第77回プライムタイム・エミー賞授賞式で、Netflixのミニシリーズ『アドレセンス』が快挙を成し遂げた。リミテッドシリーズ/アンソロジーシリーズ部門で作品賞に輝いたほか、助演男優賞を受賞した現在15歳のオーウェン・クーパーが、エミー賞史上最年少受賞という歴史を塗り替えた。この快挙の陰には、彼を幼い頃から見守り続けた演技学校の存在があった。
-
Netflix『アドレセンス』シーズン2のアイデアとは?クリエイターが語る
Netflixで世界的大ヒットを記録した英国発の社会派ドラマ …
「生まれながらの才能」と絶賛されたクーパーの軌跡
ウォリントン出身のオーウェンは、14歳で13歳の少年ジェイミー役を演じ、俳優としてのキャリアをスタートさせた。共同脚本と主演を務めたスティーヴン・グレアムとの息の合った演技は高く評価され、クーパーの自然体な演技が物語に深みを与えている。
彼が2年間通った演技学校「Drama MOB」の共同設立者エスター・モーガンと、元教師のヘレン・ソープは、口を揃えて彼の才能を絶賛する。ヘレンは、初めて会った時から「生まれながらの天性の役者であることは明らかだった」と語り、「エネルギーがあり、積極的に取り組む姿勢」を評価した。
また、エスターは、クーパーを「面白くて、クラスメイトからも人気があり、即興がとても得意」な少年だったと振り返る。そして、各エピソードがワンテイクで撮影されるという本作の特殊な撮影方法において、「舞台に立ち、とにかく挑戦し、もし失敗しても演じ続ける」というクーパーの力が、無名だった彼を一躍イギリスで最も注目される俳優へと押し上げる決め手になったと述べている。
た天才少年、将来は?
エミー賞の受賞式を徹夜で観ていたというエスターは、クーパーの両親の誇らしげな姿に感動したと明かす。「本当に素敵なご家族で、とても地に足がついているんです。ノーザン出身の地元の少年がエミー賞を受け取る姿は、ただただ信じられないほど感動的でした」
父親役のスティーヴンとの関係性もまた、クーパーの演技力を引き出した要因の一つだ。ヘレンは「その関係性は本当に胸を打つもので、親である立場から見れば“これは誰にでも起こりうることだ”と強く感じさせられるものでした」と、クーパーの演技を「信じられない」と絶賛している。
今後のクーパーの活躍について、エスターは「きっと素晴らしいことを成し遂げるだろうと疑いません」と期待を寄せつつも、「まずは学校に戻ってGCSE(中等教育修了試験)を受けることになります」と、等身大の彼の姿を明かした。ヘレンもまた「彼はそのうち(演劇学校に)ふらっと立ち寄ってくれるかもしれません……。本当に地元に根ざした落ち着いた青年なので、また会えることを楽しみにしています」と、再会を心待ちにしているという。
社会現象となった『アドレセンス』
全4話からなるミニシリーズ『アドレセンス』は、各エピソードがワンカット撮影という技術的な挑戦でも話題を呼んだ。緊張感を高め続ける演出は、視聴者を物語に引き込み、ミソジニー(女性嫌悪)やオンラインの安全性といった現代的なテーマを深く掘り下げている。
見るのが容易ではない題材でありながら、本作は世界各国でNetflixの視聴ランキングで首位を獲得。実社会にも大きな影響を与え、キーア・スターマー首相が家族とともに視聴したことを明かし、議会や学校での上映を求めるキャンペーンを支持するなど、社会現象を巻き起こした。
さらに、『アドレセンス』は今年のナショナル・テレビジョン・アワード(NTA)でも、新作ドラマ賞とクーパーのドラマ演技賞を含む2冠を達成している。
『アドレセンス』はNetflixにて独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Sky News