ボイト親分、部下との“秘密”を守り通せるか?『シカゴP.D.』シーズン9はFBIとの攻防戦に注目!

シカゴ・シリーズの本家『シカゴ・ファイア』シーズン10に続き、6月17日(土)より海外ドラマ専門チャンネルAXNにて、シカゴ警察21分署特捜班の活躍を描く刑事ドラマ『シカゴP.D.』シーズン9が独占放送を開始した。個人的に、家族や仲間のためなら悪にもなれるしゃがれ声の特捜班リーダー、ハンク・ボイト(ジェイソン・ペギー)の大ファンで、本家以上に愛するシリーズ。今回もシーズン8の壮絶な最終話を受けて、第1話から怒涛の展開が視聴者を迎え撃つ。

『シカゴP.D.』シーズン9レビュー

シーズン8最終話

まずは、シーズン8最終話のおさらいから。人身売買組織のロイという男に誘拐されたキム刑事(マリーナ・スコーシアーティ)が瀕死の重症を負い、生死をさまよう危機的状況に。一方、ボイトはロイを独自に拘束し、一刻を争うキムの居所を吐かせようと拷問する。ところが、強引なやり方に待ったをかけた部下ヘイリー(トレイシー・スピリダコス)とのやりとりの中で隙が生まれ、ロイがボイトの銃を奪い劣勢に。反射的にヘイリーはロイを射殺してしまう。ここからがボイトの真骨頂、動揺するヘイリーを家に帰し、ロイを火で燃やし、地中に埋め、「ロイは逃走した」と事実を隠蔽したのだ…。

ヘイリー・アプトン役トレイシー・スピリダコス

シーズン9はどうなる?

さてそれからどうなるか…のシーズン9。キムの命は五分五分、恋人のアダム刑事(パトリック・ジョン・フリューガー)はご乱心、そして、またしてもブラックな秘密を抱えてしまったボイトは、罪の意識に揺れるヘイリーを守るため、「普段のままでいろ」「この秘密は墓場まで持っていけ」的な言葉でなんとか正気を保たせる。ところが、一向にロイのシッポがつかめない苛立ちから、副本部長がFBIに捜査を依頼してしまう。ロイ失踪の陰に浮かび上がるボイトの怪しい動き、そしてどんどん明るみになっていく真実。ヘイリーを愛するジェイ(ジェシー・リー・ソファー)がいち早く真相に気付き、ボイトらに加勢するが、絶体絶命のピンチ、彼らはどう切り抜けるのか?

ハンク・ボイト役ジェイソン・ペギー

本シーズンの見せ場はFBIとの攻防戦

真実か、それとも仲間への愛情か、その狭間で揺れる縦軸がドラマに緊迫感をもたらし、いつものダークな世界観をシーズン9でもしっかり継承しているところがファンとしては嬉しい限り。泣く子も黙る“ザ・悪徳刑事”からどんどん“悪”の部分が薄れていき、すっかりちょいと過激な人情派親分にすり替わった感はあるが、「ボイトが何か裏でコソコソやっている」「それに関わる部下、あるいはそれに気付いた部下が悩みもがいている」というお約束を守りながら、日々ハードな事件に対峙する構図は、『シカゴP.D.』だけの世界観。ボイト親分の強靭な意志とギリギリの正義感が、ドラマの生命線として機能しているうちは、(ジェイ役のジェシーがシーズン10で降板するらしいが)このシリーズ、まだまだ行けそうな気がする。

ジェイ・ハルステッド役ジェシー・リー・ソファー
いよいよスタートしたシーズン9、まずはキムの容態が気になるところだが、その行く末は封印しておくとして、さしずめ、ボイト率いる特捜班とFBIとの攻防戦が本シーズンの見せ場になりそうな予感。ボイトの隠蔽工作は暴かれるのか、それとも隠し通せるのか、それとも…。ド派手な銃撃戦や恋模様もふんだんに盛り込まれ、クオリティーは文句なし。縦軸が気になるだけに、一気見による寝不足だけが心配…。

(文/坂田正樹)

Photo:『シカゴP.D.』© 2019 Universal Studios. All Rights Reserved.