『ゲーム・オブ・スローンズ』キャトリン役:ミシェル・フェアリーに突撃インタビュー!

20130807_c02.jpg世界中で大ヒットを記録している『ゲーム・オブ・スローンズ』で、ネッド・スタークの妻キャトリンを演じているミシェル・フェアリーが来日。ドラマでは少々地味な印象(失礼!)の彼女でしたが、実際は高貴な家の奥方様を演じているだけあって、とても気品があって美しい人。

今回もNAVIはファンの方からの質問を携えインタビューに挑みましたが、イギリスでもっとも権威ある舞台賞ローレンス・オリヴィエ賞にもノミネートされた実績もあるベテラン女優である彼女だけに、その答えの端々から彼女の女優哲学がにじみ出るインタビューとなりました。

―― キャトリンはとても多層的なキャラクターですが、彼女のどんなところに共感を覚えますか?

キャトリンに限らず、このドラマの登場人物の魅力は完璧ではない、というところよね。キャトリンに関して言えば、自分のせいではない出来事、外部から降りかかってきた事象に対して苦悩し、それをどうしても受け入れられない葛藤が、共感を呼び起こす部分なんじゃないかと思うわ。そう、ジョン・スノウの事よ。夫が他の女性との間に作った子供を受け入れなければならない、でもどうしても感情的になってしまって、ジョン・スノウの事に関してはまるで火山のようにいつも噴火しているのよね。彼を引き取ってから長い時間が経っても、どうしても自分の感情が処理できない不器用さがある種の彼女の魅力なのよ。その葛藤をシーズン2、3と話が進むうちに、少しずつ彼女も言葉にしていくのだけれど、ジョン・スノウの事を認められないのが恥だと彼女が感じているという事が分かると思うわ。

―― 私は彼女の持つ強さにも惹かれるのですが、その辺りはどうでしょう? 母として、女性として、彼女はとても強い意志を持っていますよね。

そうね。彼女はサバイバーだから。あの過酷な世界で生き残っていく意志の強さを持っているわよね。自分の能力も自覚しているし、その使い方もちゃんと分かっているのよ。彼女は高貴な家の出なので、王の手の妻としての役割やエチケットをちゃんと心得ている。それでもある時点でそのすべてをかなぐり捨ててでも険しい道を歩んでいく局面がやがてやってくるの。窮地に陥った時にすべてを捨てられる、そういう勇気も持ち合わせているんだけれど、当初は自分にそんな勇気があるなんて気づいてなくて、いろんな出来事を乗り越えていくうちに次第に気付いていくのよ。

―― あなたは長年イギリスで活躍されてきて、『ゲーム・オブ・スローンズ』で初めて長期に渡ってアメリカの作品に携わることになったわけですが、アメリカとイギリスのプロダクションの違いというのはどんなところにありますか?

これはもうまったく違うわね。今回製作がHBOという事で、それは一も二もなく、一流の監督、一流の脚本家、一流のプロデューサーが揃うという事なの。そんな作品に参加できるなんて本当に光栄だと思うけど、それだけのクオリティを保つというのは同時に莫大な製作費もかかっているという事だから、この作品を成功させなければならないというプレッシャーも並大抵のものじゃないわ。だからこの作品に携わるには、とても情熱が必要ね。イギリスとの違いで言えば、まずはそのスケール感。そしてクオリティに対する期待感の大きさね。世界中で作品が見られるというのはとてもプレッシャーも大きいけど、世界がどんどん広がっていくというメリットもある。世界中の人が『ゲーム・オブ・スローンズ』を見ているんだと思うと、すごく謙虚な気持ちになるし、メディアの影響のすごさも改めて感じるわ。そういう感覚はスケールの大きな作品でないと味わえないものね。

―― これほどスケールの大きな作品、しかもTVシリーズともなると、拘束時間が長くて大変そうですが、待ち時間にはどんな事をされてるのですか?

20130807_c05.jpg現場にいる時は、撮影の時間が限られているので、短時間でたくさんのシーンを撮らなければならないから、いわゆるリラックスできるような待ち時間はないの。撮影中の1日はこうよ。現場に入ったらまずスタッフやキャストにきちんと挨拶して、その日のシーンについて話し合わなければならない事があれば、一旦現場を離れて監督や共演者と話し合う。その間照明さんがいろいろ準備をしていて、話し合いが終わったらメイクをして衣装を着て、また現場に戻る。そしてリハーサルをするなり、これから自分が演じるシーンに集中するなりする。そして本番。その繰り返しよ。とにかく現場には働くために行くのであって、なんとなく待っている時間はないのよ。

―― このドラマにはスターク家の子供たちを筆頭に、若い俳優たちがたくさん出演していますが、思わず母親のような目で彼らを見てしまう事はありますか?

それはないわね。彼らは子役...この言葉も何か変よね。まぁ、それはともかく、私は彼らの事は子役というより一人のプロの俳優として見ているの。だって才能も豊かだしプロ根性もすごいし、とても子どもとしては見られないわ。彼らは監督の指示をどのように受け止めたらいいのかちゃんと心得ているし、どう演技すればいいかちゃんと分かっていて、みんな現場で学びながら確実に成長しているところが本当にすごいと思う。それでも彼らが現場にいると、大人だけの現場とは雰囲気が確実に違うの。とにかく好奇心旺盛で、集中力もすごいのでいつも感心するし、ウィンターフェルでみんなが揃うシーンは撮影していて本当に楽しかった。これからみんながどんどん活躍する事を心から願ってるわ。

―― この作品に出演して周りの反応は何か変わりましたか?

うーん...答えから言えばNOね。もちろんこれだけ人気があるシリーズだから、街中で気付かれる事はあるわ。でもそれはこの仕事をしていればどうしても付随してくる事だから、そこは納得しているというか、そういうものだと理解してる。でも声をかけてくる人も、私の時間を邪魔するような事はしないのよ。ただこのシリーズが大好きとか伝えてくれるだけで、そう言ってもらえるのは私もすごく嬉しいわ。こういう人気シリーズに出演して注目度が上がればちやほやされる事も俳優業にはつきものだけど、それに乗っかるのか、そういった注目は脇に置いて、ひたすら仕事に集中するかは本人の選択次第よね。そして私は後者を選択したの。だからこれからもただ仕事に集中するだけよ。

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撮影中にこっそりズームで何かを観察していたというNAVIカメラマン。どうしても気になって、終了後に「近くで見せてほしい」と聴くと、「はいどうぞ」とポンと手渡すミシェル。気品ある雰囲気をかもしだしつつ、結構素の部分はサバけている方なのかも!?

ちなみに気になっていたというのは、このミシェルがつけていた指輪なのでした。アジアンテイストで素敵なデザインでしたよ!

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