新世代の刑事ドラマ『FBI』第1話レビュー NY支局のコンビが爆破事件の犯人を追う

NYの平和を守るべく、テロや組織犯罪と日夜闘うFBI捜査チームを描くドラマ『FBI(原題)』。米CBSで9月25日(火)から放送中のこのシリーズでは、開始から5分と経たないうちに27人が死亡する大規模な事件が勃発する。捜査官コンビは黒幕を追い詰めるが、彼が口にしたのはある意外な動機だった。

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■NYを襲う連続爆破事件
FBI、NY支局の活躍を描く本作は、管内サウス・ブロンクス地区にあるアパートの一室で起きた爆破事件からスタート。現場に最初に到着したのは、FBI特別捜査官のマギー(ミッシー・ペリグリム)とオマール(ジーコ・ザキ)。ポニーテール姿に険しい表情を浮かべるマギーは、相棒のオマールと共に建物の封鎖を決断。集まる野次馬や自室へ戻ろうとする入居者たちを辛うじて制止する中、2度目の爆発が発生する。マンションの建物全体が轟音を立てて崩壊し、27名が死亡する惨事に。

マギーとオマールは監視カメラの映像を入手し、爆弾を設置した実行犯の特定に至る。しかし、映像では何者かに爆弾を渡されていることから、背後で糸を引いている別人物の存在が明らかに。分析官のクリスティン(エボニー・ノエル)とチームの指揮を執るジュバル(ジェレミー・シスト)とともに事件の全容究明を急ぐが、別の場所でさらなる爆破事件が発生してしまう。マギーとオマールは、アメリカ最恐とも言われるギャング団「MS13」への潜入捜査を決意する。

■正統派ドラマ
米Hollywood Reporterは本作を、ツイストなしの正統派FBIドラマだと紹介する。クリエティブかつ由緒正しいスタイルのシリーズだ。昨今のドラマにありがちな、謎の数字の羅列や、「奴」「例のもの」といった指示代名詞の多用など、視聴者の関心を惹くためのお決まりのギミックに食傷気味の同メディアは、無用な細工のない本作を歓迎している。

刑事ドラマとしてはベーシックな展開が続く本作だが、作品の基本構造にはユニークな視点が潜む。米Los Angeles Timesは、勧善懲悪のテンプレートを驚くべき方法で改良したドラマだと賞賛。中東系アメリカ人であるマギーの相棒オマールは、覆面捜査官として活動中に警官からテロリストの疑いを向けられる憂き目に。しかし真相究明を進めると、一連の爆破事件に関与していたのは、意外な人物だったことが判明する。中東系の人物がテロを起こすというフォーマットを踏み台にした変化球だ。見事なツイストに感嘆する同メディアは、一世代前の刑事モノとは一線を画すドラマだと述べている。

■キャラクターの人物像が伝わる
シリーズを観ていて気づくのは、限られた時間の中で、主要キャラクターたちのバックグラウンドが非常に掘り下げられているという点。自然な形で経歴を視聴者に伝えるテクニックが随所に張り巡らされている。Hollywood Reporterは、いくつかの例をピックアップ。マギーが引き出しを開けるカットでは、そこには死別した夫との幸せそうな写真が。また、別のシーンでは、オマールが「インディアナ州の道なら詳しかったのにね」と馬鹿にすると、マギーが「マンハッタン生まれだからって...」と返すのを遮って、「僕はクイーンズ」。愉快な掛けあいにも抜かりなく情報が詰め込まれている。

マギー役のミッシーは、カナダの刑事ドラマ『ルーキーブルー ~新米警官 奮闘記~』でも主演を務めていたが、パフォーマンスに磨きがかかったと同メディアは評価する。いつも何かを思案しているようなシリアスな表情が似合う。相棒オマール役のジーコも、クールなキャラクターが少しいけすかないのでは...と感じ始める頃に絶妙なタイミングでコミカルな一幕を披露するなど、好感が持てる演技を披露する。

夫と死別したマギーと相棒オマールの間に、特別な感情は今のところは見られない。しかしLos Angeles Timesは、これからの発展を期待させるような微かな兆候もちらほら見られる、と指摘。仕事に専念して辛い過去を忘れようとしているマギーだが、なるべく彼女の力になりたいというオマールと親しい関係になる展開もあるかもしれない。

新世代の刑事ドラマ『FBI』は、米CBSで放送中。(海外ドラマNAVI)

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ジーコ・ザキ (C)Kathy Hutchins/Shutterstock.com
ミッシー・ペリグリム (C)DFree/Shutterstock.com