春と夏にTV評論家を対象にして行われるTV批評家協会ツアー。春にお招きいただいたNetflix主催のツアーに引き続き、先日行われたNetflix主催夏のプレスツアーにお邪魔してきました!
配信ホヤホヤの話題作から秋にかけて配信がスタートする新シリーズを真っ先に試写させていただくと共に、出演者たちがステージに集うパネル・ディスカッションやインタビューの機会が設けられたこのツアー。今回も大いに盛り上がって、Netflix選り抜きオリジナル・シリーズの取材をしてきました。
黒人スーパーヒーローがまだ少ない中で、このほど配信スタートしたNetflixオリジナル・シリーズ『ルーク・ケイジ』は、スーパーヒーローのファンのみならず多方面から注目を集めています。
ルーク・ケイジは、マーベルの「ジェシカ・ジョーンズ」からスピンオフしたヒーローなのですが、元は前科者のトラブルメーカーで、服役中にスーパーヒューマンになるための実験への参加を志願したことから異常なまでの怪力と弾丸も跳ね返す皮膚を持つようになり、やがて英雄的存在になるキャラクターです。でもこのNetflixオリジナルでは、そうなる以前のルークが悪者に立ち向かうのと同時に、スーパーヒューマンになってしまった自分自身との葛藤にも触れるディープなドラマになっています。
TCAプレスツアーの一環として行われた関係者との合同インタビューでは、ルーク・ケイジ役のマイク・コルターがお目見え。彼の鍛え抜かれた身体とそのオーラは、部屋に入ってくるなり男女を問わず周囲の人たちをビビッと魅了! マイクの声も低音でセクシーなルーク・ケイジ調なんですが、それと同時に礼儀正しい洗練された青年といった感じで好感度抜群のアクターでした。
ルークは黒人スーパーヒーローということで、それを演じるマイクには人種の観点に立った質問が多いのですが、「黒人ヒーローだからというよりは、一人のキャラクターとして魅力があると感じたのでやる気になった」と語っていました。実はルーク・ケイジ役をやらないかとのオファーを受けた当初、マイクは自分の知っていた「ルーク・ケイジ」に対しては非常に懐疑的で何回かオファーを断ったのだそうです。
マーベルの原作では、もっとブラックスプロイテーション(=1970年代に人気のあったB級映画のジャンルで、黒人俳優たちがメインキャラクターを演じ、白人は大体において下に描かれるストーリー。この映画ジャンルは現代に至っては黒人社会で逆差別的ジャンルとして疎まれる傾向もある)の要素が強く、マイクはそういったジャンルには興味がなかったのだとか。でも結局はプロデューサーに「現代版ルークを描きたい」と説明されて、人種関係のやり取りはオカズで中心となるのは人間としてのスーパーヒーローなのだと理解できたので俄然興味が湧いたとのこと。
マイクは、ルーク・ケイジというキャラクターが、マイティ・ソーやアイアンマンといったほかのマーベルの英雄よりもずっと身近なヒーローという雰囲気も気に入ったんだそうです。確かにルークって、町レベルなヒーローって感じですよね。ドラマ冒頭でルークがハーレムで身をやつして生計を立てているシーンがあるんですが、ルークのバイトは床屋さんのお掃除係ですから。こういった仕事は絶対にキャップ(キャプテン・アメリカ)とかにはできない感じでしょ?(笑)
これまでのマーベル・ヒーローたちとはひと味違った英雄ルーク・ケイジのこれからの活躍、そして俳優マーク・コルターのこれからがとても楽しみです。
(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)
Photo:
『ルーク・ケイジ』
マイク・コルター(TCAプレスツアー)
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