『SHERLOCK』監督が手掛ける、古典的なゾンビ作品ではない映画『ディストピア パンドラの少女』

M・R・ケアリーによるSF小説「パンドラの少女」を元に、荒廃したロンドンを舞台にしたSFスリラー映画『ディストピア パンドラの少女』が本日7月1日(土)より公開となる。その監督を務めたコーム・マッカーシー(『SHERLOCK/シャーロック』『THE TUDORS ~背徳の王冠~』)のコメントが届いた。

マッカーシーといえば、『SHERLOCK』の「三の兆候」(シーズン3第2話)のほか、『ドクター・フー』『新米刑事モース』『リッパー・ストリート』『ピーキー・ブラインダーズ』『MI-5 英国機密諜報部』など数々の人気ドラマを手掛けてきた新鋭。2008年には彼がメガホンを取った『Murphy"s Law(原題)』が英国アカデミー賞にノミネートされた。新作として、スーパーマンの故郷クリプトン星を題材とした米Syfyのドラマ『Krypton(原題)』も決まっている。

本作は、真菌のパンデミックによりほとんどの人類が"ハングリーズ(飢えた奴ら)"と化し、残った少ない人々は安全な壁に囲まれた基地で生活している近未来が舞台。マッカーシー監督は映画化のきっかけについて「マイク・ケアリー(M・R・ケアリー)の短編小説に惹かれた点は、映画の主人公となるメラニーの存在だと思う。マイクは自分の愛娘を念頭に置いて小説を書き、私にも娘がいるのでよく理解できた。彼女は特別な子供だけれど、身近にいて友達になれたり愛することができたりする存在だと思う」と語っている。

「タイワンアリタケ」と呼ばれる実在する真菌の突然変異体により人間が豹変した存在、"ハングリーズ"は、いわゆるゾンビとは多少異なる。その点について、マッカーシーはこう説明する。「"ハングリーズ"が存在する理由を早くから考えていた。何か新しい理由で出現するゾンビだ。ゾンビといえば考えもなくさまよう人間のようだから、何か(彼らが動く)理由を検討していた。その頃、マイクが"菌"を使おうと思いついた。アリが菌に思考操作されるという、奇妙なドキュメンタリー番組を見たところだった。自然は人間の想像力を超えて、不思議でおかしなことをする力があると気づかされた」

続けて、「ゾンビは登場するけど、古典的なゾンビ映画とは異なる。この映画は何よりもまず、登場人物の内面を表現する物語でゾンビの世界に生きる人間の物語だ。我々が伝えたいのは、一人の少女が周りの人に勇気を与え、彼らの上に立つまでの道のりの物語だ」と、"ハングリーズ"の世界で生きる人間の内面にこだわって制作したことを明かしている。

その少女メラニーを演じるのは、若手のセニア・ナニュア。共演は、『ヘンゼル&グレーテル』のジェマ・アータートン、『ウィッチャーの事件簿』のパディ・コンシダイン、『ダメージ』のグレン・クローズ、『4ヶ月、3週と2日』のアナマリア・マリンカ、『エクスパンス -巨獣めざめる-』のドミニク・ティッパーなど。

「冒頭の15~20分で、観客が早くも共感し始める登場人物に驚くべきことが起きる」というマッカーシー監督からの予告も気になる『ディストピア パンドラの少女』(配給:クロックワークス)は7月1日(土)、新宿バルト9ほか公開ロードショー。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ディストピア パンドラの少女』
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