「『ドクター・フー』をもっと日本に広めたい!」 BBCワールドワイドジャパンに取材してきました!

今年9月5日(金)にレンタルの先行リリースが、さらに10月3日(金)待望のDVD-BOXの発売が決定したSFミステリードラマ『ドクター・フー ニュー・ジェネレーション』。『ドクター・フー』は、海外ドラマNAVIでもニュースや各種企画などで紹介するたびに、多くのファンが反応してくださる人気シリーズです。今回『ドクター・フー』はもちろん、世界的大ヒット作となった『SHERLOCK/シャーロック』を日本に上陸させたBBCワールドワイド ジャパンに取材を敢行!三尾和子さん、菊地紀章さんにお話を伺ってきました。

――『SHERLOCK/シャーロック』が世界的大ブームとなったのをきっかけに、昨今何かとBBC作品が注目を浴びていますね。今回、『ドクター・フー ニュー・ジェネレーション』発売の件をNAVIでも記事にしたところ、これまた予想以上に反響があったんですよ。

三尾 正直に嬉しいです。これまでBBCは文芸作品や、英国ミステリー色が強い作品を多く提供してきました。『高慢と偏見』やアガサ・クリスティの『ミス・マープル』シリーズとか。でも、大きな転機になったのは『SHERLOCK/シャーロック』でした。80年近い歴史を誇るBBCですが、最近になってBBCの番組制作の方向性に変化が起きました。

――どんな変化が起きたんですか?

三尾 これまでのBBCは、何はともあれイギリスの視聴者を第一に考えた番組作りをしてきたんです。でも市場の反応も受けて、より世界に目を向けた番組作りをするようになってきたんです。その考えもあって、ロサンゼルスにプロダクションを立ち上げ、ハリウッドで活躍する才能を取り入れ、作品の規模も大きくなってきました。

そして、『SHERLOCK/シャーロック』の人気のおかげで、生みの親、スティーヴン・モファットの代表作である『ドクター・フー』シリーズを日本の市場に出すことができたんです。『ドクター・フー』はBBCの宝なので、我々としては満を持して市場に出したかったんです。ここまで世に出すタイミングを待っていて本当によかった。ステージはできあがったというところです。

――作品に対するお客様の声もかなり入ってきていますか?

三尾 はい。そりゃもうたくさん! ニコニコ動画などでも『SHERLOCK/シャーロック』やそれ以外のBBCの代表的な作品、たとえば『トップ・ギア』などの動画を配信すると、必ずコメントの中に「『ドクター・フー』はまだなんですか?」というご意見が入ってくるんですよ。弊社のSNSアカウント宛にもきます。

――NAVI宛にも多数届いてますね。先日当サイトで実施した「早く日本で観たいで賞(新シーズン編)」投票でも『ドクター・フー』がダントツ一位でしたし。これまで日本ではNHKや女性チャンネル♪ LaLa TV、ひかりTVなどで『ドクター・フー』を放送してきましたが、ファンにとってはどこかで、まとまった形で、通しで視聴したい、という気持ちが強いように感じます。

三尾 イギリスではギネスにも載っている長寿番組の『ドクター・フー』ですが、それまでの人気を引き継ぎながら、2005年にスティーヴン・モファットがクリエイターとして入り、ガラッと作品の空気が変わりました。生まれ変わった『ドクター・フー』がNHKで初めて放送されたときは、本当に大きな反響をもたらしたんですよ。そして今回発売するマット・スミス版の『ドクター・フー ニュー・ジェネレーション』はより若者向けにタッチも変わってきたんです。海外ドラマって単発でなく継続的なPRが必要なので我々もDVDの形で責任を持って出し続けていかなければ、と思っています。

――DVDで着実に出し続けていくほうがより多くのファンが喜びそうですね。ところで『ドクター・フー』シリーズ自体は、『SHERLOCK/シャーロック』を求める層とはやや違うように感じるのですが?

三尾 おっしゃるとおりです。『ドクター・フー』のコアなファンは確実にいらしていて、その方々は本作の情報を出せばいつでもちゃんと付いてきてくださる方々だと思っています。ただ今回は、コアなファンだけでなく、『SHERLOCK/シャーロック』でBBCの新しいファンになってくれた方々をも取り込みたいと思っているんです。

――そこで『~ニュー・ジェネレーション』を世に出そうとした理由は?

三尾 『~ニュー・ジェネレーション』は、スティーヴン・モファットの"モファット節"ともいえるテイストが凄く出ている作品なんです。さらに主演のマット・スミスがいい! これまでいろいろなドクターが出てきた中で、彼は最年少なんですが、モファットが選んだ主役ということもあって、どこかベネディクト・カンバーバッチと似ているところがあるんですよ。

実はマット・スミスは『SHERLOCK/シャーロック』のジョン・ワトソン役のオーディションを受けていたんです。モファットは、マット・スミスを見るなり、ホームズ役にしたいと思ったそうですが、その段階で既にホームズ役はベネディクトに決まっていました。 "ドクター"はもともともっと年齢が上の設定を考えていたようですが、モファットがマット・スミスに"出会ってしまった"...ということで、若く、ヒップな"ドクター"が誕生したんです。

――ところで、『ドクター・フー』や『SHERLOCK/シャーロック』などを生み出したBBCですが、実はその実態をよく理解しておらず。具体的にはどういう特徴をもったTV局なのですか?

