リウ・ツーシン(劉慈欣)による世界的ベストセラーSF小説のドラマ版『三体』の配信がNetflixでスタートしたが、その製作プロセスで、中国人起業家が毒殺されるゾっとするような事件が起きていたことを紹介したい。英The Sunが報じている。
犯人は『ブレイキング・バッド』に影響を受け…
2020年9月、中国のビデオゲーム企業Yoozoo Gamesの創設者であるリン・チー氏が、小説「三体」3部作の実写化権を獲得し、Netflixとタッグを組んで製作に乗り出した。
Yoozooは、『三体』でクリエイターを務めるデヴィット・ベニオフとD・B・ワイスが指揮を執った人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のビデオゲーム「Game Of Thrones: Winter is Coming」も制作している。
Yoozooが「三体」の実写化権を獲得した際、チー氏の同僚で上級幹部だったシュー・ヤオは、チー氏がドラマ版の製作総指揮に指名されたのに対し、自分の名前が発表されなかったことに激怒したという。
高校の化学教師が覚せい剤を精製し、麻薬王になる人気ドラマ『ブレイキング・バッド』の大ファンだったヤオは、チー氏に対する激しい嫉妬を抑えられず、同シリーズに触発されて上海にラボを設置。ダークウェブで購入した100種類以上の毒物をテストし、その効果を試すために、無防備なペットを犠牲にしたというから恐ろしい限りだ。
当初は、致死性の高い毒物が入ったプーアール茶をチー氏が飲んで毒殺されたと見られていたが、後にチー氏と彼の秘書を含めた計5人が、毒物入りプロバイオティクスの錠剤を服用したことが明らかとなった。
2020年12月16日、体調の異変で病院に搬送されたチー氏は水銀中毒の治療を施され、40リットルの輸血を受けたが、10日後のクリスマスに死亡。他の4人は体調を崩したものの回復して一命を取りとめ、間もなくヤオは逮捕された。
2024年3月22日、ヤオはチー氏と同僚4人に毒を盛った罪で有罪となり、死刑判決を受けたと報じられている。
実写化権の所有者だったチー氏が毒殺されるという恐ろしい事件が起きた後も、ドラマ版の製作はキャンセルされることなく続行され、全8話となる『三体』はNetflixで配信中だ。(海外ドラマNAVI)
Photo:Netflixシリーズ「三体」3月21日(木)世界独占配信