2018年最高のテレビドラマ・エピソードは? 米メディアがドラマ横断、1話単位で格付け

心踊るドラマの数々に恵まれた2018年。海外メディアからは、今年のベストドラマを決めるランキングが続々と発表されている。日本と違うのは、シリーズの番付とは別に、エピソード(1話)単位のランキングが多く出ている点だ。見きれないほど多くのドラマが製作される中で、興味深く、かつ単体で見ても成立するエピソードを一気にチェックできる「エピソード別ランキング」を紹介しよう。

♦作品数が多すぎる!

地上波に加え、ケーブルテレビ局やストリーミングサービスまでもが独自のドラマ製作に乗り出している昨今。押し寄せる作品の波に、視聴者は嬉しい悲鳴を上げているのでは? いくら時間があってもシリーズ全体を見ていられない状況だからこそ、ベスト・エピソードのランキングは重宝されているようだ。米TV Guideは、イッキ見が主流の今、エピソードという概念は消え、シリーズ全体が1本の長い映画のように感じられると述べる。しかし、TVドラマはあくまで1話ずつ成立する作品として製作されているとも指摘。一部だけを観ても作品として成立するのが、本来のエピソードのあり方なのかもしれない。

同様に米IndieWireも、優秀なエピソードであれば、エピソード単体でも物語として成り立つと説く。週末にシリーズを丸ごとイッキ見することが当たり前のようになってしまった時代に、秀逸なエピソードだけを確認できるランキングは有益だと主張。さまざまな作品が世に溢れ、全編を見ていられない時代だからこそ、ベスト・エピソードのランキングが求められているようだ。

♦やっぱり強いコメディ・ドラマ

ランキングのつけ方はメディアによって様々だが、ストーリー性に優れていることは絶対条件。IndieWireは入選作の共通点として、素晴らしいストーリー性が存在し、そしてそれが巧みな形で表現されていることを挙げる。優秀なエピソードは、いつまでも心に残るもの。たとえ20分程度の1話でも、視聴者を魅了するものであれば、それはシーズン全体にも匹敵するのだと同メディアは力説する。

中でもジャンルとして強いのはコメディだ。2018年のトレンドは明確に二つあった、と米Pasteは解説。1点目は、優れたコメディ・シリーズに恵まれた年であったということ。単に笑いを提供するだけでなく、悲しみや怒りも避けることなく盛り込んでいるのが近年のコメディの傾向だという。さらに2点目として、TV画面の内外で女性の活躍が目立った年だったと述べている。同メディアのランキングには、女性の脚本家や監督の書く作品が多くランクインしている。

♦評価の高いエピソード

それでは、評価の高かったエピソードをいくつか見てみよう。米Washington Post、米Entertainment Weekly、IndieWire、米Vultureの4媒体のトップ10を分析したところ、重複してランクインを果たした4話の秀作エピソードが浮かび上がった。

メディアの注目を最も集めたのは、2017年にゴールデングローブ賞を受賞したミュージック・コメディ『アトランタ』のシーズン2となる『アトランタ:略奪の季節』第6話「テディ・パーキンス」。空想家のダリウス(レイキース・スタンフィールド)がピアノを譲り受けるため引退したピアニストの家を訪れると、ひとクセある弟との一悶着が。Vultureは、本エピソードを捻りの効いたショービジネスの物語にホラーのテイストも感じられると表する。Entertainment Weeklyは、完璧な脚本と監督の手腕のコンビネーションのおかげで、様々な意味でスリルのあるエピソードに仕上がったと評価。東京出身の映画監督ヒロ・ムライが、当該話も含め、シリーズ計14話でメガホンを取っている。当該話は4媒体すべてのランキングに登場。『アトランタ』はシーズン1をNetflixにて配信中。見どころやキャスティング情報などはこちらの海外ドラマNAVI作品データベースをチェック!

次に注目度が高かったのは、今年のシーズン6を持ってシリーズに幕を下ろした『ジ・アメリカンズ』。レーガン政権時代のアメリカを舞台にしたスパイ・スリラーだ。その最終話「その先の未来」が、Vultureなど3媒体のランキングに登場した。人生に対する愛情を感じさせる幕引きと、ファンの予想を良い意味で裏切る結末とVultureは好評価。同じくIndieWireも、家族の温もりを第一に感じ、加えて非常に衝撃的なツイストが襲うエピソードだと述べている。温かみと衝撃を両立させた最終話は、2013年からの放送に有終の美を飾った。『ジ・アメリカンズ』はシーズン1から6までをNetflixにて配信中。見どころやキャスティング情報などはこちらの海外ドラマNAVI作品データベースをチェック!

思いつきのスキー旅行がマンネリ夫婦の運命を変えてしまうコメディ『フォーエバー ~人生の意味~』からは、胡散臭い二人の不動産業者(ジェイソン・ミッチェル&ホン・チャウ)が互いを男女として意識し始める第6話「アンドレとサラ」がランクイン。放送当時から、コメディでありながら心に染みる深い会話が話題に。4媒体中2媒体のランキングで掲載されている。Entertainment Weeklyは、チープなピザとワイン越しに繰り広げられる二人のフランクで軽妙なやりとりを、Washington Postは、主人公夫婦とは全く別のペアに視点を移しつつも本線との関係性を見失っていない脚本の妙を評価している。『フォーエバー ~人生の意味~』は、Amazon Prime Videoにてシーズン1、全8話を配信中。見どころやキャスティング情報などはこちらの海外ドラマNAVI作品データベースをチェック!

スティーヴン・キングの作品に頻繁に登場する架空の町「キャッスルロック」で起きる謎の事件の数々を描くホラー・シリーズ『キャッスルロック』。キング作品でお馴染みのキャラクターやテーマが交錯し、キングの集大成とも言える全米を震撼させた大作ドラマだ。第7話「チェスの駒」が注目を集め、キャッスルロックの秘密の鍵を握る元教授ルース(シシー・スペイセク)にフォーカスし、そのキャラクター像の変化(アーク)を存分に描いたエピソード。単独の話のなかでアークが成立している点をIndieWireは評価しており、まさに1話だけでストーリー性を成立させた秀逸なエピソードとなっている。『キャッスルロック』は、2019年2月9日(土)から全10話をWOWOWプライムにて日本独占初放送。見どころやキャスティング情報などはこちらの海外ドラマNAVI作品データベースをチェック!

気になるエピソードはあっただろうか? 情報が追いつかないほどドラマが生まれている現代なだけに、選りすぐりのエピソードだけをチェックできるベスト・エピソード番付が海外では人気になっているようだ。(海外ドラマNAVI)

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『フォーエバー ~人生の意味~』は、Amazon Prime Videoにて独占配信中。
『キャッスルロック』シーズン1第7話 (c) Warner Bros. Entertainment Inc.