三尾 世界最古の放送局BBCですが、その番組作りにおいて"inform""educate""entertain"と言う3つのコンセプトをずっと大事にしているんです。"伝える""教育""楽しむ"という柱です。良質なニュースを放送し、BBC EARTHを初めとする自然や科学、歴史番組を放送し、そして『ミス・マープル』『SHERLOCK/シャーロック』『ドクター・フー』『トップ・ギア』のような"楽しむ"番組を放送する。この3本柱は今もなおブレていない大事な柱なんです。なかなか他の国、他の局でここまで広範囲に渡りこだわった番組作りをしているところは見ないですね。

BBCの強みは、本当にしっかりとお金をかけて質の高い番組を作っていける体制にあると思います。また、CMを挟まずに放送することで、スポンサーの影響を受けない中立した番組を作っていけることも強みだと思っています。質の高い番組作りをしているからこそ、世界にも売れる。『SHERLOCK/シャーロック』は200の国と地域に販売されています。その売上がまた製作費に回されるという好循環を生んでいます。
――今回『~ニュー・ジェネレーション』が発売となりますが、そのほかに今後日本に上陸させたい、と思っているBBCのオススメ作品はありますか?

三尾 日本に上陸するorしないはまだまだ検討中ですが、オススメという点でいうなら...まずは、ベン・ウィショー主演のドラマ『THE HOUR』。これはBBCそのものが舞台になっているドラマで、ニュースの舞台裏にあるミステリーを描いた作品なんですよ。あと、『Intruders』。これから北米で放送される作品なんですが、とっても"SUPERNATURAL"な話。『Xファイル』のグレン・モーガンや『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のエドゥアルド・サンチェスが手掛けているんです。マギー・ギレンホールの『The Honorable Woman』という作品もオススメです。イスラエルやパレスチナで武器商人の父を持つ娘の話。そしてBBC、いや英国といえばスパイもの。MI5やMI6のおひざ元ですからね。70年代を描いた『THE GAME』というスパイドラマも期待作です。

BBCミステリーは、ストーリーの面白さと、人物の内面を緻密に描く非常によく練られた脚本、そして映画とTVドラマの枠を超えた豪華なキャスティングで、大人が楽しめる高品質なエンターテイメントとなっています。BBCミステリーをこれからも、角川書店さんと組んで、もっと大きく育てていきたいですね。

――ちなみにお二人が"個人的"にオススメするBBC番組はなんですか?

三尾 『リトル・ブリテン』というコメディ番組。私はコメディが大好きなんですが、BBCに入社したのもこの作品がきっかけで(笑)

菊地 実はドキュドラマ(ドキュメンタリー+ドラマ。再現ドラマともいう)と呼ばれるジャンルの『ザ・ローマ 帝国の興亡~古代ローマ怪物伝』などが大好きで。あとは『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』とか。
三尾 ...と、それぞれの嗜好はありつつも(笑)、やはり『ドクター・フー』を強く推したいです!なにしろマット・スミスが本当にかわいくて! あと、ゲスト俳優も魅力的ですよ。『ラブ・アクチュアリー』のビル・ナイも出演しますしね。

菊地 『~ニュー・ジェネレーション』が盛り上がってくれると、デイヴィッド・テナント版も、発売しやすくなりますしね。

――NAVIのニュースに対する反応でも「テナント版も見たい! この勢いで発売されないかな?」というご意見が多数寄せられました。

菊地 こうなったら「皆さんのご支援のおかげでテナント版、発売決定!」って言いたいですねー。何とか世に出したいです。

三尾 海外ドラマNAVIさんとも組んで何かやりたいですね。リアルイベントとか!?

――ぜひやりましょう!...たとえば歴代ドクターの吹替声優さんに集合していただいて、トークイベントつきの試写会とか!?

菊地 本気でやりたいですねー!僕は吹き替え派なんで(笑)。山路和弘さん(9代目:クリストファー・エクルストン)に関俊彦さん(10代目:デイヴィッド・テナント)に...玄田哲章さん(4代目:トム・ベイカー)も!? なんという贅沢!!(笑)


2014年9月5日(金)レンタル先行リリース決定!
さらに!
2014年10月3日(金)DVD-BOX発売決定

角川書店より

【キャスト】
マット・スミス
カレン・ギラン
アーサー・ダーヴィル ほか
【スタッフ】
スティーヴン・モファット
ピアース・ウェンガー
ベス・ウィリーズ ほか

Photo:『ドクター・フー』
(c)2014BBC