
2015年から“ミステリーの女王”アガサ・クリスティーの小説を次々とドラマ化している英BBC。次に取り上げる作品が「終りなき夜に生れつく」になるという。米Deadlineが伝えている。
ポワロ、マープル不在も作者のお気に入り
クリスティーは60冊以上のミステリー小説を執筆。その中からBBCはこれまでに、サラ・フェルプスの大胆な脚色で「そして誰もいなくなった」「検察側の証人」「ABC殺人事件」「無実はさいなむ」「蒼ざめた馬」を映像化。その後、2022年にヒュー・ローリー(『ドクター・ハウス』)の監督・脚色・製作・出演兼任で「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」が、2023年にはシアン・エジウンミ=ル・ベール(『エリス~覚悟の警部』)の脚色で「殺人は容易だ」が、そして今年3月にはレイチェル・ベネット(『リッパー・ストリート』)の脚色で「ゼロ時間へ」がドラマ化された。
この度新たに制作されることが決まったのは、クリスティーが1967年に発表した「終りなき夜に生れつく」。題名はイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩「無垢の予兆」の一節を由来とする。
しがない運転手のマイクはある日、呪われた伝説を持つ地として人々から恐れられる〈ジプシーが丘〉を訪れ、その眺望に惚れ込む。その地で若い米国人女性エリーと出会い恋に落ちると、彼女は実は大富豪の娘だった。二人は結婚し、〈ジプシーが丘〉に美しい家を建てるというマイクの夢を叶えることにするのだが…。
クリスティーが生んだ有名なキャラクターたち、ポワロやミス・マープルは姿を見せないものの作者自身がお気に入りとして挙げるこの作品は1972年に映画化されたが、シドニー・ギリアット(『バルカン超特急』脚本家)が監督・脚本を手掛けたこの『エンドレスナイト』はクリスティーにとっては不満の残るものだったと言われている。英ITVのドラマ『アガサ・クリスティー ミス・マープル』の中でも映像化されており、ミス・マープルが登場する以外はほぼ原作に忠実な内容となっていた。
全3話となる『Endless Night(原題)』の脚色は、久々にフェルプスが担当する。彼女がクリスティー作品を手掛けるのは6回目。フェルプスは昨年、BBCのライバル局であるITVの新作ドラマ『Daughter(原題)』を脚色していたが、再びBBCとタッグを組むことになる。
フェルプスは「クリスティーの晩年の小説の一つであるこの作品は、愛とセックス、策略、死に関する背筋の凍るような物語。私たちは心が望むままにどれほどのことができるか、夜の帳が降りて狼たちがうろつき始めた時に私たちはどうするのかという話」と述べている。原作から大きく話を変更することも厭わないフェルプスによって「終りなき夜に生れつく」がどのように仕上がるのか、気になるところだ。
BBC側によれば、クリスティー作品の映像化はヒットを続けており、最新の『Towards Zero(原題)』の初回は動画配信サービスBritBox史上最高クラスの視聴者数を記録したという。
『Endless Night』の撮影は今年後半に行われる予定。キャスティングなどの続報があり次第、お伝えしたい。(海外ドラマNAVI)
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— Deadline (@DEADLINE) May 8, 2025