『エクスタント』シーズン2、オスカー女優ハル・ベリーと製作総指揮スピルバーグが魅せる、新シーズンに仕掛けた「変貌」と「進化」とは!?

〜人類の未来は、彼女の手に委ねられた〜

超大作SFドラマ『エクスタント』舞台は、今から約30年後の未来。

その第1シーズンは、主人公モリー・ウッズ(ハル・ベリー)が、13カ月間にわたる宇宙ステーションでの単独任務を終えたところから始まった。

地球に帰還後、たった一人で宇宙で生活していたはずの彼女に異変が起こる。モリーの体内には地球外生命体の種が宿っていたのだ。

祖国の地には家族がいた。夫のジョン(ゴラン・ヴィシュニック)と、息子のイーサン(ピアース・ガニォン)。そのイーサンは、ジョンが最先端の技術力で造り上げた「人間性を有する」精巧なアンドロイド"ヒューマニック"の試作品だった。モリーの体内のエイリアンの種と、ジョンの研究の結晶であるアンドロイドの息子は、国際宇宙探査局と巨大企業に監視され、謎の陰謀に巻き込まれていく。やがて陰謀を阻止する攻防の末、モリーとジョン夫婦は愛していたイーサンを失い、一方モリーとエイリアンの間に生まれた子も奪われた。

"その種"の子は、驚異的な速度で成長し、夜の街に消えて行方知れずとなった。

そして第2シーズンでは、「アンドロイドVSエイリアンVS人類」三つ巴の闘いが始まる!

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破壊されてしまったと思われたヒューマニック第1号であったイーサンの意識(メモリー)は、成長した新型ボディーに組み込まれ息吹を取り戻した。しかし比類なき高性能のヒューマニックが、今度は国土安全保障省の目論みのために狙われる。そして、モリーが宿した地球外生命体の子どもはやはり生きていた。しかし、モリーの身体から生まれ、地球上に放たれた "その種"は、もはや独りではなかったのだ...。

国土安全保障省はヒューマニックを国防に利用することを企てる。果たしてイーサンの運命は?モリーは強制収容されていた保養施設から逃げ出し、エイリアンとの子どもの行方を追う。エイリアンは、種の存続をかけて人類の世界を浸食し始める。

モリーに立ちはだかる本当の敵は、国なのか、エイリアンなのか、アンドロイドなのか!?

2014年に米CBSと、スティーヴン・スピルバーグ率いるアンブリン・テレビジョンが夏の放送期の目玉としてスタートさせた『エクスタント』。その第2シーズンは、続編でもあり、進化したリブート作品だとも言える。2015年の7月に戻ってきた新シーズンでは、ドラマを形作るのに大切な要素を、非常に大胆に、まるで"遺伝子"を組み替えたかのように、巧みに変貌させたのだ。

シーズン2の第1話「脅威 覚醒」と名付けられたタイトルの原題は、

「Change Scenario」 (シナリオを変える!)だ。

前シーズンから脈々と流れている物語の軸そのものを変えてしまう、ということではない。劇的な"変貌"は、ドラマの描き方と主人公モリーの身の上の両方に起こっていくので、ダブル・ミーニングだとも言える。

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主演のハル・ベリーは、数々のインタビューで新シーズンの特徴をこう評している、

「(SF作品としての見どころの多かった第1シーズンよりも)、より深く掘り下げたキャラクターたちの性格重視でドラマが進行するわ。しかもすごくホットで、セクシーでもあるの!!」

"ホット"や "セクシー"という言葉は、重厚な第1シーズンの印象からは想像し難いが、決して軽々しい意味ではなく、危険性をも孕んだ、人間的で、感情的な描写が溢れているという意味である。清潔で整然とした宇宙や近未来のイメージから、地上の世界にまみれて "汚れていく"かのようなシーンが巧妙に脚本に練り込まれているのだ。

"ホット"や"セクシー"という特徴には、いくつもの意味が込められている。

1つは、エイリアンの子の種が存続するための「生殖」。モリー自身も経験した、強く恐ろしい "結合"は地球の各地でも起きつつある。もう1つは、ヒューマニックの進歩だ。研ぎすまされた性能とフォルムは美しささえ持ち合わせ、子ども型のアンドロイドであるイーサンとは異なる「人間のような魅力」を有するようになる。

そしてさらに、決定的なキャスティングにも"ホット"な変化が新シーズンにはあるのだ。

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それは、名優ジェフリー・ディーン・モーガンの起用だ。映画『ウォッチメン』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、そしてドラマ『ウォーキング・デッド』の最新シーズンにも出演する人気俳優である。

