本日よりロードショーが開始したちょっぴりビターなラブロマンス『アイム・ ユア・マン 恋人はアンドロイド』。本作で完璧な恋を仕掛けるアンドロイドに扮したダン・スティーヴンス(『ダウントン・アビー』、『レギオン』)に直撃インタビュー! ドイツ語を話すロマンティックなAIという注目すべき点が盛りだくさんな役に挑戦したダンに話を伺った。
ダンにとって2020年公開の『ブライズ・スピリット〜夫をシェアしたくはありません!』以来の映画出演となるSFロマンティックコメディ『アイム・ ユア・マン 恋人はアンドロイド』。Netflixドラマ『アンオーソドックス』を手掛けたドイツ出身の監督マリア・シュラーダーがメガホンを執った。
ベルリンのペルガモン博物館で楔形文字の研究に没頭する学者アルマは研究資金を稼ぐため、とある企業が極秘で行う特別な実験に参加することに。そこに現れたのは紺碧の瞳でアルマを熱く見つめるハンサムなトム。初対面にもかかわらず、積極的に口説いてくる彼は、全ドイツ人女性の恋愛データ及び、アルマの性格とニーズに完璧に応えられるようプログラムされた高性能AIアンドロイドだった――。
――世界中の女性がまた虜になってしまう映画で、"人間とは?愛とは?"など色々と考えさせられることもありましたが、とても楽しく拝見しました。そもそもドイツ語が流暢な理由とは?
高校と大学で勉強したし、家族ぐるみで付き合いのある人がベルリンに住んでいたから、子どもの頃はよく車で遊びに行っていたんだ。外国語を学ぶことが好きなんだけど、ドイツ語が一番得意だね。ドイツ語を話す役で映画に出るのは13年ぶりで、しばらく使ってなかったから良い機会になったよ。
――フランス語も話せるんですよね。
ドイツ語ほどではないけどね。たまたま学んだのがドイツ語とフランス語だっただけで、もしかしたらそれが日本語だったかもしれない。
――本作に出演したきっかけを教えてください。
(監督の)マリアがアンドロイドのキャラクターを演じる役者を探していて、その中でも外国の俳優を積極的に探していたんだ。ドイツ映画ではあるけれど、アンドロイド役だからということで完璧なドイツ語を話す役者ではなく、外国語訛りのある人のほうがドイツ人観客にとって"ロボットである"という感覚になりやすいと考えていたそうなんだ。脚本を読んでみて、人間の欲望や何が人間とたらしめるかといった人間性を見せるものにすぐにひかれた。偉大さと哲学の両方を含んでいたからね。そして、すごくかわいくて面白くて、これはコメディとフィジカルコメディとして大きな可能性を秘めているとすぐに感じたよ。もちろん、それに伴うチャレンジにもね。
アンドロイドの話だからといって、ストーリーそのものがロボットに関するものではない。テクノロジーについての話でもないよね。人間についてなんだ。人間は何を望んでいるのか、このテクノロジーを使って何をするのか、僕たちがそれを通して何を学ぶのかということなんだ。
――脚本を読んだのはパンデミック中だったんでしょうか?
そうだね。ちょうどパンデミックが始まった年の春だった。出演するはずだったブロードウェイが中止になり、ニューヨークから戻ったばかりで落ち込んでいた時期だった。世界の様子もおかしな事になっていたところに舞い込んできたんだよ。
――印象的なダンスシーンの撮影はいかがでしたか?
ルンバは習得するのがすごく難しいんだ。オフの日はベルリンのダンススタジオで過ごしていたくらいだよ。担当してくれたのは、とても厳しい世界チャンピオンでもあった先生だったけど、魅了されていた。彼の動きはアンドロイドのように完璧でもあったから、そのスタジオでとても多くのことを学んだよ。スタジオにいる間は、とにかく役のためにダンスを覚えること、"トムだったらどう動くか"を常に考えていた。
――マレン・エッゲルトさんとの共演はいかがでしたか? 彼女演じるアルマの望みを叶えるためのロボットということで、仕草などに対しアドバイスをもらうこともあったのでしょうか?
とても楽しい撮影だったよ。現場では「このシーンではもう少し人間性をプラスして、ロボットっぽさを減らして...。それからもうちょっとロボットさをまた減らして...」なんて言いながら、どうすれば一番かを確認しながら進めていった。全体をそんな風に調節しながら作り上げていったんだ。
確かな演技力と端正な顔立ちでAI役を見事に演じ遂げ、新境地を開拓したダン。ミドルエイジクライシスに直面する女性をアンドロイドが救うラブロマンスであると同時に、そんな危険で哲学的な永遠の問いを新たに投げかける『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』は本日より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほかでロードショー。(海外ドラマNAVI)
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『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』
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