全米で多くの視聴者から人気を得た犯罪捜査ドラマ『キャッスル ~ミステリー作家は事件がお好き』。ベストセラーの推理小説家と優秀な美人刑事のコンビが難解な事件を解決していく、全8シーズンのドラマです。一話完結型ながら各エピソードが本格推理ものとして堪能できる内容なので、気軽に楽しめます。また、難解な事件を解決に導くプロセスや捜査チームの明るい雰囲気も見ごたえ十分。
◆主役コンビの絶妙なケミストリー
ベストセラー作家のリック・キャッスルと、ニューヨーク市警の刑事ケイト・ベケットという二人を主役に、2009年から米ABCで放送された本作は、あっという間に看板番組に。その人気ぶりは、全米のファン投票により決まるピープルズ・チョイス・アワードの「最も人気のある犯罪ドラマ」を4度受賞したことからもうかがえます。キャッスル役のネイサン・フィリオンとベケット役のスタナ・カティックは息の合ったやり取りが評価され同アワードにノミネートされました。共演者にも実力派が揃い、緊迫した事件が繰り広げられる中でも、ほのぼのとしたやり取り、現場での助け合いなどチームワークの良さを感じさせてくれます。
◆回想シーンやセリフに隠された仕掛け
書いた作品はすべてヒットする推理小説家のリック・キャッスルは、セレブな生活を送りつつも実は退屈していたある日、自身の小説を模倣した殺人事件の捜査のため、ニューヨーク市警殺人課の刑事ケイト・ベケットから事情聴取を受けます。そしてベケットに興味を持ち、ベストセラー作家である立場を利用して、殺人課の相談役として強引に捜査に加わります。ベケットはこれに難色を示すものの、キャッスルの作家ならではの事件へのアプローチを次第に認めていきます。
そして、時に突飛な仮説を披露するとはいえ、犯罪者の心理を推しはかれる想像力に富み、コネクションが広く雑学に詳しいキャッスルと、知的で行動力がありつつ、被害者に対して深い思いやりを見せるベケットは、複雑怪奇な難事件を解決していきます。キャッスルはベケットをモデルにした新たな小説シリーズも出版。基本的には事件解決までのプロセスを楽しむドラマですが、回想シーンや台詞の中に様々な仕掛けがあり、キャッスルの生い立ちや、ベケットの母親の殺人事件のヒントが少しずつ明らかになっていくのも見逃せません。
◆アクション、家族ドラマ付きで海外ドラマ初心者にもおすすめ
予備知識がなくても楽しめる『キャッスル』ですが、知っておくと楽しみ方がさらに広がるポイントの一つが、個性豊かな登場人物。その筆頭が、キャッスルの茶目っ気あるキャラクターと推理力です。日常のジョーク交じりの軽薄な会話とは裏腹に、推理する場面では作家としての視点で事件を解決するきっかけを作ります。その説をチームリーダーであるベケットが分析し、真相に迫っていきます。事件を解決していくプロセスを通して変化していく二人の関係も注目です。
本格ミステリーであるため、暗さややりきれない気持ちにさせられるシーンは存在しますが、根底を流れる雰囲気が明るいため、そうしたシーンのある回でもどこか安心できるドラマに仕上がっています。事件解決までのプロセスでは、捜査やアクションのシーンで緊迫感が漂う一方、エスポジート、ライアンといった刑事も交えた警察署での気軽な会話や互いへの思いやりを感じさせる場面も挿入され、緩急をうまくつけていることも魅力の一つ。また、キャッスルの母や娘との愛情あふれる会話が全体を和ませてくれます。このように、一話の中でほど良い緊張感と和やかさを持つ『キャッスル』は、本格ミステリーや海外ドラマは初めての方にもおすすめなんです。(海外ドラマNAVI)
Photo:『キャッスル ~ミステリー作家は事件がお好き』
(C) ABC Studios.