映画『ムーンライト』のロケ地を「ムーンライトウェイ」と命名! 恋人たちの聖地に⁉

自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かで圧倒的な映像美と情緒的な音楽と共に3つの時代で綴った、映画史に刻まれる、最も切なく、最も純粋な愛の物語『ムーンライト』。この度、世界中から熱狂的な賛辞を贈られている本作のアカデミー賞作品賞受賞を受けて、ロケ地であるマイアミ・デイド郡・リバティ・シティのNW22番街の一部(6ブロック分)を、Moonlight Way(ムーンライト・ウェイ)と名付けることが、現地時間4月18日に発表された。

世界中が瞬く間に虜になった本作品は、北米で大ヒットを記録し、第74回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)受賞、第89回アカデミー賞では8部門にノミネートされ、作品賞・脚色賞・助演男優賞を受賞し、見事オスカーの栄光に輝いた。なぜ『ムーンライト』が世界中を魅了しているのか―。それは、人種、年齢、セクシュアリティを越えた普遍的な感情が描かれているからだ。どうにもならない日常、胸を締め付ける痛み、初恋のような切なさ、いつまでも心に残る後悔...思いもよらない再会により、秘めた想いを抱え生きてきたシャロンの暗闇に光がさしたとき、私たちの心は大きく揺さぶられ、深い感動と余韻に包まれる。

今回の命名について、郡政委員のオードリー・エドモンソンは、「この映画は、私たちを含め、リバティ・シティの多くの子供たちがどのような環境で育ってきたか、どのような苦難を経験し耐え抜いてきたかを忠実に描いています。"ろくな大人になれない"と言われている子供たちにぜひ耳を傾けてほしい。生い立ちや育った場所に関係なく、人は何かを成し遂げることができるのです。『ムーンライト』のおかげで、マイアミ郊外の状況を全米に知ってもらえました。さらに裕福な地域の住民とリバティ・シティの人々の間にある、心理的な溝が埋まることも願っています。まだ観ていない人には"今からでも遅くない"と伝えたいですね。この環境を知らない人は、きっと気づかされるものがあるはずです。」と語った。偶然にも、監督のバリー・ジェンキンス、脚本のタレル・アルヴィン・マクレイニーは、同じリバティ・シティの公共住宅で育ち、同じ小学校・中学校に通っていたという経験もあり、「ムーンライトの生誕地」、「恋人たちの聖地」として、多くの観光客が来ることが期待できる。また、このムーンライト・ウェイの通り沿いにはマクレイニーが学んでいたアフリカン・ヘリテージ・カルチュラル・アーツ・センターも存在する。

アカデミー賞授賞式の発表ミスにより、残念ながら披露できなかった受賞スピーチでも、マイアミでの生い立ちについてジェンキンス監督は次のように語っている。「『ムーライト』を観たらマイアミのような環境で育ってきた少年が、大人になってアカデミー賞に輝く作品を作るとはだれも思わないだろう。実はそうやって自らの夢を抑え込んで、否定してきたんだ。周りに否定されたわけではなく、僕自身がね。だから、僕たちや、この作品に自分を投影している人は、これを機に自分自身を愛してほしい。なぜなら、そうすることで、夢を見るだけでなく、許されないと思っていた夢を実現できるかもしれないからだ」

今回の命名は、未来を担う子供たちへの大きなエールともなることは間違いないだろう。映画『ムーンライト』はTOHOシネマズシャンテ他にて大ヒット公開中。(海外ドラマNAVI)

Photo:映画『ムーンライト』
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