"ミステリーの女王"アガサ・クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポワロ。英BBCが製作する全3話のミニシリーズで、同役をジョン・マルコヴィッチ(『マルコヴィッチの穴』)が演じることが明らかとなった。米Entertainment Weeklyなどが報じている。
ポワロの物語はこれまで幾度も映像化されてきたが、今回取り上げるのは1936年に発表された長編「ABC殺人事件」。ある日、ポワロの元に殺人を予告する手紙が届き、その通りに連続殺人事件が起きる。殺人が起きた町の名前と被害者の名前の頭文字はすべてABCの順になっており...というストーリー。クリスティの著作の中でも特に評価の高い作品である。
ジョンは米イリノイ州生まれのアメリカ人。クリスティが英国人だからか、ポワロ自身は英国に移住したベルギー人という設定ながら、これまでに同役を演じた俳優は、『名探偵ポワロ』のデヴィッド・スーシェを筆頭に、2017年に『オリエント急行殺人事件』で監督・主演を務めたケネス・ブラナー、1970年代から1980年代にかけて『ナイル殺人事件』ほか6本の映画で主役を張ったピーター・ユスティノフなど英国出身者が多い。
アメリカ人として珍しくポワロ役に起用されたジョンだが、性格俳優として知られ、アカデミー賞にも2度ノミネートされている演技派の彼は、これまでにもアメリカ人以外の役を何度も演じている。例えば、『仮面の男』のアトスや『ジャンヌ・ダルク』のシャルル7世としてフランス人に扮し、『クリムト』で実在したオーストリアの画家グスタフ・クリムトになり、『ある貴婦人の肖像』では英国の貴族を演じていた。クリスティの孫であり製作総指揮を務めるジェームズ・プリチャードは、「ジョン・マルコヴィッチがもたらしてくれるであろうユニークなアプローチを楽しみにしている」と期待を寄せている。
共演は、『ハリー・ポッター』のルパート・グリント、『ブロードチャーチ ~殺意の町~』のアンドリュー・バカン、『ツイン・ピークス The Return』のエイモン・ファーレン、『ゲーム・オブ・スローンズ』のタラ・フィッツジェラルド、『Harlots(原題)』のブロンウィン・ジェームズ、『Skins - スキンズ』のフレイア・メイヴァーなど。
脚色を手掛けるのは、BBCでこれまでにも『そして誰もいなくなった』『アガサ・クリスティー 検察側の証人』といったクリスティ作品を担当してきたサラ・フェルプス。撮影は来月から始まり、『フランケンシュタイン・クロニクル』のアレックス・ゲバッシィが監督を担当する。
BBCは2015年に放送した「そして誰もいなくなった」のドラマ版が大成功したことを受けて、翌2016年に今後4年間で7本のクリスティ作品を映像化することを発表。すでに「検察側の証人」「無実はさいなむ」が映像化され、「ABC殺人事件」のほかには、「死が最後にやってくる」もそのラインナップに含まれていることが判明している。(海外ドラマNAVI)
Photo:Photo:『クリムト』や『クロスボーンズ/黒ひげの野望』で髭姿だったものの、基本的には生やしていても無精髭程度のジョン・マルコヴィッチ。口髭がトレードマークのポワロ役ではどんな髭を生やすのだろうか? (C)PAULINE FRENCH/FAMOUS