彼は、女ったらしでやさぐれた元軍人の特別捜査官JD・リクターを演じる。近未来のテクノロジーなどを捜査に使うのを好まないような時代遅れの泥臭い男が、誇りと志の高い元宇宙飛行士モリーをひょんな遭遇から支えていくことになるのだ。モリーが宇宙から帰還し、異星人の子どもを身籠った話など、JDには最初は信じられるはずも無い。まったく別のタイプの人間同士。それが徐々に理解者となっていく。

シーンで観られるハル・ベリーとジェフリー・ディーン・モーガンの間のケミストリー(関係性の良さ、反応して生まれるもの)は絶妙で、実際、撮影現場でも二人の間には笑いが絶えず、10数時間の撮影が連日続く過酷なスケジュールでも耐えられたと、両名は語っている。

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ジェフリーがこのドラマへの参加を決めたことの理由には、脚本と役柄が好みに合ったことや、全13話とシリーズが短いこともあるが、最大の理由はハル・ベリーとスティーヴン・スピルバーグと仕事で組めることだったと言う。自身もプロデュースを務めるハルとスティーヴンは、ジェフリーに本作への「1年間の契約」を提示して口説いてくれたというのだ。

一般のドラマシリーズのように4年も5年も長期で拘束されるような契約を望んでいなかったジェフリーにとって、1年に限って、それでも本ドラマに出演して欲しいと求められたことは特別なことだったという。

二人の共演は、シリーズを牽引するエンジンが2倍になったかのように感じさせる。ジェフリー演じる捜査員の登場は、SFドラマに、刑事の追跡劇のスリルとバディームービー的な面白さを加えたような効果を生み、新たなキャスティングの賭けは成功した。

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また、ヒューマニックの開発を進めるチームにいるジュリー役(グレイス・ガマー)やチャーリー役(タイラー・ヒルトン)が、第1シーズンよりも重要なポジションとしてストーリーに絡み、見せ場も非常に多く、実力のある若手キャストがしっかり選ばれてきたのだということがよくわかる。新型のヒューマニックであるルーシー役として鮮やかに登場するカーシー・クレモンズも、心中を読ませない巧さと美しい存在感で輝きを放っている。

このドラマのキャスティングを担当しているのは、映画『デッドプール』、『マッドマックス 怒りのデスロード』、『ウォルト・ディズニーの約束』、『華麗なるギャッツビー』などのヒット作群を手がけているロナ・クレス。俳優を見極める目はさすがの確かさだ。

このように見事に変貌を遂げた『エクスタント』だが、SFファンを惹き付けた第1シーズンの撮影の光や色の美しさ、アンブリン制作による映画並みのVFX、洗練されたセット美術&近未来のガジェット(日用品や武器)のデザインなどはどれも変わらず健在で、これだけの映像の水準を維持できるスタッフの手腕には圧倒される。

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近未来の壮大な事件を大胆に構想してきたクリエーターや脚本家たちも、"1シーズン契約" のジェフリー・ディーン・モーガンの出演に合わせ、13話でストーリーを《完結》させる展開をシーズン2では練り上げたため、完成度は高い。そのジェフリーとの共演で、自らの演技も昇華させることに挑んだ主演ハル・ベリーの感情豊かな表現も見事だ。

シリーズの終盤で、モリーが語るセリフにこんなものがある、

「When I trained to go to space, they told me "Don"t think about if you don"t come home. Think about what you"ll do when you get there."」(宇宙に赴くための訓練を受けていたとき、こう教わったわ。"もし帰還できなかったら、なんて考えるな。帰還した時に、何をするかを考えるんだ")

この言葉は、ハル・ベリーが初めてテレビドラマというロング・フォームに挑んだ決意、そして2シーズン目の新たな挑戦への意気込みにも重なる。

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ハル、ジェフリー、スティーヴンと製作チームが見せる、「ハイブリッド」な本シリーズは、第1シーズンから観ている方にはもちろん、第2シーズンから初めて観る方にもおススメできる。

『エクスタント』は「進化」を遂げ、秀逸な着地を見せてくれたドラマとなった。

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■『エクスタント』シーズン2 商品情報
10月5日(水)DVDレンタル開始・DVD-BOX発売
DVD-BOX 9,300円+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
公式サイト:http://extant.jp/

Photo:『エクスタント』シーズン2
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