Netflix新作ドラマ3作品、すべてシーズン1のみで打ち切りに

Netflixで昨年末から今年春にかけて配信が開始されていた新作ドラマ『パルス』、『ザ・レジデンス』、『ノー・グッド・ディード　～麗しの家～』の3作品がまとめて1シーズンのみで打ち切りとなったことがわかった。米Deadlineが報じている。

『パルス』キャンセルは医療ドラマ戦国時代の犠牲か

Netflix版『グレイズ・アナトミー』のようだと注目を集めた『パルス』だが、そのキャンセルは「不運なタイミング」が大きく影響したといえるだろう。というのも、この半年間で新たに登場した5本の医療ドラマの中で、『パルス』は最後に配信された作品だったのだ。

同時期に公開されたFoxの『DOC　－わたしを思い出す日まで－』、NBCの『Brilliant Minds（原題）』、Maxの『ザ・ピット／ピッツバーグ救急医療室』、CBSの『Watson（原題）』は、いずれも高い人気を博し、すでに第2シーズンへの更新が決まっている。特に『ER 緊急救命室』のノア・ワイリー主演の『ザ・ピット』が大きな話題を集めていたタイミングで『パルス』が配信されたことは、その影に隠れてしまった感は否めない。さらに『パルス』が職場でのセクシャルハラスメントという重いテーマを扱っていたことも、現実逃避として医療ドラマを楽しみたい視聴者には受け入れられにくかった可能性も指摘されている。

関係者によると、キャストや制作スタッフには、すでに1カ月以上前にキャンセルの通知がされており、彼らはすでに次の仕事に向けて動き出しているという。

『ザ・レジデンス』高額な制作費と強力なライバルに阻まれる

『ザ・レジデンス』のキャンセルもまた、不運なタイミングに見舞われたようだ。リミテッドシリーズ『アドレセンス』が文化的な現象を巻き起こし、数週間にわたり視聴率チャートやソーシャルメディアを席巻していたわずか1週間後にデビューしたため、『ザ・レジデンス』はその陰に隠れてしまったのだ。『アドレセンス』はNetflixの歴代ドラマランキングで2位にまで上り詰めるほどの圧倒的な存在感を見せていた。

さらに、『ザ・レジデンス』の高額な制作費も更新を困難にした要因のひとつだ。シーズン1には『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のウゾ・アドゥーバをはじめ、ジャンカルロ・エスポジート（『ブレイキング・バッド』）、ランドール・パーク（『アントマン』）、スーザン・ケレチ・ワトソン（『THIS IS US／ディス・イズ・アス』）ジェイソン・リー（『マイネーム・イズ・アール』）といった豪華キャストが出演。精巧なプロダクションデザインと大規模なVFX（視覚効果）も特徴で、セットは史上最大規模のホワイトハウス再現とされ、7つのスタジオにわたって建設されたという。

『ノー・グッド・ディード　～麗しの家～』復活の可能性は？

『ノー・グッド・ディード　～麗しの家～』については、現時点では第2シーズンの計画はない。しかし、情報筋によると、将来的に新たなエピソードと新キャストでこのダークコメディ・アンソロジーが復活する可能性は理論上残されているという。

『ザ・レジデンス』と同様に、毎シーズン新しい家、新しいキャラクター、新しい犯罪を描くアンソロジーとして企画されていた。しかし、シーズン1の反応があまり芳しくなかったため、シリーズは更新されていない。それでも、以前Netflixのダークコメディ『デッド・トゥ・ミー ～さようならの裏に～』を手掛けたフェルドマンが、第2弾となる新たな企画を提案する余地は残されていると情報筋は伝えている。

また、本作は『ホワイト・ロータス／諸事情だらけのリゾートホテル』のように、前シーズンの一部のキャラクターが次のシーズンにも登場する設計だった。シーズン1ではデニス役のO・T・ファグベンルと、妊娠中の妻カーラ役のテヨナ・パリスだけが複数年契約を結んでいたとのこと。最終回ではデニスとカーラにまつわるミステリーが示唆されていた。

関係者によれば、ファグベンルとパリスの契約オプションはまだ失効していない。しかし、状況は流動的であり、当初予定されていた内容で第2シーズンに進む可能性は低いようだ。もしシリーズが続編として復活する場合は、全く新しいコンセプトになるかもしれない。

Netflixでは過去7ヶ月間で多くの新作が更新された一方で、今年これまでにキャンセルが確定したNetflix作品は、スパイドラマ『ザ・リクルート』ただ1作のみとなっている。これは、今迄からすると記録的な低さといえるだろう。

残念ながら1シーズンのみで打ち切りとなってしまったNetflixシリーズ『パルス』、『ザ・レジデンス』、『ノー・グッド・ディード　～麗しの家～』は独占配信中。（海外ドラマNAVI）