミナル・リスト ~闇の狼~』では、軸となる要素に大きな差異があると言えるだろう。これは、今後も異なる時間軸のストーリーとして同時進行していける可能性さえも示した。

硬派な作品に欠かせない存在:テイラー・キッチュという俳優

テイラー・キッチュは、本作のような骨太作品と非常に相性の良い俳優である。

1981年4月8日カナダ出身のテイラーは、俳優として活躍することを夢見てニューヨークへやってくるが、長らく芽が出ることなく、一時はホームレス生活を送っていたという過去を持つ。

2006年に海外ドラマ『カイルXY』でデビューを飾った彼は、同年、映画『レニー・ハーリン コベナント 幻魔降臨』に出演し、注目を集めた。その後、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)を皮切りに頭角を現し、『ジョン・カーター』(2012)、『バトルシップ』(2012)と立て続けに大作映画へ主演。2013年には戦争アクション『ローン・サバイバー』にてNavy SEALs偵察チーム指揮官のマイケル・マーフィ役に扮した。同作は、SEALs史上最大の悲劇と言われた「レッド・ウィング作戦」を題材にした作品であり、『ターミナル・リスト ~闇の狼~』と相通ずるものがある骨太作品である。

その他にも2015年のドラマ『TRUE DETECTIVE/ロサンゼルス』や2018年の映画『オンリー・ザ・ブレイブ』など、硬派で男臭い作品には欠かせない存在感を放ちつつある俳優だ。

若き日は比較的、大作映画の主演スターといった華々しいポジションを目指すのかと思われたが、年齢を重ねるごとに道筋をシフトチェンジし、今では寡黙な渋いキャラクター性を発揮するようになってきている。そういった意味でも、『ターミナル・リスト』におけるベン・リチャーズ役に、まさに打ってつけの俳優と言えるのだ。彼の持つダークで悲哀に満ちた佇まいは、今後も様々な作品で大いに発揮されることであろう。

オリジナルの第2シーズン配信開始も待たれる『ターミナル・リスト』シリーズ。クリス・プラットとテイラーという申し分のない2大スターが揃ったこの世界が、今後どのような拡大を遂げていくのか、その楽しみは尽きない。

『ターミナル・リスト ~闇の狼~』はPrime Videoで独占配信中。

(Zash)

Photo:© Amazon Content Services LLC

  • この記事を書いた人

Zash

子供の頃から培ってきた映画と海外ドラマの知識を活かしてライターとして活動中。皆さんに一時の幸せな時間をお届けできたら幸いです。

-レコメンド
-,