大ヒットファンタジー大河『ゲーム・オブ・スローンズ』(『GOT』)でシオン・グレイジョイ役を演じ、一躍その名を世界に知らしめたアルフィー・アレンは、現在TVや映画に引っ張りだこで多忙を極めている。父で俳優・コメディアンのキース・アレン、姉にポップスターのリリー・アレンという華麗な一族を持つアルフィーだが、“より楽な”道を選ぶこともできたはず。しかし、彼は常にスケールが大きくハードな作品を選び、キャリアを着実に築いてきたのである。
-
『ゲーム・オブ・スローンズ』シオンとジョフリーが新作ドラマで共演!予告編が公開
エミー賞で助演女優賞と監督賞を受賞した犯罪ドラマ『オザークへ …
闇取引を描く新作『Atomic』、アルフィーが挑む「愛すべき」麻薬密輸業者
そんなアルフィーが出演する米Skyの新作ドラマ『Atomic(原題)』は、Vanity Fair誌のジャーナリスト、ウィリアム・ランゲヴィーシェの著書で核兵器技術の闇取引を暴いた「The Atomic Bazaar(原題)」から着想を得たという。アルフィーが演じるのは麻薬密輸業者のマックス。彼は濃縮ウランを北アフリカや中東に運ぶという恐ろしい陰謀に巻き込まれていく。
Alfie Allen and Shazad Latif lead the cast of new Sky drama #Atomic. More details:https://t.co/Prr9n8LIx9
— TV Zone (@tvukzone) August 24, 2025
アルフィーは自身の役柄について、「マックスは疑わしい人生の選択をしてきました。それは誰もが人生のどこかで共感できるものだと思います」と説明。その上で、「でも、彼はどこか愛すべき存在で、少し弱さもあるんです」と、単なる悪役ではない、深みのあるキャラクターであることを示唆した。
過酷な撮影環境も厭わない俳優魂
『Atomic』の撮影は昨年モロッコで行われた。運転好きなアルフィーは、砂漠で長時間車を走らせるのが楽しみだったという。「それに俳優としては、台詞を言うことだけでなく、他に考えることがある方が好きなんです」と語る。
作中では危険な核物質の入った重いバッグを担いで走るシーンも多いが、モロッコの暑さはそこまで過酷ではなかったそうだ。アルフィー曰く、「本当に暑くなるのは9月で、撮影は8月まででした。英BBCの『SAS Rogue Heroes(原題)』のようにサハラ砂漠の真ん中にいたわけではないので(そこまで酷い暑さとは感じなかった)。あの時の最高気温は53度で、本当に正気を失うほどでした」と、過去出演作のハードさをにじませた。
観客の記憶に残る「極悪」な役柄の数々
核兵器に絡む陰謀に巻き込まれるマックスという役柄だが、これはアルフィーの出演歴の中で最も極悪というわけではない。彼はこれまで、『McVeigh(原題)』でオクラホマシティ爆破犯のティモシー・マクベイを、『ジョジョ・ラビット』ではナチス将校を演じている。
さらに、多くの人々の記憶に残っているのは、アクション映画『ジョン・ウィック』の第1作で、キアヌ・リーブス演じる主人公の子犬を殺すという重要な役を担い、知らず知らずのうちに4作にわたる血みどろの超暴力的復讐劇を引き起こしたことだろう。アルフィーは笑いながら「ニューヨークで舞台をやっていたとき、外に出るといつも『おい、ジョン・ウィックの犬を殺しただろ!』と叫ばれました。あの映画のことはすごくいい思い出なんです」と振り返った。
『ゲーム・オブ・スローンズ』の暗部と私生活の苦悩
世界を席巻した『GOT』の最終シーズン撮影終了から早7年、アルフィーは当時を振り返り、「ほとんどは良い思い出」と語る。しかし、その言葉に含みがあるのは、彼が演じたシオンという役柄が、鉄諸島の王族からラムジー・ボルトン(イヴァン・リオン)の“ペット”へと堕ち、心身に大きな負担を与えたからであろう。
アルフィーはその問いかけにうなずき、当時のつらさを明かした。「シーズン3の頃にはイヴァンと一緒に地下牢にいて、とても孤立していました。内容もかなり暗く、特に拷問される場面はつらかったです。だからイヴァンとはよく夜通しビリヤードをして、昼間やったことについては一切話さないようにしていました」と、撮影中はお互いに役柄と距離を置こうとしていた様子がうかがえる。また、「シーズン3の撮影中に祖父が亡くなり、私生活でも本当に苦しい時期でした」と、公私ともに大変な時期を過ごしていたことも明かした。
信頼するクリエイターとの再タッグ、Netflix『三体』への期待
今後、アルフィーは『GOT』のクリエイターであるデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスと再びタッグを組むことになっている。彼らが現在取り組んでいるNetflixのSFスリラー『三体』のシーズン2に参加する予定だという。
「彼らがこの役をやってほしいと連絡をくれたんです。送られてきた資料を読んで話をして、すぐにやりますと答えました」と、オファーを即決したことを明かすアルフィー。「デイヴとダンはすばらしい脚本家でありショーランナーです。複雑な要素を抱える作品をどう維持していくかをよくわかっている人たちです」と、全幅の信頼を寄せるクリエイターとの新たな仕事に期待を膨らませている。
『ゲーム・オブ・スローンズ』全シーズンはU-NEXTで配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Radio Times