映画『フリー・ガイ』に続きライアン・レイノルズとショーン・レヴィ監督(『ストレンジャー・シングス 未知の世界』)が再びタッグを組んだNetflix映画『アダム&アダム』。"親子の絆"を軸に、時代を彩った傑作SFアドベンチャーへのオマージュをたっぷり盛り込んだ、これぞエンタテインメント作品の真骨頂! 週末は、家族そろって"お茶の間タイムトラベル"に出かけよう!【映画レビュー】
2050年、戦闘機パイロットのアダム(ライアン)は、ある理由から"タイムトラベルの発明阻止"というミッションに挑むことになり、2018年に向かって旅立った。だが、まさかのアクシデントに見舞われ、予定より早い2022年の世界に不時着した彼は、なんと12歳の自分(ウォーカー・スコーベル)と遭遇。生意気盛りの少年アダムになんとか現状を説明し、力を合わせることになった二人は、平和を乱す強大な悪と対峙していくことになる。
ざっくり言えば、主人公が過去に逆戻りし、悪の根源を断ち切るという王道物語だが、この映画がひときわ光輝いて見えるのは、70年代から80年代にかけて映画ファンをワクワクさせた傑作SFアドベンチャーのエキスが全編を通してちりばめられているからだ。タイムトラベルありきの舞台設定は、まさに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』そのものだが、冒頭、大人アダムが不時着し、少年アダムと対面するシーンは、地球外生物と少年が接近遭遇する『E.T.』のミステリアスな名シーンを彷彿させるというサービス精神!
高圧的な態度をとる大人アダムに対して、少年アダムが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の"ある人物"に例えて揶揄する遊び心にニンマリするのも束の間、シーンが変わると世界も一変、今度はライトセーバーをぶん回し、ミレニアム・ファルコンさながら(デザインは全く違うが)の超高速宇宙船で過去へタイムスリップ! ミサイルが飛び交う壮絶な空中戦は、『スター・ウォーズ』のような迫力だ。もはや、ストーリーよりもオマージュとなっているシーンを血眼になって探しまくるという、違った意味での楽しみも提供してくれるのもこの作品の魅力と言える。
演じる俳優も、『デッドプール』で主演を務めたライアンを筆頭に、『アベンジャーズ』シリーズでハルク役のマーク・ラファロ、『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』で女暗殺者ガモーラを演じたゾーイ・サルダナ、さらには映画『デアデビル』で人気キャラクター、エレクトラ役を務めたジェニファー・ガーナーと、アメリカンコミックスの世界を体現してみせた名優たちが集結し、本編に得体の知れないパワーと説得力をもたらしている。
最後に一つ、これは意図したオマージュではないかもしれないが、父と二人のアダムが時を超えて再会し、互いの気持ちを知るシーンに、名作『フィールド・オブ・ドリームス』が重なってみえた。ラストシーンに込められた男同士の家族の絆...。大活劇にハラハラ、ドキドキしながら、最後にほんわか心が癒される本作は、まさに喜怒哀楽をフル稼働で楽しめる、(何度も言って申し訳ないが)エンタテインメント作品の真骨頂と言えるだろう。
映画『アダム&アダム』は、本日3月11日(金)よりNetflixにて独占配信開始。
(文/坂田正樹)
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Netflix映画『アダム&アダム』