『リゾーリ&アイルズ』リー・トンプソン・ヤングの急逝と向き合った方法

人気犯罪捜査ドラマ『リゾーリ&アイルズ』で主人公の一人ジェーン・リゾーリ(アンジー・ハーモン)の部下であるバリー・フロスト刑事役を演じたリー・トンプソン・ヤング。彼はシーズン4の撮影期間中だった2013年8月に自ら命を絶ち、29歳という若さでこの世を去った。彼は双極性障害と診断されていた。

 

敬意をもって向き合いたかった

シーズン4の最終回では、フロストは休暇に出たと説明されたが、続くシーズン5の第1話では彼が交通事故で命を落としたことが明らかになり、第2話『メモリー』では彼の葬儀が執り行われた。米Slateは当時、ショーランナーのジャン・ナッシュにインタビューを行い、制作チームがリーの死にどのように向き合ったのかを尋ねていた。

「シーズン4の最終回でフロストの死に正面から向き合っていないと気づいたとき、私は個人的に“何かしらの形でちゃんと扱う必要がある”と直感的に思いました」とナッシュは語る。

「劇中では“休暇に出た”という設定でしたが、俳優本人が亡くなったという事実がある中で、それだけでは物足りないと感じたのです。アンジーとサッシャ・アレクサンダー(モーラ・アイルズ役)も、リーの死に対して、俳優としての彼、そしてこの作品の一員として演じてきた役柄の両方に敬意をもって向き合う形で描いてほしいと考えていました」

「キャラクターが亡くなると、犯罪を扱うテレビ番組においては選択肢が二つあります。一つは、その死を事件として捜査すること、もう一つは、番組の要素とは関係のない悲劇的な出来事とすることです。私たち全員にとって非常に明確だったのは、バリー・フロスト刑事の死と、彼の死の描き方に曖昧な境界線があってはいけないということでした。それが、彼を悲劇的な事故で亡くすという展開に繋がったのです」

「私たちには一つだけ明確な方針がありました。それは、リー本人と、彼が演じたバリー・フロストというキャラクターをきちんと讃えることです。リーを愛していた人たちがこのエピソードを観たときに、私たちが彼の記憶を大切にしていると感じてもらえるようにしたかったのです」

理由は様々あるが、俳優がシーズンの途中で番組を去ること自体は珍しいことではない。そのため、不在についてごく簡単に説明されたり、あるいは全く言及のないまま物語が進むこともある。そのなかで、『リゾーリ&アイルズ』はフロストというキャラクター、そしてリーという役者と最後まで向き合い、敬意をもって彼を見送った。

『リゾーリ&アイルズ』全シーズンはHuluにて配信中。(海外ドラマNAVI)