【ネタバレ】リックとミショーンのアクションラブストーリー版誕生！『ウォーキング・デッド：ザ・ワンズ・フー・リブ』第1話レビュー

オリジナルシリーズが11シーズンをもって終わった後も、次々にスピンオフが制作されている大ヒットサバイバルドラマ『ウォーキング・デッド』シリーズ。ついに本家の主人公リック・グライムズが戻ってきた！　最新のスピンオフ『ウォーキング・デッド：ザ・ワンズ・フー・リブ』では、生死も不明なまま離れ離れになったリックとミショーン、二人のその後が描かれている。1話目「橋の事件から5年後」から盛りだくさんのストーリーが語られた。（※本記事は第1話「橋の事件から5年後」のネタバレを含みますのでご注意ください）

ミショーンへの手紙にこれまでの経緯が

『ウォーキング・デッド』シーズン9で橋が爆破された後、瀕死の状態でヘリコプターにより連れ去られたリック。『～ザ・ワンズ・フー・リブ』では、それから5年の月日が経った世界が描かれる。そして物語は、リックがミショーンに会えないと悟りつつも、これまでの経緯を日記のような手紙で語る形で綴られる。

リックはCRM（市民共同体軍）に連れ去られ、そこでウォーカー駆除係として労働を強いられていた。犬のリードのように左手首を繋がれていた “猛獣”リックは、あるとき自分の左手を斧で切り落として脱出を試みるが失敗に。出だしから、“このまま片腕リックになるのか！？”と衝撃を受けたシーンだった。

その後、CRM上層部のオカフォー中佐からリクルートされたリック。ナイフまで出せる便利な義手をつけてもらい、視聴者としては安心したが、この時点ではオカフォーが味方か敵かが分からない。「内部からの構造改革が必要だ」と語るオカフォーは、ソーンという女性兵士とともにリックに軍隊の出世コースを勧め、リックもとりあえずその道を進もうとする。だが反乱を企てているとも思えるオカフォーの動きにいち早く勘づいたのが、軍の指揮官であるビール少将。ラスボス感満載で笑顔が不気味なキャラクターだ。同役を演じるのは、『LOST』『フォーリング スカイズ』といった数々の世紀末ドラマに出演してきたベテラン俳優、テリー・オクィン。あの顔を見るだけで、「キタキタ！　この存在感！」と釘付けになる。

『ウォーキング・デッド』というより戦争アクションドラマ？

武装した格好のリックは、まるでSFドラマの主人公のよう。本家からも、そしてほかのスピンオフからも、かなり異なる雰囲気を醸し出している。人々が公園の芝生で普通に生活して人との交流を楽しんでいるシーンもありつつも、同盟関係を結んでいたはずのネブラスカ州オマハをCRMが自ら空中から爆撃したという話など、現代でもありそうな、国内での反乱や戦争との対比を彷彿させる描写に感じた。

第1話の終盤、オカフォーとともに乗っていたヘリが襲撃され、血の海になった中で「落ちるぞ！」「衝撃に備えろ！」などと叫ぶリックの姿も兵士として様になっているものの、本家の時は馬に乗っていたリックが…と不思議な気も。ヘリコプターの襲撃や墜落シーンは見どころの一つでもあるだろう。

夢かうつつか？リックとミショーンの再会

リックとミショーンが公園のベンチで初めて出会い、お互いに惹かれるシーンが出てくる。これは架空の世界か、夢か、オルタナティヴの時間軸なのかと一瞬戸惑うが、リックの夢だと分かる。おしゃれな洋服姿のミショーンを見るのは新鮮で良かったが、初対面なのにいきなり一目惚れのようなリックの言動が少し気にかかった。夢だと思えば、リックの都合のいいようになるのは当然かもしれないが…。彼女にはもう一生会えないと思いつつも、ミショーンに手紙を書き、「愛してる」と連呼するリック。思い出の品も全部捨てるも、これだけ好きだったんだな…と改めて感じるリックの告白の手紙（ナレーション）だった。「本作はリックとミショーン二人の愛の物語」だそうだ。

だが、前述の墜落したヘリから命からがら逃げたリックを捕えたのはまさかのミショーン！　見ている方も、「こんな初回からもう再会しちゃうの！？」とまさかの展開に驚いたかもしれない。ダリル、マギーらが登場するほかのスピンオフは「愛する人との再会」までの旅路を描いているのに、「もう出会っちゃってハッピーエンド！？」となった。だが、「愛の物語」というのは、「再会までの旅路」ではなく、本家では育まれる時間もなかった二人の「愛」を、今一度描く作品ということなのかもしれない。そういう意味では、どんな障害があるのか、何か起こるのか。今後の展開がまったく読めないので楽しみだ。

（Erina Austen）